カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

日本の食卓に衝撃を与えた食べ物

2019-04-24 | 

 今までいろんなものを食ってこれまで生きてきたわけだが、初めて食べて衝撃を受けた食べ物というのもそれなりにある。でもまあいろいろあるとはいえ、すごくインパクトが強くて社会を変えてしまったようなものというのは、実際にはそんなにないかもしれない。ということを「まんぷく」さんを見ていて考えた。確かにカップラーメンは人類にとって大きな事件ではあったのだろうが、ある意味でそういう見方をする面白さも手伝っていると考えられる。さらに僕自身の個人史を考えると、ものごころついた時から、インスタント麺というのは存在していたし、そんなに家庭で食べていたわけではないが、レトルト食品のようなものも、すでに開発された後だった。そういう先進的な食品開発の飽和状態にありながら、さらに衝撃のあったものとは何だろうか。
 そんなものは無い、という意見もありそうだが、シャウエッセンがあるじゃないかと思うわけだ。
 これは僕が十代の終わりころに発売されて、本当に日本の食卓を激変させた食べ物じゃないかと思われる。少なくとも僕はかなりの衝撃を受けた。昔の人が初めて西洋の食べ物などを食べて、こんなうまいものが世の中にあったのか! と驚くことは聞いたことがある。まさにそういう経験を自分自身が体験するとは思っていなかった。
 日本のソーセージというのは、文化的な背景もあって、魚肉ソーセージが主流である。また、そのころの肉を使ったソーセージというのは、赤いウインナーのアレというのしか、スーパーには売っていなかった。レストランとか、それなりの店であれば、いわゆる輸入物の本場のソーセージは食べることができたかもしれない。しかしそれは、決して家庭の味ではなかった。そうしてさらに、シャウエッセンは茹でるのである。当時のソーセージは、フライパンで焼いて食べるものであった。西洋の食べ物はフライパンで調理するものとばかり思っていたら、茹でて食べるのだという。なんなんだそれは! という感じである。で、齧ってみると、パリッと音がするのである。中から肉汁があふれ出して、アッチッチなのである。そしてなんという旨さなのか。これが本場のソーセージというものだったのか。ドイツ人はこんなものを食っていたのか!
 などと思ったが、実際の欧州事情はほんとは知らない。というか、このシャウエッセンのように旨いウインナーは、本場ドイツのスーパーにも売ってないという噂もある。シャウエッセンという商品名は、いかにもドイツ語のように見えるが、単なる造語で和製ドイツ語のようなものらしい。シャウエッセンに似た商品は他にもあるが、それはその後他の日本メーカーが作って日本で売っているものらしい。
 というわけで、こんなにうまい食い物は、日本のほぼ専売特許のようなものらしい。凄い。庶民的にはシャウエッセンは高級だという話も聞かないではないが、これだけの値段で他の高級ソーセージと対抗できるものはなかなか見当たらないのではないか。それに実際に日本の食卓の風景を変えたのは間違いないことらしく、自宅で食べられる手軽なごちそうとして確固たる地位を築いたといえる。少なくとも僕の子供時代とは、明らかに現代社会は変わってしまったのだ。
 でもまあ実をいうと、そういうことがあるのだから時折赤いウインナーが懐かしく旨いというのはあるんだけどね。
コメント
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