みんな好いとうと♪/宝来忠昭監督
博多で、ある喫茶店に入ると、なかなかの雰囲気の店であった。店主に話を聞くと、映画の撮影現場に使われもしたらしい。酔狂で、じゃあその映画を見てみようと思ったわけだ。
博多を中心に活動しているアイドルグループがある。そこそこ人気もあるようだけれど、それでも稼ぎが足りないのか、解散を言い渡される。メンバーはショックを受けるが、やっぱり続けたいという思いがそれぞれに強く、マネージャーのような人間に何とかしてほしいと願い出る。そこで小分けにしたグループごとにミッションが出て、様々なイベントで成功を約束させられることになるのだが…。
演出がどうこう言う前に、学芸会のような雰囲気の演技である。まあ、仕方ないな、という感じは流れるが、本当にそういう人たちがメンバーであるらしい。何人かの主流格は、様になってないことはないが、ほとんどはちょっとかわいい子が、地元の学校に通いながら放課後に活動している、という感じなのかもしれない。
学校の学園祭でプロであるが勝手に出演を決めて、それがバレても成功を約束させられたりする。やる気になってビラ配りしたりストリートで踊ったりする。トラブルも起こるが、何か選挙運動を見ているような気もした。こんな風にして戦うものかもしれない。
ラーメン屋の娘の父は、娘がセンターを張るようなタイプの娘ではないことは分かっているが、不憫でならない。だからラーメンのトッピングに高菜があるように、高菜を目指せという。そのトッピングの高菜だって大盛でラーメンに入れると、メインの具として高菜ラーメンになるだ、といって食べる。なるほど、そういうことはあるかもしれないね。
アイドルはみているだけで楽しい、という人たちもいるのかもしれない。アイドルだって大変だということくらいは、背景を知らないでも安易にわかることだ。楽しいけれど大変という距離感が伝わったほうが、親しみがわいてよりファンとして楽しい、というのはあるんだろうか。僕にはわからないが、これだけたくさんの、さらに多数の女の子たちが集団になって踊っている世の中になって、結局需要の数だけ人数が必要になっているんじゃないかな、という気分になった。もちろんそれで全然いいんですけどね。