カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ちょっと不思議な感慨   日日是好日

2018-10-17 | 映画

日日是好日/大森立嗣監督

 原作エッセイがあるらしい。映画も確かにエッセイ風で、ストーリーは無いではないが、そういうスジを追うような物語では無い。つれあいが樹木希林のファンなので観に行った訳だが、まあ、そういう楽しみには叶う映画だったかもしれない。
 女子大生の典子は、従妹の美智子と共にお茶を習うことにする。そこで武田という先生との交流が始まる。いろいろと面倒なしきたりや形式をただ覚えていくのみだったのだが、段々とその型の中に、さまざまな意味を読み取っていくことが出来るようになっていくのだった。
 就職の失敗やいとこの結婚、自分の婚約破棄や父の死など、お茶を習いながら様々な出来事が起こる。何しろ二十四年にわたる茶道体験記の物語である。人間の成長物語であり、師匠のお茶に対する姿勢を記録したものでもある。恋愛などの詳しい内容はよく分からないながら、激しい葛藤があっただろうという事は分かるようになっている。父との思い出も、そんなに詳しいエピソードがある訳では無いけれど、典子にとっては大変に大きな出来事であったことは分かる。そういう事と毎週土曜日のお茶の出来事が、密接にからんで物事を考えていったことが分かるようになっている。
 聞くところによると、樹木希林は特に茶道に覚えがあった訳では無かったそうだ。なかなかに様になっているのだが、確かにあまりビシッとした茶道の先生という感じでは無い。どこかトボけていて、ある意味いつも通りの樹木希林である。そういう魅力があってか、客はそんなに少なくは無かった。この人は亡くなってしまって今はもう居ないのだな、という事が、なんだかとても不思議に思いながら鑑賞したのであった。
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