カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

計算ができないだけでなく防衛している?

2016-07-26 | 時事

 シルバー民主主義という言葉がある。日本の場合既に高齢社会だが、これは直接そのことを指している訳でなく、選挙の結果を指している。高齢社会になると、有権者の多数も高齢化する。さらに若者の投票率は相対的に低いため、政治家は高齢者優遇の政策を重視し、結果的に若者のための福祉(例えば教育費など)は削られ、高齢者向けの社会保障費は増大し、将来世代への負担の先送りが常態化する。まさに今の現実の日本の姿だが、そのために将来的には国の財政は行き詰るしかないようだ。
 結論は既に出ているかもしれないが、選挙になると、この世代間格差の解消のために、若者に投票行動をとってもらおうというキャンペーンが、いちおうそれなりになされる。その効果がまったくないとは言えないが、実際にはあまりないというべきか。現行制度で微調整的に力が入れられ、例えば不在者投票などはのびているが、結果的に若年層の投票率が伸びている訳ではない。このような現実にあって、どうしても行動に移せない大人しい若者を指して、単にバカにするのは簡単である。事実馬鹿である可能性は非常に高いが、基本的には、それでも選挙に対するハードルがそれなりに高いということも考えるべきだろう。
 若者は選挙に対する費用効果が高いというのが、先ずある。どういうことかというと、わざわざ選挙に行きたくなかったり、そもそも興味が持てないのは、そのために時間を割く費用が高齢者より何倍も高いという考え方だ。選挙に行く時間を作るために、自分の喜びの時間を割かなければならない。デートかもしれないし、遊びかもしれない。しかし個人的には若者にとって一番重要であるそれらの時間を割くためには、相当な費用が必要だということだ。実際にはそれ以上に高い費用が生じていることは間違いないのだが、比較できる材料を知らないので、そのことに気づかないものと思われる。既に数千万円は高齢者より多くの負担を約束させられているけれど、支払うのはこれからの長い人生で分割してある。最終的には自分の生活費に割り込んでの支出になるが、自分が受けとる次の世代へ引き渡す前には破綻しているだろうから、気づくのはその後しかありえないだろう。
 考えてみるとひどい話で、将来の給与から既に天引きを約束させられている状態を自ら選択した覚えもないのだから、仕方がないのである。さらにいくら若者の投票率が上がっても、そもそも絶対数としては、高齢世代との割合を制するまでには至らない。そもそも現行のメニューには、自分が選択すべき(例えば増税して将来の自分の負担を少しでも減らすなど)ものが用意さえされていない。事実を知れば知るほど不愉快になるだけのことだから、もう目と耳を閉じてやり過ごす他に無い。若者の無関心は、だから防衛本能ということかもしれない。
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