殺意のナイトクラブ 刑事コロンボ/ジェフリー・ライナー監督
シリーズ69話目で、最終回。WOWOW版では「虚飾のオープニング・ナイト」という題名で放映されたらしい。ピーター・フォークもさすがに老けて完全に白髪になっていて、日本なら当然定年ということになるんだろうが、年齢差別の禁止されている米国では現役でもいいということなんだろうか。オープニングのタイトル文字の現れる映像からコロンボらしからぬ斬新なものになっていて、番外編のような趣がある。むしろコロンボの新シリーズの始まりのような予感さえ覚えさせられる。しかしこれが最終話。主人公の年齢から致し方ないが、制作側の思惑としては、実はこの後の意欲もあったのではないだろうか。
新しい店をオープンさせるために資金を借りている相手を殺してしまって、まずこの殺人を偽装させるのだが、しかしこの犯行を別の人物に見られておりゆすられる。結局第二の犯行となるわけだが、そこまでやってしまうといろいろとつじつまの合わないことをコロンボに次々に見破られるということになってしまう。もっとも早めに諦めてもらっては、コロンボのも活躍できないし、最後の大きなトリックが見破られる醍醐味も味わえない。結構映画的にテンポのいいサスペンスになっていて、娯楽作としてのコロンボの古臭さが無くなって、良くも悪くもコロンボ的でない妙な感慨の残る作品になっている。
日本でも寅さんシリーズなんかは、やはり後半少し痛々しい感じになって、肝心の恋は甥っ子に譲って話が展開されるということになっていた。しかしながらさすがアメリカという感じがするのは、コロンボは白髪になっているにせよ、活発に動き回ってかえって若々しい印象もある。若者に混ざってディスコのような場所を闊歩するコロンボは、あんがいまだ若い女性からも人気があったりして、現役感もある。そういう社会の違いのようなものも感じられて、文化的には面白い作品だと思った。
なお、これは観たにもかかわらず過去に何故かブログにUPしていないような気のする作品である。探したけど見つからないだけかもしれないが、再掲することにする。ネットというのは自分でもよく分からんです。コロンボ・シリーズと同じく長く続くといろいろ整合性の無さのようなことが起こるのかもしれません。