散歩してて人とすれ違うと、場合によっては会釈くらいはする。場合によっては声に出して挨拶くらいはする。中学生くらいから挨拶されるから、ビックリしながらも大人の威厳を見せながら挨拶を返したりはする。ワンちゃんを連れている人には、可愛いですね、くらいは言う。まあ、そんなところで済めば、とにかくハッピーだ。
しかし田舎というのはあんがい恐ろしくて、これで済まない場合がままある。こんにちは~、と言って歩く速度を落とさずにいるのに、ああ、ちょっと、という。うっかり速度をゆるめると(誰だってそうすると思う)、話し始める人がたまにいるのだ。タイミングによっては電話を手に取ってすいません、と逃げられることもある。しかし質問形式だと、これまたうっかり答えてしまうこともある。後であいさつに行こうと思っていたが…、という内容だと話を聞かざるを得ない場合もたまにあって、判断が難しい。どのみち聞くのなら、その時でもいいか、と思うのかもしれない。しかし、やはり後で良かったな、とも思う訳だが…。
一二分の立ち話ならまだましなのだが、先日は気が付いたら45分くらい話されてしまった。一日の目標歩数には届かないし、次の予定にも当然響く。予定があったから切り上げられただけのことで、それが無かったらどうなっていたか。散歩ではないが会議終了後に世間話が終わらずに2時間突っ立っていた経験もあるから、田舎というのは本当に恐ろしいところなのだ。ましてや散歩中なのに散歩ができない上に次々と予定が順に行き詰ってしまって翌日まで響くことにもなってしまう。こまめに時間をつくって歩いているので、これで予定が根本から崩れてしまう。不機嫌になるし効率は悪くなるし自堕落になるし人間関係も悪くなる。そうして恐らくいくらか寿命までロスしてしまったかもしれない。
人と会うときには速度をいくらか早めて歩く。僕の目標はここでは無くもっと先にある。そういう言語外の理解のために、僕の願いが伝わるように、日々びくびくしながら歩いているのである。