カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

自分のことがこんなに面白い   自分では気づかない、ココロの盲点・完全版

2016-03-18 | 読書

自分では気づかない、ココロの盲点・完全版/池谷裕二著(講談社ブルーバックス)

 副題に「本当の自分を知る練習問題80」とある。これの元になったというか出発点となる著書は、朝日出版から出ている。ただし問題は30問。だから完全版であるこの本は50問増やして充実させてある。記述が短いので早く読むこともできるが、一問一問それなりに考えさせられるところがあり、じっくり楽しむことが出来る。実は前著の30問の方は、僕が人前でお話をさせてもらうときなど、もう一度ひも解いてネタにしたことも多々あった。大変にお世話になりました。今後も、たぶんブログネタなどには、この本を繰り返し読み返すことになるだろうことも必至である。辞書的な機能があって重宝するし、僕も人間だから、このような認知バイアスを容易に忘れるようになっているはずだからである。多くの人が知っておくべき内容だけれど、知らない人間を騙すためには、知られていない方が有利である。商売をする人とか、素直に何か成功したいと思っている人には、それなりに役に立つことは間違いなかろう。ハウツーものに騙されるより、人間のことを知って戦略を立てられる方が何倍も有益である。もちろん敵も一部は知っているかもしれないので、その時はお互いに手を組んだらいいだろう。知っているというのは、時に世界を制することもあるかもしれない。
 人間が生存して今のような考えを持つに至るまで、脳というのは数々の偏見をそのしわに刻んできたに違いない。時にはそれが有利だったからという考えもあるだろうけど、そのために自分が安易にだまされやすい生き物になってしまったともいえる。世界中から差別や偏見が無くならないのも、ひょっとするとこの脳の仕組みが考え方に影響を与えているせいかもしれない。間違いは正せばいいとは思うけれど、間違いやすいことに全く気付かない人がほとんどそのまま生活をしている。そうしてそのことはどうすることもできない事実なのだ。様々な科学は、そのような人間を改めるように事実を提示しているが、提示された事実を見ても、素直に間違いに気づく人は少なかろう。はたから見ると愚かしいが、しかしそれは脳の仕組みの可愛いところでもあるのだ。一緒に笑いながらそのことを知るというのが、恐らくこの本の一番の楽しみ方であると思われる。実際に面白いからこのような完全版が作られたのだろうし、恐らくこの本の影響を受けて、さらにいろいろなアイディアが生まれるに違いない。さらにすべての認知バイアスの解説が終わっている訳ではないから、さらなる完全版や、続編も生まれるかもしれない。また、まだわかっていない認知バイアスについても研究が進むことだろう。一番の楽しいミステリが、自分自身であるという発見に満ちた面白本である。
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