カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

病気の人は病院へどうぞ   ブルー・ジャスミン

2016-03-14 | 映画

ブルー・ジャスミン/ウディ・アレン監督

 詐欺まがいの投資で金を集めて成功している富豪夫婦だったが、結局夫は警察に捕まり自殺する。主人公の妻はヤンキーで労働者階級の今は離婚して彼氏のいる妹の家に居候する。富豪生活から転落して働かざるを得ず、資格を取るために勉強しながら紹介された受付の仕事をする。一気に転落生活に陥ったこともあってか、妄想癖があり独り言がたえない。市販の鎮痛剤を常飲しているようだが明らかに神経症か精神病の世界で、さらに性格障害もあるようだ。そのような病的な女ながら男を引き付ける魅力があるらしく(西洋人なので僕にはいまひとつその魅力が分かりにくい女優さんである。演技は素晴らしく上手いけれど…)、男から言い寄られながらもピンとくる人が無かった(むしろ迷惑だ)。そういう中で気分転換に妹と共にパーティに出かけると、姉妹ともどもちょっといい感じの、お互いに好みの男に言い寄られることになるのだが…。
 物語の展開はちょっとしたミステリー仕立てになっており、なぜこのような病的な女になってしまったのかも、基本的は分かる。イライラするような嫌な場面が続くけれど、そういうところを笑ってしまおうというコメディで、さすがにいつも通り監督の性格の悪さが出ていて、ファンにはそれなりに納得のいくところであろう。確かに面白くない訳ではないのだが、ちょっと痛くてかわいそうな感じがあって、素直な僕にはとても笑えない感じである(ここは笑うところである。念のため)。妹はまともなのでそれなりに楽しいのだが、病気の女だと自業自得な感じもするし、そもそも早く誰か医者に連れて行けよ、という感じがいつまでもつきまとう。周りにいる人は異常性に十分気付きながら、もともとの性格の悪さもあるからイライラしながら放っておくという感じである。まわりの頭が悪すぎるところは面白いけれど、主人公だけがどうしても笑えない感じだ。ネタバレになるけど、こういう調子で物事が上手くいくはずはないのだが、そのもとの引き金を引いてしまったのは、実は他ならぬ自分自身だったというのが凄いところかもしれない。不幸な人間のサイクルが分かるような感じで、人間には愛が大切なんだな、なんて陳腐な感想も持った。
 まあ、物好きな人には話のネタに観てもいいかもしれない。
コメント
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