カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

地球って、あんがい資源があるんだな

2016-03-03 | 時事

 原油安の問題というのがある。基本的に日本に住む日本人の立場からすると、原油安自体の恩恵の方が圧倒的に大きいので歓迎すべきはずだが、国際的なトピックとしては、必ずしもそうではないという考え方である。
 米国は石油の最大の消費国であるから、シェールオイルの恩恵もあって最大の産油国に躍り上った。これが恐らく原油の価格へ与えるインパクトがもっとも大きい背景だろう。
 そうして消費国として大きな影響力のある中国の経済の鈍化と先行きのくもりがあげられる。これからも消費が伸びない訳ではなかろうが、思ったよりすぐにはたくさん必要ないということか。
 今までは需要が減れば、OPECが減産するなど、生産調整をすればよかった。これまでの原油高の背景は、むしろこの調整が上手くいって割高に保っていたということもいえる。さらに米国は輸出も可能になったわけだが、あくまで割高だったから余力を生んでいる訳で、安売り合戦に参加するとコストの面で競争力があるわけではない。
 それでも根強く供給過多になる背景は、需要を見越して増産を続け、そうしてそれがやめられない産油国の事情がある。石油というのはあらゆるエネルギーの中でも、比較的扱いが易しく安全性が高いというのがまずある。そうして効率よく高カロリーで、大きな力に変換するのに都合がいい。そうしていくら高くなったからといっても、比較して他のエネルギーよりやはり安かったということもあって需要が伸びた訳である。そうすると産油国は、下手に他の産業を育成するよりも、手っ取り早く外貨を獲得することが出来る。とれさえすれば売れるのだから、国自体の財政も安易に原油に頼る体制が出来上がる。
 いくら需要が下がったからといっても、しかしながら需要と供給のギャップは、単に全体の1~2%程度に過ぎないのだが、先物など投機的な資金が紛れ込んでいたために、価格は高値の時代から7割も落ちてしまった。結局この小さいギャップを調整するために減産をすると、実はこの隙間に別の産油国が入り込むという事情がある。中東の政治情勢が不安定なところは、一時期輸出が止まっていたのだから、この隙間を狙ってかえって増産の構えを見せているところも多い。そうすると現在輸出が堅調である産油国は、価格が下がっても減産できなくなっているというジレンマに襲われている。損を覚悟で顧客を確保せざるを得ない訳だ。
 結局そういう事情を汲んで、投機マネーは行き場を失って逃げていく。堅調に原油は売れているのに、価格だけは下がってしまうトレンドが出来上がっているということだ。
 損が出ていても減産が出来ないのだから、需要が伸びない限り解決は無いという図式になってしまった。さて、これから伸びそうな地域とはどこだろう。
 皮肉なことに、財政や将来性があまりない日本のような国は、これで少し息継ぎができている。だたそれでも、一気に死ぬかじわじわ死ぬかだけの問題とも言われている。聞くところによると、車の給油で、安価なところを探し求める意識は低下したといわれる。いつまで無意識でいられるのか、それは今のところ誰にもわからない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする