録画していたカバーズという番組を見た。サリューというひととさかいゆうという人を連続で見たが、共に知らない。しかしながらお二人とも、なんだか凄まじく歌が上手かった。声の出し方が調子いいのかもしれないし、やはり結構歌いこんでおられる。そうしてコントロールができているということなんだろう。
ということでは感心したのだが、面白かったのは、共通の話題として若いころに聞いた「北の宿から」の影響力の話だった。なるほど、あれはそんなにすごい歌だったんだな。
「北の宿から」のことで覚えているのは淡谷のり子で、淡谷はこの歌が大嫌いだったらしい。「着てはもらえぬセーターを、涙こらえて編んでます」なんて馬鹿みたい、とおっしゃっていた。確かにそれは言えていて、僕も確かにバカだと思ったのだが、それを本気で指摘している人というのは、やはり可笑しい。
そう思って滑稽な歌だと思っていたのだが、考えてみるとこれは僕もよく覚えている。演歌というのは好きではないのだけれど、この歌が嫌いかといわれると自信が無い。久しぶりにネットで聞いてみると、驚くほど隅々まで覚えている。なんだ、まじめに聞いていたのかな、と思った。
また、寅さんでも都はるみはマドンナになっており、ほとんどこの歌がインスピレーションになっている。歌姫はこの歌一つでやはり一世を風靡したのだ。楽曲がいいというだけでなく、やっぱりこの歌い方にあって、自分と歌が一体化した世界というのが力強いのではあるまいか。
歌が好きな人というのは、やはりある程度正直に生きていないといけないのかな、とも思った。これはいい曲だが、演歌の世界でない人が、素直に影響を受けたとは言いにくい感じもしないではない。そういうことを考えさせられたのだった。