バイオコークスという燃料が話題になることがある。原料が植物なら何でもよく、比較的短時間の加工で作成可能ということで注目を集めている訳だ。今までの課題として、普通のバイオマス燃料ではカロリーが足りず、良質の製鉄のために必要な1500度の高温にするまえに燃え尽きてしまうということだった。そのようなバイオマス燃料にさらに圧力をかけ加熱することで、高いカロリーを出すバイオマスコークスになるという。おもしろいのは加熱する際に、比較的低温で行うことで良質のコークスになるということだった。実際に石炭のコークスに一定の割合バイオマスコークスを混ぜて製鉄を行う実験なども行われており、結果としても良好だったということだ。
そういうことで期待の集まる燃料ということなんだが、詳しく知らないのでそのあとは憶測にならざるを得ないが、要するにこのバイオマスコークスという燃料が期待されるのは、次世代のエネルギーとして、いわゆる比較的クリーンな印象と、現在の化石燃料や原子力エネルギーの代替たりえるのか、ということなのではなかろうか。もちろん候補としての一つであろうが、それはどれくらい現実的なのだろうか。
はっきり言えそうなのは、そんなに近い将来に代替候補として有力なのかというのはやはり未知数なのだろう。バイオコークスの材料になる木材などは、マレーシアなどから輸入するか現地で生産するといわれている通り、国内生産ではまだまだ採算ラインに乗らないのだろうと思われる。石油などの化石燃料は高騰のトレンドが今後も変わりそうにないし、資源なので数十年先の話にしろ、いずれは枯渇する。もっとも石炭の採掘可能埋蔵量は150年以上といわれているので喫緊の課題ではないが、こちらはCO2の排出問題ということが残る。バイオコークスは植物由来ということで、計算上の事とはいえ、排出量を0にしてもいいとされる。多少まやかしめいたやり方には違いないが、日本のように原子力を止めているような国にとっては、大変においしい話である。
ということで期待の大きさで、多少の話のゆがみがありそうなのではあるが、有力でないわけではない。もっともそういうことで研究費がもっと出ると、さらに短期間で研究が緒に就くということなのかもしれない。