首吊り縄で消える恋

　世の中面白いことばかりがあるわけではない。
　色恋も成就しないことの方が多いかも知れぬ。
　そんな時は、次のような詩を口ずさんでみるのもいいか。
　古代ギリシアの哲学者クラテースの「恋の療治」なる詩（沓掛良彦訳）。
　色だ恋だと身を焦がし
　腹がへつたらころりと忘れ
　腹がへっても忘れぬ恋も
　時が経つたらさらりと忘れ
　なおもしつこく身を焼く焔
　消して欲しやと言いやるか
　首吊り縄で消しなされ。