風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

ROCK

2005-03-03 | 風屋日記
またまたブッシュさんが騒いでいる。
「日本が早く牛肉輸入再開しないと大問題になる」そうだ。
食の安全に関して自分達のモノサシをさんざん押し付けておいてコレだよ ┐(´ー`)┌
誰が病気になろうと知ったこっちゃないって態度がアリアリ。
まずは生産者や輸出業者の利益ありきの考え方は、
さすが京都議定書をシカトして自国の産業擁護だけ考える国ではある。
おまけに、アメリカ産牛肉からまたBSEが発見されたら、
今度はこんなもんじゃ済まないなんてたぶん全く考えてないんだろうなぁ。
リスクマネジメントが全くできてないのね。
とある議員なんざ
「牛肉の行方次第では、日本からのタイヤ用ゴムの輸入についても考えなければ」とか。
タイヤのゴムに何の関係があるのだろう、と思わず笑ってしまった。
なぜアメリカ産牛肉の輸入規制をしているのか、彼らは全く分かってないという証拠だ。
「食の安全のため」という理由を、日本の関係機関はどう説明してるの?
自分達のことしか考えないアメリカとの不毛な議論の行方に、
私達の命が預けられている。


閑話休題。
朝日新聞社発行の「AERA in Rock」を買って読んだ。
今巷でひそかに流行っている、昔を回顧する音楽ムックだ。
要は「小金を持っている昔ならしたオヤジ達」をターゲットにしたヤツ。
私も含め、私の周囲では、昔憧れた楽器を買うオヤジが増えている。
以前書いたが、家族連れ用の貸しスタジオまである時代だし(笑)

・・・とかなんとか自虐しつつ、実はこの雑誌めっちゃ面白い。
現代日本を動かすエライさん達による「Rockへの思い」コーナー。
産業再生機構COOによる「最初に買ったのはグランド・ファンク」から
野村證券広報部長の「P・マッカートニー来日に駆け付けて泣いた」や
農水省統括審議官の「ドアーズは別物。なんと言ってもジム・モリソン」、
果ては野田聖子衆議院議員の「実はベースやってました」まで、
肩書きとセリフのミスマッチがかなーりウケた。
でもね、散々笑った後で気がついた。
「今日本を動かしいいる人達も、青春時代は自分とかぶっている」と。
急にそういう方々に親近感を持ったりして(笑)
だからって牛肉の輸入規制問題では妥協していいとは言わないよ。
ジム・モリソン(英)好きでもいいから、アメリカには負けるな(笑)

確かに若い頃、Rockをはじめとする文化で英米を知った。
コテコテの日本人の(田舎の)少年にとって、
イギリスやアメリカの若者文化は眩しく、あこがれだった。
いまでもBlues好きの私にとって、アメリカの文化は特別なものと感じる。
bluesやJazz、Rockは、その音楽が内包する理念も相まって、
サブカルチャーとして扱われながらもアメリカ文化の拡大に寄与してきた。
だからこそ、アメリカには気がついて欲しい。
もうあなた方は自分達のことだけを考えているわけにはいかないんだよ・・・と。

この雑誌の企画中、個人的には「楽器挫折者救済ツアー」のルポが激しく気になった(笑)
コメント (2)
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今後に期待

2005-03-02 | 風屋日記
久しぶりに民衆パワーを見た気がする。
レバノンの内閣退陣のニュースだ。
中東紛争以来、長いことシリア軍がレバノン国内に駐留し、
現首相もシリアの影響力下で就任したカラミ氏だったが、
ハリリ前首相が暗殺され、民衆が立ち上がった。
「シリアは出ていけ」
そのパワーが親シリア政権を退陣に追い込んだという。
このニュースを読んで何が嬉しかったかというと、
反シリアで集まった民衆の中には
胸の十字架にキスしているキリスト教徒も
神に感謝の祈りを捧げるイスラム教徒も一緒にいたらしいことだ。
昨今何かと争いの絶えない両者だが、
力を合わせて何かを成し遂げ、ともに喜びあう姿はうれしい。
レバノン情勢も今後のスンニ派による政権指名次第では
まだまだ不透明らしいが、この姿があれば大丈夫。
これからのレバノン国民に期待しよう。

自民党の憲法改正審議会が発足したという(正式名称は失念)。
前文に関する小委員会の委員長が中曽根元首相、
天皇に関する記述を検討する小委員会の委員長が宮沢元首相とのこと。
この2人は、一時は武蔵と小次郎に比された激しい議論を戦わせた仲。
中曽根さんは政治活動の理念が「憲法改正」というほどガチガチの改憲派。
対する宮沢さんは世界に誇る現憲法堅持派。
この2人がそれぞれ委員長を務めているところが今回の人事の妙。
無理矢理議員引退に追い込まれて地団駄を踏んだ中曽根さんにしてみれば、
「ようやく時節到来」とばかりに鼻息も荒く、すでに持論の展開を始めている。
一方の宮沢さんは、改憲が前提の同審議会に入る気はなかったらしいが、
「行け行けドンドン」派ばかりがメンバーになっては大変なことになると、
自ら要所を押さえるつもりでオファーを受けたらしい。
政界巌流島再燃(笑)
孤軍奮闘になるであろう宮沢さんの最後の大仕事に期待しよう。
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Jazz喫茶「エル・グレコ」

2005-03-01 | 風屋日記
店の前でひと呼吸おき、私はゆっくり扉を開ける。
開ける前から微かに聞こえていたビル・エバンスが
途端に大音響で襲い掛かってくる。
向い風に逆らって歩くように、私は店内へと足を踏み出す。

「今日もコーヒーでいいのか?」
私の耳に口を近付けて叫んでみるものの、
うなずく私を確認する前に豆を摺りはじめるマスター。
いつも通り、リズムに乗りながら摺った豆をセットする。
運ばれてきたコーヒーは白いカップになみなみと注がれていて、
カップそのものも唇がやけどするほど熱い。
しばらくはそのまま置いておくだけになる。

ビル・エバンスの演奏が終わり、店内は急に静かになる。
「今日は何を聴く? よかったらキース・ジャレット聴かないか?」
ビル・エバンスのレコードを仕舞いながらマスターが尋ねてくる。
今日のように客が私だけの時には、
マスターは色々聴かせてくれ、Jazzに関することを教えてくれる。
「こないだ買ったキース・ジャレットいいぞ。ピアノがまるで別の楽器だ」
その言葉を無視し、私はここ数日知りたかったことを尋ねた。
「NHK-FMの『クロスオーバー11』のラストテーマ知ってる?
 あれは誰のなんという曲なんだろう」
マスターは残念そうにキース・ジャレットの新しいジャケットを撫でながら
「ありゃーコーネル・デュプリーだ。STUFFの元ギタリスト。
 エリック・ゲイルとコンビだったヤツだな」
マスターはキース・ジャレットのジャケットを仕舞い、
赤いジャケットのレコードジャケットを取り出す。
「映画の『サタデーナイトフィーバー』知らない?
 あん中で使われてる『藍はきらめきの中に』って曲だが」
そう言いながら、レコードにそっと針を落とす。
メロウなバラードが流れてくる。
「あーこれこれ、映画の曲だったんだ」
「原曲よりもメロウなアレンジになってるけどな」
静かな曲が流れる中、店内は湯気とタバコの煙。
扉の窓から弱い日射しが射し込んでいた。

高校2年の秋のこと。
私のセピア色の記憶。
コメント (9)
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