昔、君たちとのキャッチボールは
ほんの1mほどの間をころがしあっただけのものだった。
コロコロ転がった玉すら掴み損ねた君たちは、
それでも楽しそうにケラケラ笑っていた。
私の投げたボールを
君たちが初めて直接キャッチできたのはそれぞれいつのことだったろう。
私は君たちの差し出すグローブを狙って軽く投げたのだったが、
掴みとった君たちはその事実が信じられないように
でもその顔はまるで世界を掴み取った英雄だった。
それから私と君たちとのキャッチボールの距離は段々離れ、
君たちが受け取るボールも私からのものだけではなくなってきた。
私が君たちへの気持ちをこめて大きく振りかぶってみても、
いつの間にか私のボールを受け取るべき君たちは
私の前にはいなくなっているのだろう。
そんな日がきたら、
どこかへ無闇にボールは投げず
そっとボールを置こうと思う。
キャッチボールの相手がどんどん増えていく
君たちを遠くから眺めながら。
ほんの1mほどの間をころがしあっただけのものだった。
コロコロ転がった玉すら掴み損ねた君たちは、
それでも楽しそうにケラケラ笑っていた。
私の投げたボールを
君たちが初めて直接キャッチできたのはそれぞれいつのことだったろう。
私は君たちの差し出すグローブを狙って軽く投げたのだったが、
掴みとった君たちはその事実が信じられないように
でもその顔はまるで世界を掴み取った英雄だった。
それから私と君たちとのキャッチボールの距離は段々離れ、
君たちが受け取るボールも私からのものだけではなくなってきた。
私が君たちへの気持ちをこめて大きく振りかぶってみても、
いつの間にか私のボールを受け取るべき君たちは
私の前にはいなくなっているのだろう。
そんな日がきたら、
どこかへ無闇にボールは投げず
そっとボールを置こうと思う。
キャッチボールの相手がどんどん増えていく
君たちを遠くから眺めながら。