風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

正月の自省

2006-01-05 | 風屋日記
家族が集まり、わいわいお雑煮などを囲んでいる時、
たったひとり路上にほうり出されて、
その日の食事のあてもないストリートチルドレン達をふと思う。

しんしんと降る雪の夜、ストーブで暖かい部屋で談笑し、
三々五々蒲団にもぐり込む時、
家を失い、テントで寒さを凌ぐ災害被災者達をふと思う。

食べ物とお金を湯水のように使って
下びた笑いを取る番組ばかりのTVをちらりと眺めて悲しくなる。
メイクとファッションとゴシップばかりの女性雑誌や
SEXと金儲けと揚げ足取りばかりの男性週刊誌の広告を新聞で見、
その見出しのあまりに世界とかけ離れた表現に悲しくなる。
そして想像し、思いを馳せてみる。
テロに怯え、眠れない夜を過ごす人達、
食べていくために、子どもに食べさせるために身をひさぐ人達、
謂れのない罪により囚われの身となり、明日の命を願う人達。

正月は特にそういうことを感じる季節だ。
「これでいいのかい?」「見すごせるのかい?」と自分に問い、
そして悲しくなって自分の中に閉じこもる。
世界中の人達の平和と平穏を願いつつも、
結局は自分の家族と周囲の人達のささやかな幸せを第一に求め、
そういう自分を振払うように黙々と雪かきなどしてみる。
自分の理想と現実の自分とのギャップを突き付けられ、
愕然としながらもぬるま湯から出ようとしない。
そんな自分を痛感するのがこの季節。

毎年正月に家族で集まり語らい笑顔を見せあう。
そんなささやかな幸せは確かに楽しい。
だからこの季節が嫌いというわけではないけれど、
一方ではどこか自分の殻に閉じこもり、
早くいつもの日常に戻って欲しいと思っている自分もいる。

それが単に、
世界の辛い現実から目を逸らしているだけだとはわかってるけど。
コメント (7)
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