風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

書評

2006-01-15 | 風屋日記
久しぶりに、朝日新聞日曜日恒例の今日の書評欄より。


「ニュルンベルク・インタビュー 上下」
レオン・ゴールデンソーン著 河出書房新社 各 2,520円

アウシュビッツ強制収容所所長だったルドルフ・ヘスをはじめとした、
ナチの最高幹部達への1対1のインタビュー集。
死刑執行直前の彼らが自らの「仕事」や「自分」を振り返り、
何を思ったのか、本音の話に興味がある。
評者のジャーナリストであり拓殖大学教授の野村進氏は
「彼らの大半がきわめて頭脳明晰で、
 生い立ちも家庭生活も至極まっとうな常識人であることを知る」
と書き、その彼らと「仕事」との間には何があったのかを探っている。
似たような例として評者が挙げている
「ベスト&ブライテスト」ハルバースタム著 も読んでみたい。
「60年代、アメリカの『最良にして最も聡明な』エリート達が
 いかに国民をベトナム戦争の泥沼に引きずり込んでいったのか」
現代日本人が心して読まなければならない2冊じゃないのか?


「絵はがきにされた少年」
藤原章生 著 集英社 1,680円

毎日新聞記者である著者が、6年間のヨハネスブルグ特派員時代に
直接見、肌で感じ、出会った光景や人々を描いたノンフィクション短編集。
現代アフリカのこともニュース映像で「知ったような気」になり、
書物や新聞から得られた机上の知識によって考える私のような人間に
その地に住む人々と同じ高さの視点から体温を伝えてくれる。
想像と現実とのギャップはこれまでにも何度か体験しているのに、
それでもまだ懲りない私の目を冷させてくれる本だと思う。
人づて、メディアづてではなく、
直接自分の目で見、その地に住む人々の声を聞きたい。
「史上もっとも野蛮と報じられたルワンダ大虐殺を語る時、
 フツ族とツチ族の違いがわからない人は読んで欲しい」
とのこと。・・・読みます。

    ◇      ◇      ◇      ◇

さて、センター試験まであと1週間。
「直前最後の日曜だから今日は課外を休んで深呼吸しようかなー」
とつぶやきつつ、それでも学校へ向かった長男。
その意識があればOK。
競走馬のようにガムシャラに一方向だけ見るのではなく、
常に高い視点で周囲を間渡そう。

親として言えるのはそんなことぐらいかな。
コメント
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