風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

中東和平への道

2006-01-07 | 風屋日記
イスラエル、シャロン首相の危篤が続く。
もう77歳だから、もし命が助かっても政治活動はどうなんだろう。
パレスチナのアラファト議長が亡くなった今、
中東和平への道筋をつける重要な人物なんだけど。

かつて極右政党リクードを率いて首相になったシャロン氏は
パレスチナ自治区への圧力と強硬姿勢によって
暴力の連鎖の心配をされていた。
私から見ればブッシュ&その一味(ネオコン連中)と徒党を組み、
反ムスリム陣営の中心人物の1人として
その思想や行動について大変危惧を感じていた人だった。
彼は戦車や装甲車を全面に立てた軍隊を占領地に送り込み、
家を破壊し、女性やお年寄りや子ども達を傷つけてきた。

また彼は、
パレスチナ自治区との間にかつてのベルリンのような壁を築き、
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教3宗教共通の聖地であるエルサレムを
イスラエル単独の保護地域として占拠を続け、
キリスト教国、イスラム陣営の強い反発も食っている。

ところが、パレスチナ自治区との間の壁ができて間もなく
突然ヨルダン川西岸にある占領地からの撤退を表明。
イスラエルからの入植者の強行排除を行い、
同地域のパレスチナとしての独立の後押しを始めた。

何が彼をそんな風に変えたのか分からないが、
彼のその独断施策は支援母体であるリクードの猛反発にあい、
結局彼はリクード離党→中道政党設立に至った。
ところがそういう彼の新たな施策や新政党の思想は
大多数のイスラエルの人々に歓迎され
3月に予定されている総選挙では勝利が予想されていた。
イスラエルの人々も、暴力の連鎖に疲れ果てていたのだろう。

そんな中、彼は倒れた。
まだ道は半ばでしかない。
穏健派であるペレス元首相がその意志を継ぐべく
同じような意見を持つ閣僚と会談を始めたとのニュースを今朝見たが、
今が正念場。ここを逃すと更に混迷は深まるだろう。
遅きに失した感もあるが、ようやく動き出した中東和平。
鍵を握っているのはイスラエルの人々ばかりではない。
シャロン氏の意志を継ぎ、
イスラエル、パレスチナ双方が歩み寄って、
今度こそ暴力を断ち切って欲しい。

シャロン氏の恢復も心から願う。
コメント (4)
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