葉状条虫は回腸(小腸の最後)が盲腸へつながっている部分に寄生する(右)。
鈴なりと言うのはこういうのもいうのだろうか?
こうなると回盲部がただれる。たぶん腫れあがりもするのだろう。結合織も増勢するのだろう。
で、硬くなった回腸末端が盲腸へ重責すると左のようになって、この部分で腸閉塞を起こす。
水分だけは通過することも多く、食べると痛くなるが、しばらくすると治まる。しかし、食べるとまた痛い。を繰り返す馬の場合この回盲部の重責を疑う必要がある。
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左は盲腸に入り込んでいる回腸を引っ張っているところ。手術するなら、このように盲腸に入り込んだ回腸を引っ張り出して、回腸のもう少し上を盲腸にバイパスする。
腸捻転の手術より予後は良いが、回腸がどうしても引っ張り出せなかったり、締め付けられて壊死していたりすると、癒着や腹膜炎などが起こり予後は難しくなる。
そして、この障害は当歳秋から1歳馬に多いので、売買に差し障ることも多い。
しかし、手術しないで経過を見ても痩せていくばかりで死なないことが多いようだ。
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左は狭窄だけで重責していなかった回盲部。回腸(右)末端が分厚くなって盲腸(左)へ流れ込みにくくなっている。
fish eye(魚の眼)と呼ばれる特徴的な所見は腸重積像とされているが、腸壁の肥厚による狭窄でもこのような像になるようだ。このような回盲部の狭窄も、葉状条虫寄生によるものだと考えている。
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左は珍しい盲腸重責の写真。腹側結腸を切開すると、裏返った盲腸が入り込んでいた。
手術しても救うのは難しい。引き出せない盲腸を結腸の中で切除して、盲腸を摘出する方法が報告されている。
しかし、そんなことまでする気がしないのだ。
と言うのは、盲腸重責は葉状条虫の多量寄生で起こるからだ。葉状条虫が多量寄生すると盲腸がゴワゴワになり、動きも悪くなるので結腸へ飲み込まれると考えている。
助かる可能性が低い馬に手間と費用をかけるより、他の馬の駆虫に手間と経費をかけた方がいい。
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条虫は条虫用の薬でないと駆虫できない。ビチン、シルナック、プラジクワンテル、etc.で駆虫することが必要だ。
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グロい写真の後で、お口直しじゃなくて、目の保養じゃなくて・・・・なんていうんだ?
草だらけの花壇に、子供の数だけチューリップ。
悲劇が待ち受けていたのだが・・・・・・・
馬の減ったわが町でも、忘れがちな経験を無駄にしないよう気を付けたいです。
葉状条虫による疝痛は、寄生疝の中の何割くらいなんでしょうか。
チューリップの悲劇?犬かカラスかにやられたとか?
イベルメクチンが円虫・回虫に対して画期的だったので、葉状条虫が注目された。という図式がありますね。
寄生疝も確定診断できないことが多いので判断は難しいですが。
チューリップの悲劇。次回写真アップします。