蕁麻疹について書いたので、かつて経験したGGE(グアイフェネジン)アレルギーの症例について書いておこう。
その頃は、キシラジンで鎮静、ケタミンで倒馬、GGEにチオペンタールを混ぜた物を補液管で入れてから、馬を吊り上げて手術台へ運んでいた。
育成馬だったが、手術台へ載せるとチアノーゼが出ている。私が執刀する手術でもなく麻酔を担当していたのでもなかったが、「これはまずいよ」と言って、その日は手術を延期した。
感冒様症状が治まるのを待って予定した手術だったので、「まだ呼吸器に炎症があったのだろうか」くらいで、しばらくしてまた手術のために来院した。
同じことをやってみて、また同じ結果。可視粘膜チアノーゼ。そして、蕁麻疹。また、手術は延期した。
GGEへのアレルギーではないかということになり、3回目はGGEは使わずに手術台へ運んだ。すると何の問題もなかった。
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今はGGEはトリプルドリップによる静脈麻酔にしか使わなくなった。年間200頭くらいだろうか。
しかし、またGGEアレルギーの馬に遭遇する可能性はある。頭の隅にとどめておいたほうが良いだろう。
遭遇したら、すぐGGE投与を中止して、症状によっては副腎皮質ステロイド他を投与する必要がある。
そして、落ち着いたら皮内反応によるアレルギー検査を行えば良いのではないだろうか。
GGEアレルギーと気がつかなかったり、対応が遅れれば・・・・・たぶん死ぬ。
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ペニシリンショックも馬でも起きることが知られている。しかし、私は経験したことがない。
競馬場では結構あるそうだ。
蕁麻疹も運動のストレスが要因になると言われていて、現役競走馬に薬疹やショックが多いとしたら、ストレスが関係しているのかもしれない。
そういうと、日本人にこんなに花粉症やアトピーが多いのも・・・・・・
GGEのアレルギーがあるんですね。
今はかなり頻繁にGGEを使用しているので、よく用心しておかねばならないと思いました。
私は数年前ペニシリンショックに遭遇しました。馬術部の馬だったのですが、私が下級生の時にペニシリンを筋注して、針を抜いたら針に血が付いていて、シリンジにもちょっとだけ血が逆流して付いていました。血管に入っていない事を確認し忘れた!と思って青ざめていると、馬が興奮し始めて、とても繋いだままではいられなくなり、放して必死の思いでパドックまで連れて行きました。10分ほどで、だいぶ落ち着き、結局その後は何も問題がありませんでした。そのときは、ペニシリンショックは怖いと痛感したのですが、その後イロイロ研修などで見ていると、ペニシリンショックはそんなに多くないんですよね。私が体験した馬の一年前にも馬術部ではペニシリンショックになった馬がいて、先生がおっしゃるように、ストレスが関係していたのかと思い出しています。ちなみにその後は出ていません。
ひょっとすると本当に血管に入ったということも考えられますかね?
アナフィラキシーのペニシリンショックは呼吸困難とか、倒れてしまうだろうと思います。興奮は・・・・
>S.I.先生
バナミンもですか。気をつけなければいけませんね。でも、どう気をつけるかが難しいですね。
人医療では結局ペニシリン系を注射で使うことを減らしたんですよね。
そうなんです、興奮というのは、呼吸困難になったからなんです。鼻息がすごく荒くなって、苦しくて苦しくていても立ってもいられないという感じでした。高濃度のペニシリンがイッキに循環系にのってしまったことによるペニシリンショックだったので、軽度ですんだのだと思います。この馬は、その後ペニシリンを使っても、ペニシリンショックになることはありませんでした。一般的には、ペニシリンショックになった馬には、二度とペニシリンを使わない方が良いのですよね?
人のように本人に問診できないので、健康手帳などに記載して、ペニシリンショック歴有りなどとする必要がありますよね。
しかし、ペニシリンをうつのにいちいち健康手帳を確かめたりもしないか・・・・
それではどうもありがとうございました。
現職に付いたおかげでアレルギーには少し臨床時代よりは詳しくなりました。
馬は大動物の中では比較的アレルギーに弱い動物だと感じています。
アレルギーは極端な場合、注射をするという物理的行為でも起きますし、どのような薬剤にも起こる可能性があります。私は幸いなことに診療中では軽いアナフィラキシー(呼吸速迫程度)はありましたが、油性ビタミンなどでも起こることはあまり知られていない気がします。
通常臨床のみをしているとついついアナフィラキシーの対応の仕方はデキサメサゾンを投与する程度しか認識がありませんが、時間があるときに一度大動物に対するアナフィラキシーの対応方法の見直しをしなければとこの最近感じています。
ヨードの過敏症とか、注射針に塗られているシリコンへの過敏症などもあるそうですね。
生産地では逆に「ソクロウ」の馬などは減ったのではないかと思います。
油剤が危険性が高いのは生産地の獣医師は知っています。
人医療を見てもアレルギーは難しい問題なのでしょう。