以前、延々と馬の輸液療法について書いた。
その理由のひとつは、毎年、競馬場で馬が熱射病で重症化したり死んだりすると聞いたからだ。
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「熱射病は体表を冷やしても体表の血管が収縮してしまうので効果がない」
「熱射病は肺充血を起こしているので輸液で治療はできない」
などとも聞いた。
が、これは間違っていると思う。
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馬の内科学の成書にも、馬の熱射病、熱中症は病気や病態としてきちんと取り上げられていない。
(循環器、呼吸器、消化器、など器官別、臓器別に書かれている本が多いので、熱射病などは分類の点で漏れてしまいやすいのかもしれない)
Equine Internal Medicine の第二版と第三版にはHeat Stroke (熱射病・熱中症)として同じ文章が載せられている。
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”Heat Stroke
熱射病は体温が、多器官の障害につながる臨界温度まで上昇したときに起こる。
馬では、熱射病の症状は体温が41.5℃を超えたときに表れ、それは環境的にストレスが多い状態で運動させたことに最もよく起こる。
馬は様々なかなりひどい気候にも慣れることができるが、蒸発による熱放散は、暑く、湿度が高い気候では充分な効果をあげられないことがある。
熱射病への感受性は、発汗により脱水や電解質のバランス喪失が起こることで増加する。
体温が臨界温度に到ると、体温調節の恒常性機能は崩壊し、末梢循環の収縮、心拍出の低下、血圧低下が起こる。
罹患馬は高体温となり、筋肉は弱く、ゆるむ。
疲弊、循環性ショック、播種性血管内凝固、多臓器不全、そして死が起こりうる。”
(引用終了)
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以前にも馬の熱中症の予防と対処法の文章を紹介した。
こちらの英語のペットの獣医療情報のHPには馬の heat stroke について書かれている。
治療方法として、
体全体に水をかけること。
馬に風を当て、日陰に連れて行くこと。
重度の電解質喪失が起こるので、静脈内輸液が重要であること。
とされている。
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馬は発汗して体表から熱放散できる動物なので、全身に水をかけて冷やしてやることは体温を下げる上でたいへん効果的だ。
冷水浣腸も良い方法かもしれないが、
馬は蹴るし、直腸温が測れなくなるし、開腹手術中に大結腸や小結腸を浣腸してもらうことがある私は、冷水浣腸が馬の体全体を冷やす上でそれほど効果がないことをよく知っている。
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静脈内輸液による水と電解質の給与、そして循環の確保はたいへん重要だ。
馬は熱疲労で疝痛を示すことがあるので、消化管機能も低下している場合は大量の経口電解質は胃拡張や小腸膨満のリスクがある。
たしかに熱射病の末期には肺充血が起こるのだが、それは脱水と電解質喪失、心拍出量の低下、循環性ショック、さらには多臓器不全の結果として起こっているので、熱射病の治療のためには早期に充分な静脈内輸液をするべきだ。
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伸縮性物干し竿。
軽い。
3mまで 伸びるので、持ち上げておかなくて良い。
牧草用フォークより安全。
ステンレスのこんな棒なのに1000円しない。
1.7mまで縮むので子馬にも使える。
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安静にすることもたいせつですし、
だいたい馬を冷水に漬ける方法って・・・ないよね。
今日の雲はモコモコの夏の雲でした。
湿度もあって、こんな日におんさんと遊んだり眺めたりしたら、ちょっと危ないかも、と思いました。 アブも多くなってきましたし。
放牧している牧草地には、オラ君とこみたいな木陰もあるのでしょうか?炎天下の強運動や閉ざされた空間でねければ、大丈夫なものでしょか?
おんまさん、ギシギシは食べないけど、コゴミは食べちゃうんですね。夏はビタミンB1が大切なのに。
せめて、普段から、風を確保してあげる事でしょうか。
オラ君、清流に、砂浜。気持ちよさそうですね。
北海道はまだ大丈夫ですが、本州はもう相当な暑さのようですね。
酷暑の中で調教される競走馬は気の毒です。夜中でも蒸し暑いですから。
北海道の放牧地も日陰があるのが望ましいと思いますが、ほとんどの放牧地にはシェルターも木陰もありません。
今はワラビが生えているような放牧地はないと思います(笑)。人は好んで発がん性とVitaminB破壊酵素を持つワラビを食べますけど・・・
風があると良いですね。しかし、その具体的方法は難しいようです。
フロリダの厩舎は、壁はかなりが金網でできていて、天井と壁はつながっていませんでした。
大学の入院厩舎はエアコン付きでした。
さてこの場合高張食塩水を投与するという選択はありなのでしょうか。
重曹はイマイチなような気がします。。
低張性脱水では飲水欲がありませんが、熱中症で低張性脱水に陥るのは暑い日が続いて水ばかり飲んだあとかもしれませんね。
その場合、高張食塩液はありでしょう。重曹はどうなんでしょうね。