この時期に頼まれることが増える検査のひとつに牛のピロプラズマの検査がある。
血液塗沫標本(左)を作って、ギムザ染色する。
これは普通に白血球の百分比を数えるための作業と同じ。
ゴミやら、血小板やら、ジョリー小体(赤血球の核の遺残物)と紛らわしかったりするが、
倍率を上げるだけでなく、コンデンサーと呼ばれる集光器をスライドグラスに近づけ、光も絞らないで観察するのがコツ。
赤血球の中に空胞のようなものが見え、
それがピロプラズマだ。
赤血球に寄生する原虫で、多数寄生すると牛は貧血してしまう。
ダニが媒介するので、共同牧野などで濃厚感染し、せっかく放牧した牛が成長しないばかりか、ひどい場合は死んでしまったりする。
かつては、このピロプラズマ症のために閉鎖しなければならない牧野もあったほどだったが、今はコントロールできるようになったようだ。
結局、一番効果を挙げたのは殺ダニ剤によるダニ対策だったようだ。
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馬にもピロプラズマ症はあるが、今のところ海外にしかない。
ピロプラズマと言っても、牛と同じ原虫に感染するわけではなく、別な科(Babesia)の原虫に感染する。
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今日は、
2歳馬の球節の関節鏡手術。
1歳馬の副鼻腔蓄膿。
休養馬の輸送性肺炎の気管支肺胞洗浄。
セリ用のレポジトリー4頭。
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10日ぶりくらいの晴天だった。
やっぱり晴れは気持ちいいね!
少し聞きたいことがあったのでコメント欄に書かせていただきます。
私の知人から聞かれたのですが、隣の国の韓国で日本から輸送されたイルカが死んだらしいのです。死因がまだ分からないのですが(現在、韓国の獣医大学で解剖が行われているたいですが…。)死ぬ前の2日前に馬用駆虫剤EquiCip Olar Paste(成分は18.7mg+プラジカンテル140.3mg/gm イベルメクチン6.42mg)を夕方に1回。1日前に同じのを朝夕の2回与え、デキサメタゾンを筋注で10mlを1日1回、3日間投与したそうです。何かショック症状でもでたのでしょうか?何か分かりましたら教えてください。お願いします。
はじめまして。そのイルカの死亡事故のことは知りませんし、イルカの病気や輸送についてもまったく知識がありません。デリケートな動物だそうですね。
うちの法では最近ピロ陽性だと言われて牧場に上げられない牛がいます
ただ、検査しているヒトが本当にピロプラズマを判定できているのか謎です
なぜなら再検査で陰性で「前回の検査でみたのはゴミだったかも・・・」なんていうんです
こっちは、遠くまでガナゼックを打ちに行かされて
農協もその牛を牧場に上げられなくなったりで大変なのに。
検査者が、よくわかっていない・・・なんてあって良いことなのでしょうか。
北海道ではないかもしれませんが、こちらはままあるので考え物です。
ところでピロ検査陽性で症状を出した牛はいますか?
私はまだ貧血等の症状はほとんどみたことがありません(もっとも陽性かどうかが微妙ですが)
スミマセン
ピロ陽性だと牧野へ入れられないのですか?・・・・・ピロプラズマ症が問題になる牧野を清浄化しようとするのは厳しいでしょうね。血液塗沫標本で感染を判定しているなら、濃厚感染でなければ次回は感染血球をみつけられないことは有り得ます。
感染がひどくなると貧血します。牧野へ入れていない親牛でも分娩などを機会に抵抗力が弱まると貧血などの症状を表わす牛もいます。
抵抗力がつくと自然に良くなることもしばしばあります。
ごめんなさい!ギムザと書いてしまいましたが、うちでも使っているのはディフクイックです(笑)。
初夏に広々とした牧野でするピロの検診や治療も今思えば楽しかったような・・・・
ほぼ清浄化されているのが普通なので、一向に目が肥えないのです。
虚しいかな清浄化を目的としたプロトコールも確立されているので、
診断する必要もないと考える向きもあるかも知れませんが。
清浄化を要する牧場は、自治体にも力を入れてもらえないので
コスト面でソフトランディングさせないとミイラ取りになるでしょうね。
清浄化ブームの時に取り残されると悲惨ですね。。
ピロは診断の確度が必ずしも高くないので生活環を切る作戦が一番奏功したのだろうと思います。
肝蛭も激減したでしょうけれども(これも虫卵見つけたり生体診断できる若手は皆無でしょうね)
農薬で中間宿主がいなくなったり、自家藁を食べさせなくなったことが貢献しているはずです。
冗長で根拠に乏しい防疫が存在する事を獣医師は自覚するべきなのだろうと思います。
ピロも過去の病気になりつつあるのでしょうか。
慣らし入牧とか、毒血接種とか、集団検診とか、一世を風靡した病気だったんですけど、あっけないものです(笑)。
ありがとうございました。
そういえば、一昨年くらいにHt値が低かった個体がいました
特に具合は悪くなりませんでしたが。
それよりパピローマの方が問題かもしれません。