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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

雪の日

2012-02-25 | 新生児学・小児科

P2241857 前日夕方からの雪は、午前中も降った。

午前中、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

続いて、1歳馬の「肩」跛行の診断とX線撮影。

肩・肘異常なし、橈骨遠位関節面に軟骨下骨嚢胞。

トリアムシノロンを関節内注入する。

午後、2歳馬の喉頭内視鏡検査。

続いて、競走馬の披裂軟骨小角突起切除。

夕方、入院馬、3頭の治療。

1歳馬の中手骨骨折。安楽殺の依頼。

夜中、3日齢の新生子馬の疝痛の依頼。

午後11時19分。

変位疝でないこと、膀胱破裂していないことを超音波検査、X線撮影で確かめる。

ところが治療している暇なく、難産の連絡。

午前1時29分。

「横背位」と呼ぶべきどうしようもない胎仔失位P2251883_2

(右 ;図は獣医繁殖・産科学より)。

押し戻してだめなら、切胎もできないし、帝王切開するしかない。

というようなことが成書にも書かれている。

 輸送してきて胎位が変わっていないか、枠場に入れて触ってみる。

胎仔の肩甲骨と肋骨しか触れない。

 全身麻酔して、子宮施緩剤を投与して、押し戻そうとしてみるが、頭も前肢も後肢も触れそうにない。

 帝王切開を決断する。

「こんな胎位になっているのは、胎仔がもう死んでいるか、奇形だからだと思いますよ」

と言いながら。

                         -

午前2時40分に帝王切開を始めた。

なんと子馬は生きていた。

が、もちろん状態は良くないので気管吸引、人工呼吸、気管挿管、酸素吸入、etc.に人手がかかる。

帝王切開は一人でやらざるを得ないが、約1時間で終わった。

                         -

4組6頭の入院馬に、新たに2頭加わることになるが、入院厩舎に親子入院用の広い馬房がもう空いてない。

子馬の状態も良くないので、覚醒室で酸素吸入しながら治療看護することにする。

P2251876 母馬に自分の子どもだと認めてもらえるように、

せっかくきれいに拭いて乾かした子馬に羊膜をかぶせる。

お母さん馬が、自分の子馬をどうやって認識しているのかはわからない。

たぶん、匂い、それも尿か、羊水か、汗か、わからないし、分娩の痛みか経験か、哺乳行動か、オキシトシンか、その他のホルモンのなせる業か、わからない。

人が一番間抜けで、産院で赤ちゃんを取り違えても気づかない。などと、怒られるようなことを考えるのは、たぶん寝ていないせいだ・・・・・笑。

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重症の眼科症例の検査のあと、関節鏡手術の練習。

こういう生活を面白く、やりがいがあると思える人、募集中です。


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
hig先生おつかれさまです。 (kinako)
2012-02-25 22:51:29
hig先生おつかれさまです。

 この牝の仔馬、元気になりますよう。前の記事の、喉嚢真菌症手術をした母馬が子連れで来院、よかったなぁ、人の赤ちゃんの1ヶ月検診のよう^^と思っていました、そうなるとよいですね(祈)
 春のお忙しい季節がきたのでしょうか、hig先生のご健康をお祈りします!
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>kinakoさん (hig)
2012-02-26 06:22:39
>kinakoさん
 そろそろ来るなと覚悟はしていたのですが、大当たりでした。
 子馬はとても可愛く、頼りないです。産科、小児科のたいへんさも生産地にはあります。
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