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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

盲腸結腸重積の1例の末路

2018-12-22 | 急性腹症

この晩秋、盲結腸重積を4例手術した。

年に1,2頭あるかないかだったので、今年は特異的に多い。

その1例の当歳馬が、手術後調子良くなっていたのだが、1ヶ月あまりして疝痛を起こした。

もう一度開腹しましょうということにはならないでしょう・・・・ということで・・・・

翌日来院したのだが、諦めた。

               ー

多少の癒着があり、小腸の大半が腸間膜根部で捻転し、もう壊死してしまっていた。

私はこの症例の手術には立ち会っていない。

腹側結腸へ入り込んで抜けなかった盲腸はそのままにして、空腸を腹側結腸へバイパス(切除しないで惻々吻合)したとのこと。

右下が盲腸。

抜けていた。不思議。

あまり傷んでいる様子もない。

右が盲腸。

左がバイパス部。

元の回盲部も働いていたようだ。

盲腸の粘膜側、特に盲腸尖部は浮腫があり、少し裏返っていた。

              ー

4頭の盲結腸重積馬のうち2頭は生きている。

今月私が立ち会った当歳馬は、結腸に入り込んでいた盲腸を引き抜けた。

回盲部重積も起こしていて、回腸盲腸バイパスも行った。

              ー

大事なことは・・・・その牧場も、ほかの牧場も、しっかり葉状条虫の駆虫をして、

盲腸重積、回盲部重積、盲腸便秘、盲腸破裂を予防することだ。

             //////

やすらかな冬のまどろみも、健康あってこそ。

 



4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (はとぽっけ)
2018-12-22 18:45:45
 だから言ってるじゃないか、なわけですね。
 腸重積は死後はほどけるものですか?弛緩するだけではほどけないですか?
 若い馬に多いのは食べ物の変化とか、消化管やその機能、神経系が未熟なためもあるのでしょうか?寒さもポンポン痛い痛いになりやすいですね。
 おんまさんの盲腸引っこ抜く!
 オラ君は午睡なのですね。鶏は今日は15時にはマジ寝。寝つきよく、途中覚醒なし!毎日早朝覚醒ぎみ。
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Unknown (Unknown)
2018-12-23 04:52:44
寄生虫による疝痛も手術して助けようとしますが、成績は必ずしも良くはありません。寄生虫のコントロールをすることが、もっとも学ぶべき大事なことだと思います。

寄生虫も免疫でコントロールされていて、弱い個体も居るようです。
葉状条虫に関して言えば、ササラダニが中間宿主だとわかっているので、ダニをコントロールする方法があればと思います。
昔、野焼きは寄生虫対策だと聴いてもピンときませんでしたが、九州九重高原とか、奈良の三笠山とか、南国では必須の農業技術なのでしょうね。

寝ている姿を撮影するチャンスは少ないです。丸まった姿の頭が可愛いです。
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馬はピレスロイド系の背中に垂らす薬使わないの? (脱サラの牛飼い)
2018-12-23 17:58:09
ダニのコントロールに馬はピレスロイド系の薬使えないの?ですか。西日本の牛の放牧ではかなり効果がでていると思います。昔私の地域ではダニにかなり強い和牛でもフタトゲチマダニによる小型ピロプラズマ(タイレリア)で重篤な病状になる牛が出ていましたが、ピレスロイド系の薬を使うようになってから治療が必要になる牛は相当減ったと思います。ピロに非常に弱い(ほとんど抵抗力が無いかと思うほど)ホルスタインでも2週間ずつ交互に放牧・舎飼いで放牧している事例もあります。多少貧血治療することもありますが。ホルはイベルメクチンも時々併用していたと思います。昔の放牧牛には首や陰部、乳房などにダニがたくさんついていることがありましたが、今の放牧牛はダニを目視することがほとんど無くなりました。(貧血症状が出ることがあるので付いているのでしょうが)
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>脱サラの牛飼いさん (hig)
2018-12-23 19:02:12
ダニと言ってもとても小さくて、吸血しないダニなんですよね。牧場の草や石の陰にいるようです。
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