新人


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大手の得意先から、新人向けに講習会を開いて欲しいと頼まれた。
実はもう何年にも渡って、その得意先に新しく入ってきた人たちを対象に、勉強会を開いている。
まあ、いわゆる工場見学である。

実際に製造している現場を販売員が見ることで、販売促進につなげようというものだ。
製品の内部がどうなっているのか、どういう工程で作り上げているのか・・を自分の目で見て知ることは大きい。
お店でお客様に説明する際に、実際に製造現場を知っているかどうかで、話のリアリティが違ってくる。
自信を持って説明できなければ、お客様にはすぐに見破られてしまう。

実際この説明会以降、売上を伸ばした人が何人もいる。
送られてくる発注書の販売担当者の欄に、見学に来た新人の名前が書かれているので、おお、頑張っているな・・と分かるのだ。
その結果を見ているので、得意先でも、この講習会は極めて有効であると考えているようだ。
毎年数名の新人の研修を頼まれるようになった。

今年は2組に分けて実施することになり、先日まず最初の組を対象に会を開き、製造工程を見てもらった。
いきなり見せられても、工場で働いたことの無い人にとっては、ちんぷんかんぷんであろう。
ポカンとした顔で見ていて、話の半分も分かっていないな・・という印象を受ける。
でも、それでいいのだ。
これから販売の経験を積み重ねていくと、研修で見たり聞いたりした内容がよみがえり、ああ、そうだったのか・・という事になる。

実際、新人の時に研修を受けて、翌年もう一度受けたいと申し出る人がけっこういる。
ある程度経験を積んだ今、もう一度現場を見れば、身になるものがはるかに大きいと、当人が感じているのだ。
今年も新人に混ざって、昨年見た顔がいた。
自分から再度受けたいと訴えるくらいだから、向上心を持った人なのだろう。
昨年よりはるかに貫禄が付いて、どっしり構えているのが面白かった。

一方今年入ったばかりの新人は、皆まだ子供のような顔をしている。
中には緊張で顔が引きつっている人もいた。(何も緊張するほどの事ではないのだが・・・笑)
もしかすると、昔より若者の経験値が低くなっているのかな・・とも感じた。

もう何年も前の事であるが、一番最初に得意先とこの会を開いた時、新人ばかりでなく、ベテランを含めた販売員全員に講習を受けさせたいという話になった。
しかし一度に全員はとても無理なので、1回の人数を数名と決めて、午前と午後で1日2組ずつ実施することになった。
ところが人数が多すぎて、結局2週間ほぼぶっ通しで毎日開催する・・という凄まじいことになった。
連日朝から晩まで説明して、さすがにへとへとになったのを覚えている。

今回は2回だけだが、その1回目で半日話しただけで、何だか疲れてげっそりしてしまった。
暑かったこともあるが、やはりこれは自分の年齢が原因であろう。
あちらは新人でも、こちらは定年間際の老人なのだと、改めて思い知った次第である(笑)
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炊きたて


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会社の電子レンジでご飯を炊いてみた。
Mrs.COLKIDの実家から送ってもらったお米を、会社のレンジで炊いてお昼に食べたのだ。
専用の容器に入れて10数分かけて調理した。

これが美味しかった。
もともと田舎のお米は美味しい。
何せ農家が身内用に特別に手をかけて作ったお米だ。

それを簡易的な調理法とはいえ、炊きたてで食べたのだ。
けっこうビックリするような美味しさであった。
甘くてふっくらとしていて瑞々しかった。

普段は前日に自宅で炊いたものを、会社で温めて食べている。
美味しい炊飯器だが、でもやっぱり炊きたてには敵わないな・・・
今後はこのやり方で行こう。
お昼に炊きたてのご飯なんて贅沢だよな・・・(笑)
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名人


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仕事でPhotoshopを毎日のように使う。
長年このソフトを使っているが、実のところ、操作は完全に自己流だ。
一度も正式に習ったことは無いし、解説の本もほとんど読んだことが無い。

そのため極めて基礎的なことで、分かっていない事がある。
へー、こんな便利な機能があるんだ・・と今でも発見することがよくある(笑)
ちゃんと勉強して使えば、もっと効率よく作業できるんだろうな・・とは思う。
しかし面倒臭くて、何となくそのままになっている。

自己流で開発した変なテクニックもある。
ある特定の条件で、自動調整のフィルターを使うと、ソフトが判断できないようで、加工結果がとんでもないものになる。
で、その結果をレイヤーにして僅かに混ぜて使うと、これがいい味付けになるのだ。

ところがそれをやり過ぎると、会社のパソコンだとPhotoshopが落ちてしまう。
エラーが出るのではなく、いきなりソフトが落ちてしまうのだ。
当然加工途中のデータは失われてしまう。

使用するエリアが足らなくなるのか・・・それともロジック上のバグなのか・・・
いろいろやっているうちに、画像の解像度を落とすと何とか動いてくれることが分かった。
これは危ないな・・と思ったら、最初から画像をリサイズして軽くしてから処理している。

というか、そもそもそんな変な使い方をしてはいけない・・という事なのだろう。
先にちゃんとマニュアルを読んで、十分に理解してから操作するのが正しい使用法だろう。
僕のでたらめなやり方では、機械を壊しかねない。

そういえば昔フランスの小型車に乗っていた時に、左右の足を使ってブレーキとアクセルを同時に踏んだりした。
それが原因とは言い切れないが、想定外の使い方で車のプログラムが破壊されてしまうのか、いきなりアクセルが全開になり暴走する・・という現象が何度か出た。
細い道で急にフル加速を始めるので、慌ててブレーキを目一杯踏んで車を止めたが、危険極まりないことであった。
考えてみたら、僕は自分流のやり方で機械を壊す名人なのかもしれない。
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パーツ


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フェラーリやランボルギーニばかりを、何台か乗り継いでいる男性と話した。
と言っても、大金持ちでステイタスとして乗っているのではない。
中古車を購入して、自分で修理して乗るのだ。
もともと機械と電気の専門家なので、そういう作業は得意なのだ。

人間が作ったものだから、直せないことはない・・という信念で、どんどん分解してしまう。
車が納車されると、最初に自宅の倉庫でばらばらにして、問題の出そうなパーツを先に交換してしまう。
先日もムルシエラゴのエンジンを外したそうだが、あの車は4WDでシャフトが前輪にも繋がっているので外すのが大変らしい。
自宅でチェーンでエンジンを持ち上げている写真を見せてくれた。

あの手の車は、工業製品というより手工芸品に近い。
まずはカッコいいザインを決めて、それに合わせてパーツを組み上げた・・という感じのものが多い。
そのためメンテナンス性を無視した設計箇所も多く、ベルトを交換するだけで、いちいちエンジンを本体から外さなければならなかったりする。
パーツ単体の金額は大したことはなくても、作業工賃が加わるので、ディーラーなどでベルト交換すると、百数十万円の請求になってしまうのだ。

その手間の部分を、その男性は自分でやってしまうわけである。
パーツ自体は、ネットなどでいくらでも入手できるという。
もともと機械屋さんなので、ばらすことに物怖じしない。
エンジンまでバラバラに分解してしまう。

やはり車ごとに弱い箇所があって、年中その部品が故障して動かなくなる。
全国の同じ車種のオーナーが、共通して悩まされているという。
しかし自分でバラしてみると、壊れる原因まで詳しく解明できる。
ある故障では、ディーラーに修理に出すとユニット一式の交換になり、その度に何十万円も修理代がかかる。
しかし分解して調べると、交換パーツのメインの部分は生きており、その横に付いている小さいパーツが壊れただけ・・ということが分かったという。

機械の専門家なので、パーツを見ればどこで作ったものか大体見当がつく。
早速部品メーカーから、より信頼性の高いパーツを取り寄せて交換してみた。
それだけで車が生き返り、見違えるように調子が良くなったという。

当然日本中のユーザーが同じ故障で苦しんでいるので、ネットで情報を伝えてあげる。
自分で修理する人や、親しい車屋さんで整備している人が、その情報をもとにパーツを取り寄せて交換する。
車の調子が嘘のように良くなったと、だいぶ感謝されたらしい。

面白いのは、メーカーも車を製造するに当たり、外部から取り寄せるパーツが意外に多いということだ。
高い車とは言っても、コストのことは考えなければならない。
台数が出ないのに、すべて自家製のパーツで作っていては、本当に天文学的な金額になってしまうし、現実の問題としてそれは不可能であろう。

そのため実際に多くのパーツを、他のメーカーから取り寄せて使っているのだという。
単純な流用で、本当に取り替えるだけで動いてしまうものも多いらしい。
これは恐らく米国車のものだな・・フォードかな、GMかな・・などと、パーツの知識を駆使すれば大体分かるという。
そちらのパーツを取り寄せれば、数千円で済んでしまう事も多い。

有名な話であるが、ディアブロのヘッドライトのユニットは、日産のZ32のものがそのまま使われていた。
世界的にリトラクティブル・ヘッドライトが使えなくなり、設計変更を迫られたランボルギーニが、日本のユーザーがZのパーツで改造しているのを見て、気に入って採用したという噂がある。
さすがにNISSANと刻印されている部分が見えないように何かかぶせてあったという。

その男性も、ディアブロを保有していた時に、日産からライトのユニットを取り寄せたことがあるという。
純正品で交換すると80万円からかかるらしいが、ニッサンのパーツは10万円ほどで入手できたらしい。

男性は仕事には軽自動車で来る。
帰宅したら12気筒で少しだけ街を走ってみる。
少し乗って満足して止める・・というのが、男性のああいう車の楽しみ方なのだそうだ。
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修正


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3日ほど前に、神社仏閣を紹介する新シリーズの第一弾として、根津神社について記事にさせていただいた。
記事の後半、神社で撮影した写真を適当に並べたところ、これでは分かりづらいという指摘をいただいた。
何を撮ったものであるのか、説明が欲しいというのだ。

そこで先日書いたページを修正し、それぞれの写真に短い説明文を入れてみた。
説明が入ると、画像を脈絡なく適当に並べていることが気になり始めた。
そこで画像の順番も、歩くコースに近くなるよう、入れ替えてみた。
少し見やすくなったかと思う。

やはり神社について、しっかり調べた上でないと、記事は書けないな・・・
普段神社仏閣に行く時も、歴史や成り立ちなどを調べて行かないと駄目であると、最近痛感している。
知識があると無しでは、見えてくるものが違ってくるのだ。
また、知識が無い状態で行くと、重要な部分を撮り損ねる可能性もある。

画像に関しても、過去に訪問した時に撮影したストックがかなりあるので、そちらを使って作ることを考えていた。
しかし勉強してから再度訪問して、どうせならZ9で撮影して、それから書いた方がよさそうだ。
という訳で、このシリーズは書くのにもう少し時間をいただくことになりそうだ。
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片付け開始


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ちょっと必要が生じて部屋を片付けている。
まずは土曜、日曜と片付けた。
かなり大変だった。

ひとつには体力が落ちているね。
腰を痛めていることもあるが、重いものを持つことが出来ない。
何しろ重いものが多いのだ、僕の部屋は(笑)

一時的に部屋が荷物で一杯になったので、昨日はパソコンのところまで辿り着けなかった。
仕方なくここもスマホで更新した。
まあ、スマホでも、更新しようと思えば出来ることは分かったが・・・

まだまだ部屋の片付けは続く。
今晩はさらに奥の方に手を付けて、次の段階に進まなければならない。
というわけで、今日はこれで・・・
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今日は足立で花火大会があると聞いていた。
我家のベランダから打ち上げた花火が見える大会のひとつである。
花火大会のある日は、昼間のうちから浴衣を着たカップルたちが、街を歩き始める。
現地にそれほど近い訳でもないのに、何となくソワソワした若者が大勢出てくるのだ(笑)
ある意味晴れの舞台なのだろう。

外でドンドンと低い音がし始めた。
まだ明るいのに、もう始まったのかと思い窓際に行った。
すると花火とは違う方向で、稲光が走った。
数秒後にゴロゴロと音が響いてきた。

花火じゃなくて雷だったんだ。
またピカッと光った。
稲光はどれも地面に垂直に走る。
まだ少し遠いようだが、どこかに落ちたのがはっきり分かる。

数秒おきにひっきりなしに落雷がある。
どうやら花火大会の前に雷大会が始まったようだ。
母親と一緒に、窓際でしばらく雷を見物した。

そうしているうちに、花火大会が中止になったという一報が入った。
えっ、雨天決行と聞いていたのに、雷が鳴ると中止なの?
まあ確かに危険だしな。
しかしまだ雷は遠いのに、こんなに早く中止が決まるなんて・・・
浴衣を着て集まった若者たちは、さぞやガッカリだろう。

ところが程なく、雷が盛大に鳴り出した。
バリバリドンドンと閃光と重低音が響き、かなり近くに落ち始めた。
たちまち強い雨が降り始め、地面や屋根を叩く音が室内にまで入ってきた。
窓を開けてみると、凄い湿気と気温だ。

その状態がそれから長く続いた。
花火どころじゃないだろう。
こりゃあ中止にして正解だな。
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根津神社

 

FUJIFILM X100V

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先日予告した神社仏閣の紹介シリーズ。
最初は根津神社にする。
東京十社の紹介のページでも、一番最初に来る神社なので、その順番に合わせることにした。
またブログ記事のカテゴリーにも、新たに「神社仏閣」という項目を設けてみた。

基本は簡単な説明とその神社で撮影した画像数枚を載せる予定。
画像はすでに使用したものや、これから使用するかもしれないものも、気にせず混ぜることにした。
あまり形式にこだわらず、再訪した折には、同じ場所を再度掲載するかもしれない。
神様は人が参拝に集まることを喜ばれるそうなので、こちらを見た方々が少しでも神社仏閣に足を運んでいただければと思う。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

根津神社は、地下鉄の根津の駅から歩いて5分程度の場所にある。
いくつかの駅から同じくらいの距離にあるが、根津駅からだと正面の表参道から入るコースになる。

神社内には池があり、カメやコイがのんびりと泳いでるのが見られる。
以前南側に大きな池があったが、現在は森鴎外の旧邸宅の移築のため、水が抜かれて工事中になっていた。
東京(帝国)大学が近い事もあり、かつては付近に文豪たちが多く住み、夏目漱石や森鴎外も氏子であったという。
境内には彼らが散歩の際に腰を下ろしたという文豪の石がある。

根津神社で有名なのは、何と言ってもつつじ苑であろう。
春に開催されるつつじまつりの期間中のみ、有料でつつじ苑に入ることが出来る。
100種3,000株のつつじの壮観な光景が楽しめる。

根津神社の歴史は、1900年前に日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東夷征定の際に千駄木の地に創祀したのが始まりとされている。
その後、文明年間(1469~87)に太田道灌が社殿を奉建したというが、その当時の場所は今の千駄木の団子坂であった。
現在根津神社のある場所は、甲州徳川家の江戸藩邸があったが、五代将軍綱吉が屋敷地を献納し、現在の社殿を奉建した。
ここは六代将軍家宣の生誕の地でもある。

根津神社では祭神として須佐之男命(スサノオノミコト)、大山咋命(オオヤマクイノミコト)、誉田別命(ホンダワケノミコト)で、相殿では大国主命(オオクニヌシノミコト)、菅原道真公(スガワラミチザネコウ)が祀られている。
5柱の神様で御神徳も多岐にわたる。
明治時代に神仏分離令によって社名を根津権現社から根津神社に改称、明治天皇より准勅祭社と定められ、現在の東京十社に繋がっている。
ただ昭和20年1月の空襲で建物内部が甚大な被害を受けたそうで、修復に昭和30年代までかかっている。

境内には乙女稲荷と駒込稲荷のふたつの摂末社(その神社の管理下にある小さい神社)があり、乙女稲荷には千本鳥居の参道が繋がっている。
こちらの稲荷でも、かなり霊気の強いキツネさんが迎えてくれる。
神社の歴史を見てきたであろう境内の巨木が、写真を撮って、神社の姿を後世に残しなさい・・と話しかけてきたような気がした。



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表参道鳥居左手の社号碑。「元准勅祭」と書かれている。

 


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重要文化財の楼門。二階建てになっているのが特徴。向かって右側は水戸黄門と言われている。

 

 

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楼門から入ると右手にある舞殿。社伝神楽「三座ノ舞」などが奉納される。

 

 

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唐門をくぐると、りりしい顔をした狛犬さんたちが迎えてくれる。

 

 

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お詣りする拝殿は重要文化財で、五代将軍徳川綱吉が奉納した権現造りの建物。拝殿の奥には幣殿、本殿がある。

 

 

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周囲の透塀を通し拝殿を横から見たところ。何か強い力を感じさせる。

 




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4月にはつつじの花で華やかに染まるつつじ苑。つつじまつりの期間中は100種3,000株のつつじの花が楽しめる。

 




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つつじ苑の横に立つ巨木が、話しかけてくれたような気がした。ここで長い歴史を見てきたのであろう。

 

 

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乙女稲荷への道は千本鳥居を通って行く。海外からの観光客をはじめ、大勢の人が写真を撮るスポットだ。

 




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乙女稲荷は舞台造りになっており、池のある景観を上から眺めることができる。

 




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奥にひっそりとある駒込稲荷。根津神社が千駄木から遷座する前からの守り神。霊気溢れるキツネさんたちが迎えてくれる。

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コイン-2


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これは過って落としたものでではないな・・・
意識して椅子のクッションの隙間に、コインを入れているとしか思えない。
それも過去にこの別荘を借りた人達が、共通してやっているのだ。
次の人のためとか、幸運のおまじないとか、何か意味のあることなのかもしれない。

大量のコインを前に、だんだん不安になってきた。
面白がって椅子の隙間から出してしまったが、何かの風習だとしたら、それを無視してほじくり返してしまったことになる。
考えずにやってしまったが、バチでも当たるのではないか・・・

そもそもこれは遺失物とも言える。
借りた別荘だし、みつけたコインは自分たちのものではない。
ゲームに夢中になるように、つい集めてしまったが、勝手に貰ってしまうわけにはいかない。

結局大人たちから言われて、コインを戻すことになった。
皆でソファーのクッションの隙間に、もう一度コインを落とした。
子供ながらに、何だか損したような気分になった。

もう半世紀も前の話であるが、あれは不思議な出来事として記憶に残っている。
明らかに意図的にソファーの隙間にコインが入れてあった。
でもどういう意味があったのだろう・・・

先日会社にベルギーの資材メーカーの営業の女性が来た。
中年のキリッとした顔立ちの白人の女性である。

仕事の話の前に、女性の経歴など聞いてみたところ、生まれはクロアチアだという。
しかし現在はオーストラリアに住んでいるのだという。
アジア担当なので、その方が都合がいいのだろう。
あちらの人は、けっこう簡単に海外に移住する。

どの国に行ったことがあるか・・という会話の中で、営業の女性が、スペインには25年間住んでいた・・と言った。
その瞬間、あの50年前のコインの話が蘇った。
25年もいたなら、あちらの風習に詳しいはずだと思い、聞いてみることにした。
スペインではソファーの隙間にコインを落とす風習があるのか・・・

しかし女性は、そんな風習は聞いたことがないという。
「それは不思議な話ね・・」とは言ったが、それで話は終わってしまった。
その後すぐに仕事の打ち合わせに入った。

営業の女性は、今回の出張には、オーストラリアから家族も連れてきたのだという。
これから家族と一緒に日本の観光を楽しむつもりらしい。
会議が終わると、昼食の誘いを断り、早々に帰っていった。

というわけで、残念ながら、この話にオチはない。
結局50年来の疑問は解けなかったのである。
おしまい。
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コイン-1


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小学生の頃、夏休みを利用して、パリに駐在していた外務省の叔父の家に遊びに行ったことがある。
その家の息子である年上の従兄弟と二人で飛行機で行った。
1973年頃のことなので、もう50年以上も前の話である。

1ヶ月ほどの滞在の間、叔父の一家とフランスから他の国に2度ほど旅行した。
他の国と言ってもヨーロッパは地続きなので、車で国境を越えての移動である。
一国はベルギー、もう一国はスペインであった。

スペインに行った時の話、海に面した斜面にある別荘を借りて、数日間過ごした。
ベランダから地中海が一望できる家で、今思えば最高のロケーションであった。
あちらではバカンスにそういう別荘を借りてのんびりと過ごす・・という生活が一般的であった。

その時は、大使の家の息子さんたちと一緒に行った。
まあ、悪ガキ4人なので、当然走り回る。
別荘はさぞや賑やかだったろうと思う。

別荘の広いリビングで遊んでいる時、長椅子の座面にあるクッションの脇の隙間に手を入れた。
すると何かが指先に触れた。
何だろうと思い、引っ張り上げてみると、コインであった。

おお、お金をみつけたぞ!・・と声を上げた。
こんな隙間にコインが落ちていた。
叔父が、きっと前に借りた人のポケットからこぼれ落ちたのだろう・・と言った。

儲かったな・・なんて話していると、もう一人が、やはりクッションの隙間から、もう1枚コインをみつけた。
「やった、またみつけたぞ!」
子供たちは大喜びである。
意外にコインってポケットから落ちるものなんだな・・・

こうなると宝探しである。
リビングにあるソファーを先を争ってチェックしはじめた。
クッションだけ外れるタイプの椅子ではないので、隙間に手を突っ込んで中を探った。

すると不思議なことに、コインが次から次へとみつかるではないか。
5枚や10枚ではない。
クッションの隙間から、大量のコインが出てくるのだ。

机の上に並べていくと、そのうち一袋になるほどの量になった。
それも様々な国の通貨である。
さすがに大人たちも呆気にとられている。

つづく
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