悩む楽しみ


Z7 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

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カジュアル系の黒いベルトを買おうと思った。
もちろん既にひとつ持ってはいるのだが、ジーンズを変えるたびに毎回付け替えるのが面倒であった。
茶色と黒が半々の革靴と違い、多色使いのスニーカーの場合色を合わせるのが難しく、結局黒で済ませてしまうことが多い。

最初はいつもの通り米国のホルスターメーカーのベルトを買おうと思った。
僕が高校生の頃から愛用しているものだ。
重い銃を入れたホルスターを通すので、多くは2枚の革を貼り合わせてあり、厚くて頑丈に出来ている。
長くもつので、買い替えのタイミングも20年に一度・・という感じだ。

ところが久しぶりに米国のサイトを見ると、名だたるホルスターメーカーの多くが、統合あるいは淘汰されて無くなっている。
生き残ったところも、主要ラインは革製からナイロン製のものに移行している。
従来の革製のベルトも少し残ってはいるが、何十年前から進化しておらず(僕が子供の頃と同じ型番!)、むしろコストダウンで退化しているようにも見え、何だか買う気持ちが失せてしまった。

海外オークションなども見たが、品質がそれなりのものは価格も安くは無く、送料や税金を考えると割高になってしまう。
そこで国内で販売されているベルトを探してみた。
例によって中国かどこかで作ったものは非常に安く、千数百円くらいで買える物が多い。
しかし一度買って懲りている(笑)
一方ブランドものや品質にこだわったものは、1~2万円から上になる。

素材の革に特別なものを使っているという謳い文句のベルトもある。
と言っても日本のタンナーの革やクロムエクセルを使っているという意味で、米国のサドルレザーなどを使ったものはほとんどない。
ライニングが無く、切りっ放しの1枚革で作られたものが多いのも気になったが、ホルスター用ではないのでそれは仕方がないのかもしれない。

まあ、それほど急いでいるわけではない。
慌てて決める必要はない。
あれはどうだろう、これはどうだろう・・と、1ヶ月以上検討してみた。
そうやって悩むこと自体が楽しいのだ。

時間が余ると、スマホやパソコンでベルトを探してみる。
候補がみつかっても、あえてすぐには注文せず、そのまま保留にしておく。
そういう状態をしばらく続けた。
ネットで注文すれば何でも翌日届くが、それをあえて買わない・・というのも、ひとつの楽しみ方であると分かった(笑)

先日、ふとアメ横のガード下を覗いてみた。
何か面白いものがあるかもしれない。
アメ横にはベルトや財布など革製品の専門店がけっこうあるのだ。

ある小さいベルト屋さんに入り、店内に吊り下がったベルトを見ていた。
すると回転式の展示台の裏の方に、縁にダブルステッチの入った黒いベルトをみつけた。
あれっと思い、手に取ってみた。

革の質は平均的なものだが、2列のステッチの片方の糸だけ色を微妙に変えるという、凝ったことをしている。
定価の半額程度まで値引かれており、その上さらに3割引くというシールが貼ってある。
計算してみると驚くほど安くなる。

当初考えていた条件をすべて満たしている訳ではなかったが、なかなかよく出来たベルトである。
この価格ならどう考えても安い。
価格のメリットがこれだけ大きければ、少々条件と違う部分は目を瞑ってもいい(笑)

お店の人が、よくぞこれに目を付けた・・という表情で、型落ちモデルなので超お買い得だと教えてくれた。
「アメ横では探せば時々こういうのが出てくるんですよ」と、上手いことを言って、こちらの心をくすぐってくる(笑)
結局そのベルトを買うことにした。
こういう買い方もまた楽しいものである。
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