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D850 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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腕時計用のナイロン・ベルトというのがある。
主に軍用の時計に使われるナイロン製のベルトで、汗や水に強く耐久性も高い。
軽くて装着感も快適である。
比較的安価なので古くなったら買い換えればいい・・という便利なものである。

バネ棒の隙間に挿して時計の裏側を通して使う。
時計に当たる部分が二重になっているNATOタイプと、一本ベルトのシングルタイプがある。
またバックルが丸くて太いZulu(ズールー)ベルトというのもある。



手持ちのトレーサー用にシングルタイプのZuluベルトを購入した。(上の写真)
バリスティック・ナイロンという特別に強度の高い頑丈な素材が使われていて、時計のバネ棒の狭い隙間を通すのが大変なくらいベルトに厚みがある。
一度通せば時計も簡単には動かないので、シングルタイプでも十分である。

一般的にナイロン・ベルトは、どういうわけか全長がとても長く作られている。
体格のいい軍人向けということなのか、日本人がつけるとかなり余ってしまう。
余った分を折り返してリングに通してたたむのがカッコいいのだと言われる。
Zuluベルトのバックルやリングが大きいのも、その折り返した分を入れるためであろう。



個人的には余った分を折り曲げて収納する方法がどうしても好きになれなかった。
上の写真はNATOタイプのベルトを折り返したものだ。
まだこの写真のベルトの場合は薄手なのでいいが、バリスティック・ナイロンのように厚みがあると、折り返し部分がドーンと分厚くなって時計本体より目立ってしまう。
せっかく軽快さが売りのナイロン・ベルトなのに何だか矛盾している。

子供が大人用のぶかぶかの服を着ているみたいで、見ようによっては滑稽でさえある。
あの余った部分を何とかできないものか・・とずっと考えていた。
だいいちあんなに不安定な収納方法で、戦闘の最中に解けてしまった場合危険ではないのだろうか。



今回購入したものはベルトに厚みがあるので、折り曲げるのが特に大変だ。
かといってそのままだと、ご覧のように(上の写真)ベルトの先端が飛び出してしまう。
これではいちいち引っかかって邪魔である。
このベルトの場合は余った部分がそれほど大きくはないので、先端を数ミリ切り詰めてしまえば使いやすくなるのではないか、と考えた。

こういう素材はハサミで簡単に切ってしまうわけにはいかない。
切断した個所から素材がパラパラとほつれてきて酷いことになるのだ。
実際の製品も先端部の裁断した部分は熱で溶かしてあるので、恐らくレーザーでカットしているのだろう。



ならばと僕もレーザーで裁断することにした。
ちょうど会社にレーザー裁断機があったので、それを借りることにした(笑)
専用プログラムで半円形のトレースラインを作り、ベルトを固定してカットしてみた。

ベルトの幅は22ミリであるが、少し大きめにして直径23ミリの半円を描いた。
レーザー裁断機は素材に応じてレーザーの出力と移動速度を調整して裁断を行う。
この素材がどのくらいの力でカットできるかは分からないので、出力を弱めにして何回か照射してみた。
数回繰り返したところで綺麗に切断することが出来た。



とりあえず目分量で数ミリ程度カットしてみた。
半円が完全に中央にきていないのはご愛敬である(笑)
ど真ん中に合わせるのはけっこう難しくて、実際オリジナルのストラップも少しずれているものが多い。

切り口は実にきれいに溶けていて、オリジナルの裁断面よりいい程である。
滑らかで引っかかりが無い。
ベルトの穴の位置との関係で、あまり短くカットし過ぎても外観が悪くなる。
本当はもう少し切りたかったが、とりあえずこの状態で試してみることにした。



実際に腕に着けてみると、ベルト先端部分はまあまあの位置にくる。
Zuluのリングを倒して押さえつけると、飛び出した部分の納まりも良くなる。
実用面ではかなり改善されたので、今回はこれでよしとして、しばらく使ってみることにする。

裁断が簡単にできるとなると、俄然ナイロン・ベルトが楽しくなってきた。
何しろ価格が安いので躊躇せずにカットできる(笑)
他にも試してみたくなった。

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