先客


D3X + Carl Zeiss Distagon T* 21mm F2.8 ZF

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誰もいない夜の戦場ヶ原を通過し、湯ノ湖まで行ってみた。
夜遅く、カメラの機材をかついで出て行ったものだから、ホテルの支配人さんが心配そうに見ていた(笑)

湯ノ湖に到着してみると、車が一台、ぽつんと停まっている。
先客がいるようだ。
自分のことは棚に上げて、こんな夜中に何をしているのだろう・・といぶかしむ。

車から降りると、暗闇からいきなりヌッと人が現れた。
60歳くらいのひげを生やしたおじさんだ。
一瞬ギョッとなったが
「ハイ、こんばんは」
と挨拶を交わしただけで、また暗闇の中に消えていった。

あちらも不審に思って見に来たようだ。
しかしこんなところで一人、一体何をしているのだろう。
密漁ではないか・・なんてMrs.COLKIDと声を潜めて話す。
彼女は野生動物より人間の方を恐れている。

湖の水際に立ちカメラをセットするが、何しろ真っ暗で何も見えない。
懐中電灯で照らしてみても、当然近くの水面が明るむだけで、遠景は真っ暗なままだ。
仕方なく内蔵の水準器で水平だけ合わせ、あとは山勘でカメラをセットした。
残念ながらここでも雲が邪魔をしていたが、何枚かシャッターを切った。

Mrs.COLKIDが鹿を探してくると、ひとり離れようとしたが、さすがに危険だからと止めた。
ここは中禅寺湖とは違って山深いから、熊がいる可能性もある。
それ以前に真っ暗闇の中、巨大な滝の落ち口付近を女性がひとりうろうろするなんて、あまりに危険が多すぎる(笑)

湖面ぎりぎりのところを、何かが高速で飛び交っている。
懐中電灯で照らしてみると、けっこう大きな生き物で、羽をばたつかせながら、かなりのスピードで飛行している。
時折すぐ足元を通過してビックリする。
結局何だかわからなかったが、この湖も昼とは違う表情を見せることがわかった。

帰ろうかと車に戻ると、先程のおじさんも帰り支度を始めた。
見ると、何と三脚をかついでいる。
何だ同好の士か・・というよりあちらは専門家かもしれない。
疑って申し訳なかった。
知らずに懐中電灯を振り回して、迷惑をかけたかもしれない。

翌日ホテルの支配人さんから、星の写真はうまく撮れましたか?と聞かれた。
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