イスラム国の指導者アルバグダディがイラク・シリア連合軍による空爆で重傷を負った。イラクの通信社、ドイツ諜報機関、仏紙ル・モンドによれば、アルバグダディはイスラエルで治療を受けているという。一部で囁かれていたイスラエル―イスラム国間の地下水道は、果たして存在するのだろうか。
米経済誌「フォーブス」が2015年度の世界長者番付を発表した。日本人1位は柳井正ユニクロ会長で、資産総額は2兆4000億円を超える。柳井氏といえば世界同一賃金を打ち出し、朝日新聞のインタビュー(13年4月)に以下のように答えていた。
<将来は年収1億円か100万円に分かれ、中間層が減っていく。仕事を通じて付加価値がつけられないと、低賃金で働く途上国の人の賃金にフラット化するので、年収100万円にシフトするのは仕方ない>……。自身の膨大な富、裁判でブラック企業と認定されたユニクロ、そして竹中平蔵氏らと歩調を合わせた-「年収100万円時代」提唱……。のっぺりとした柳井氏の顔の裏側に、舌なめずりする獣の貪欲さを見ているのは俺だけだろうか。
柳井&竹中VSピケティ&富岡……。誰かこのトークライブを企画しないだろうか。富岡中大名誉教授は「税金を払わない巨大企業」の著者で、格差社会に抉るピケティをいち早く紹介していた。良心、倫理、矜持を失くした拝金教徒が、哲学を語る経済学徒に粉砕されるシーンを見てみたい。
さて、本題……。囲碁将棋チャンネル(スカパー!)で、「将棋界の一番長い日~A級順位戦最終局」(1日)を堪能した。B1への降級者は阿久津8段、三浦9段に決まったが、羽生名人への挑戦権は6勝3敗で並んだ行方8段、渡辺2冠、久保9段、広瀬8段の4人で争われる。
俺は「スポーツ観戦の感覚で将棋を見ている」と記してきた。変わった観戦法だと思っていたが、仕事先の夕刊紙のインタビュー記事で先日、似たような人を発見した。土屋直也氏(ソクラ代表)は大のラグビーファンで、「囲碁と格闘技が一緒になったようなもの」と話していた。ソクラはネット上で注目度が高い記事やブログを集約するキュレーションサイトを運営しているが、弱小ブロガーの俺には無縁の世界だ。
俺にとって将棋とは、<ボクシング+アメリカンフットボール>だ。プロ棋士は表面上、礼を尽くしているが、非情なパンチを相手に浴びせ続ける。拮抗していても、終盤になると「勝ち将棋、鬼の如し」の局面が現れ、指運といわれるように、時に偶然が左右することもアメフトに似ている。負けたら自分が否定されたような感覚に陥るから、指さない方が精神衛生上いい。
各対局について簡単な感想を。終局は深夜に及ぶので、翌日(月曜)の仕事を考えて、結果を知った上で〝復習〟した局も多かった。渡辺が久保を69手で破った対局以外、形勢は二転三転したようである。渡辺でさえ指し切りになった可能性もあったと、羽生が解説していた。3連敗からの6連勝でプレーオフに臨む渡辺が、勢いのまま挑戦権を獲得するとみている。実現すれば、ファン待望の頂上決戦になる。
最も注目を浴びたのが、挑戦を目指す行方と、降級の危機にあった森内9段の対局だった。森内は1年前、名人と竜王を保持し頂点に君臨していた。ところが名人戦で羽生に4連敗、竜王戦で糸谷に1勝4敗と続けて失冠し、順位戦も3勝5敗と剣ケ峰に立たされていたが、何とかしのぎ切る。NHK杯準決勝に続き本局と、奥が深い指し手に復調の兆しが窺える。
初のA級で健闘した広瀬は、在位14年の三浦を破りプレーオフ戦線に残った。広瀬は昇級を決めた佐藤天8段、糸谷竜王とともに、次代の棋界を担っていくだろう。残念だったのは郷田9段に敗れ、9戦全敗で降級した阿久津8段だ。来期のB1では、俺が応援している山崎8段(今期3位)とともに、A級を目指してほしい。
革新的な序中盤で異彩を放つ佐藤康9段は、危なそうな玉形でハラハラさせてくれたが、終盤入り口で優勢になったと分析する棋士もいた。相手が悪かったというべきか、不利になってから力を発揮するのが根性の深浦9段だ。終局2時9分、233手とくれば、勝者は深浦ということになる。
アラカンになると、時は瞬く間に過ぎる。俺にとってA級最終局も、時間を計るイベントの一つだ。来年も大過なく、この時季を迎えられたらいいのだけど……。
米経済誌「フォーブス」が2015年度の世界長者番付を発表した。日本人1位は柳井正ユニクロ会長で、資産総額は2兆4000億円を超える。柳井氏といえば世界同一賃金を打ち出し、朝日新聞のインタビュー(13年4月)に以下のように答えていた。
<将来は年収1億円か100万円に分かれ、中間層が減っていく。仕事を通じて付加価値がつけられないと、低賃金で働く途上国の人の賃金にフラット化するので、年収100万円にシフトするのは仕方ない>……。自身の膨大な富、裁判でブラック企業と認定されたユニクロ、そして竹中平蔵氏らと歩調を合わせた-「年収100万円時代」提唱……。のっぺりとした柳井氏の顔の裏側に、舌なめずりする獣の貪欲さを見ているのは俺だけだろうか。
柳井&竹中VSピケティ&富岡……。誰かこのトークライブを企画しないだろうか。富岡中大名誉教授は「税金を払わない巨大企業」の著者で、格差社会に抉るピケティをいち早く紹介していた。良心、倫理、矜持を失くした拝金教徒が、哲学を語る経済学徒に粉砕されるシーンを見てみたい。
さて、本題……。囲碁将棋チャンネル(スカパー!)で、「将棋界の一番長い日~A級順位戦最終局」(1日)を堪能した。B1への降級者は阿久津8段、三浦9段に決まったが、羽生名人への挑戦権は6勝3敗で並んだ行方8段、渡辺2冠、久保9段、広瀬8段の4人で争われる。
俺は「スポーツ観戦の感覚で将棋を見ている」と記してきた。変わった観戦法だと思っていたが、仕事先の夕刊紙のインタビュー記事で先日、似たような人を発見した。土屋直也氏(ソクラ代表)は大のラグビーファンで、「囲碁と格闘技が一緒になったようなもの」と話していた。ソクラはネット上で注目度が高い記事やブログを集約するキュレーションサイトを運営しているが、弱小ブロガーの俺には無縁の世界だ。
俺にとって将棋とは、<ボクシング+アメリカンフットボール>だ。プロ棋士は表面上、礼を尽くしているが、非情なパンチを相手に浴びせ続ける。拮抗していても、終盤になると「勝ち将棋、鬼の如し」の局面が現れ、指運といわれるように、時に偶然が左右することもアメフトに似ている。負けたら自分が否定されたような感覚に陥るから、指さない方が精神衛生上いい。
各対局について簡単な感想を。終局は深夜に及ぶので、翌日(月曜)の仕事を考えて、結果を知った上で〝復習〟した局も多かった。渡辺が久保を69手で破った対局以外、形勢は二転三転したようである。渡辺でさえ指し切りになった可能性もあったと、羽生が解説していた。3連敗からの6連勝でプレーオフに臨む渡辺が、勢いのまま挑戦権を獲得するとみている。実現すれば、ファン待望の頂上決戦になる。
最も注目を浴びたのが、挑戦を目指す行方と、降級の危機にあった森内9段の対局だった。森内は1年前、名人と竜王を保持し頂点に君臨していた。ところが名人戦で羽生に4連敗、竜王戦で糸谷に1勝4敗と続けて失冠し、順位戦も3勝5敗と剣ケ峰に立たされていたが、何とかしのぎ切る。NHK杯準決勝に続き本局と、奥が深い指し手に復調の兆しが窺える。
初のA級で健闘した広瀬は、在位14年の三浦を破りプレーオフ戦線に残った。広瀬は昇級を決めた佐藤天8段、糸谷竜王とともに、次代の棋界を担っていくだろう。残念だったのは郷田9段に敗れ、9戦全敗で降級した阿久津8段だ。来期のB1では、俺が応援している山崎8段(今期3位)とともに、A級を目指してほしい。
革新的な序中盤で異彩を放つ佐藤康9段は、危なそうな玉形でハラハラさせてくれたが、終盤入り口で優勢になったと分析する棋士もいた。相手が悪かったというべきか、不利になってから力を発揮するのが根性の深浦9段だ。終局2時9分、233手とくれば、勝者は深浦ということになる。
アラカンになると、時は瞬く間に過ぎる。俺にとってA級最終局も、時間を計るイベントの一つだ。来年も大過なく、この時季を迎えられたらいいのだけど……。