酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

真の民主主義を~チョムスキーの揺るがぬ意志

2008-09-02 00:48:32 | 社会、政治
 昨夜、テレビをつけるや目が点になった。福田首相が辞意を表明している。人権意識の欠片もない麻生幹事長が後任となれば、日本の民主主義は断末魔状態に陥るだろう。

 レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが先月27日、民主党大会会場近くでフリーライブを決行し、虚妄のアメリカ民主主義に“NO”を突き付けた。8年ぶりの“快挙”で、<反戦イラク帰還兵の会>のメンバーに最敬礼するザックらの姿がYoutubeにアップされていた。

 レイジで連想するのがマサチューセッツ工科大(MIT)ノーマ・チョムスキー教授だ。言語学で革命を起こし、哲学、数学など他分野にも影響を与えた<知の巨人>であり、反戦、反グローバリズムの象徴でもある。「思想家ノーマ・チョムスキー~真の民主主義を育てる」(30日、NHK衛星1)では、同僚の宮川繁教授を聞き手に柔和な素顔を覗かせていた。

 <9・11>以降、メディアの煽りで排外的ナショナリズムが蔓延したが、<世界の中のアメリカ>を意識する人々が増えたとチョムスキーはプラス面も提示する。チョムスキーの影響下、レイジのライブでもアピールした<反戦イラク帰還兵の会>が結成された。

 大統領選挙はイメージ戦略の巧拙を問う場であり、重要課題――環境、格差、医療保険、イラク――が選択の基準になることはないと、チョムスキーは断言していた。チョムスキーに触発され、資本の論理と国家のコントロールを拒否した独立系メディアが全米で産声を上げている。番組で紹介されたニューヨークのフリーペーパーは、マイノリティーが抱える現実や反戦の訴えを1面に掲げていた。

 番組後半のテーマは教育だった。自主性を尊重する小学校で個性を伸ばしたチョムスキーは、当時の経験を基に<教育とは空の容器を水で満たすようなものではなく、花が自分なりに成長するのを支援するもの>と記している。

 チョムスキーはMITが01年にスタートさせたオープンコースウェアを高く評価している。MITのすべての講義は現在、ネット上で無料配信されている。日本でも18大学が採用しているこのシステムの推進者が宮川教授だった。

 宮川教授に民主主義の未来を切り開くキーワードを求められたチョムスキーは、“HOPE”と綴り、「現実を厳しく認識する悲観主義者でありながら、心には希望を持ち続ける楽観主義者でありたい」と言葉を結んでいた。
 
 日本でチョムスキーと同じ地平に立つのが辺見庸氏だ。チョムスキーは知性と理性、辺見氏は感性と情念で肉体を奮い立たせ、資本主義独裁からの解放を訴えている。今後も両者の声に耳を傾けていきたい。



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