酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

虎の尾を踏む男~ホリエモンの行く末は?

2005-03-07 14:27:25 | 社会、政治

 無職ゆえ、テレビを見る時間が長くなる。堀江氏と日枝氏の顔を毎日眺めるうち、ヘソの辺りがゴソゴソしてきた。あす(8日)TOBの結果が判明し、今週中にライブドア側の「新株予約発行差し止め申請」に対する決定が下る。人間三流、野次馬一流を自負する以上、ライブドアVSフジに黙っていられなくなった。

 今回の件で気付いたのは、堀江氏の「リトマス紙」的機能だ。同氏の言動に対する反応は、その人間(組織)の「質」を反映しているように思える。

 「金ですべて解決するのは戦後教育の悪い部分」と森元首相が堀江氏を批判した。「金こそすべて」が自民党の党是と思っていたから驚いたが、保守派の面々は堀江氏に「NO」を突き付けた。一方で、岡田民主党代表は堀江氏にエールを送っている。「政権準備党」の気合の表れかもしれない。曖昧なのが小泉首相だ。ライブドアの動きは、自ら奨励する外資導入に沿う部分もあるからだろう。

 雑誌の論調はフジ寄りが多い。文春や新潮は明らかにアンチ堀江だ。週刊現代もフジのTOBに応じた講談社ゆえか、ライブドアに厳しい。日刊ゲンダイは堀江支持と思いきや、そうでもない。ライブドアが計画するフリーペーパー発行を危惧しているのだろう。

 テレビ局の取り上げ方も様々だ。テレビ朝日の「報道ステーション」と「サンデープロジェクト」はライブドア寄りと映る。「サンデー――」で田原氏は、堀江氏を高圧的に批判した堀紘一氏に、「あんたは守旧派か」と切れていた。TBSは高みの見物を決め込んでいるが、「ニュース23」の筑紫キャスターは、堀江バッシング続出の政財界に釘を刺していた。

 面妖なのが日本テレビだ。「ザ・ワイド」では有田氏が例の口調で反堀江のコメントを繰り返している。「守旧派のレッテルは、フジにとって大きなマイナス」というやくみつる氏の発言は、一顧だにされなかった。フジ寄りに見えるが、氏家社長は「ホリエモンみたいなバカが、世の中を変える力になる」と堀江氏を肯定的に論じている。日テレとフジは視聴率戦争を展開する敵同士だし、混乱が産経新聞に波及すれば、読売新聞の拡張戦略に大きなプラスとなる。ともに保守的な論調ゆえ、読者にとって産経→読売の契約替えは現実的な選択なのだ。日テレ=読売の本音が奈辺にあるか興味深い。

 プロ野球を巡る騒動で、堀江氏は読売を揺さぶった。1000万部の読売が世論を敵に回せるはずもなく、読売は方向転換する。堀江氏が昨年踏んだのは、虎ではなく、猫の尾だったのだ。

 今回はどうか。フジサンケイグループの成り立ちを学べば、自ずと答えは見えてくる。日本のマスコミは戦後、リベラルから左にシフトしていた。その状況を憂慮した日米保守層が「親」として育て上げたのが、同グループなのである。堀江氏が挑んでいるのは日米合作の「官製メディア」であり、虎も虎、獰猛なベンガル虎の尾を踏んづけているのだ。市場開放に突き進む小泉=竹中ラインだが、自民党政権である以上、「子殺し」の汚名を着るはずはない。鹿内家の逆襲という追い風もあるが、ライブドアが勝利を収める可能性は低いと思う。

 形勢不利に傾いた時、堀江氏には名誉ある退却を選んでもらいたい。傷を最小限にとどめ、3匹目の虎の尾を踏めるように……。
コメント (2)
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