大田区の下水処理施設の空気中から、毎時約2・7マイクロシーベルトの放射線量が検出された。小出しにされる深刻な真実からも、原発事故直後、東京が許容量を大幅に超える放射線を浴びていたことは疑いようがない。
早くも夏バテ気味で、脳は体以上にふやけているが、大連立を企む輩の本音ぐらい想像がつく。彼らはきっと、宗主国アメリカの意向を受け、脱原発の声を石棺化したいのだ。どうせ〝本籍ワシントン〟 が後任に据えられるのなら、俺は菅首相の逆噴射に期待したい。小グループになるのは覚悟で、脱原発を掲げて解散に打って出れば、一票を投じるだろう。
魑魅魍魎の政界と比べ、棋界では節度と矜持が字義通り保たれている。羽生名人が3連敗後の3連勝で、決着は最終局に持ち越された。名人戦より面白かったのは、日曜のNHK杯だった。2度の千日手の末、18歳の永瀬4段が優勝候補の佐藤9段を破る。研究に裏打ちされた美学が清々しかった。
さて、本題。今回は関心を抱くUKバンドの動向について記したい。
アジアン・カンフー・ジェネレーションが主催するナノ・ムゲンフェスにマニック・ストリート・プリーチャーズが出演する。イベント自体はパスしたが、単独公演が実現した。場所は新宿BLAZE(キャパ800)、オープニングアクトがアッシュというから堪らない。申し込んだが、抽選突破は期待薄か。
キュアーがシドニーで、DVD製作を前提にライブを行った。「トリロジー」(03年)に次ぐ試みで、「スリー・イマジナリー・ボーイズ」、「セブンティーン・セコンズ」、「フェイス」の初期3作を全曲演奏した。4時間弱というステージに、ファンへの感謝の気持ちが窺える。
80年前後のロバート・スミスとローレンス・トルハーストのインタビューは、<オフは読書と映画に充てる。三島も安部も好きだよ>といった具合で、キュアーは高等遊民風の脱力ユニットだった。「イン・オランジュ」(86年にフランスの古城で収録)を見た時、完璧なプロフェッショナルぶりに衝撃を受ける。個人的に同作はロック史上ベストライブ映像である。
五十路に突入したロバートは、金と時間を掛けずに製作した初期3枚に忸怩たる思いを抱き、<少年の悪夢>をカラフルに彩ってファンに示したいと願ったのだろう。少しは優しくなったのか、幼馴染みのローレンスを「フェイス」のセットに呼んでいる。追放と和解の経緯を知る長年のファンは、ステージに立つローレンスの姿に涙したかもしれない。
次にミューズ。キッズから熱烈に支持されている彼らは、アメリカでも〝業界の救世主〟と目されている。ヘッドライナー3組が決まった後、ロラパルーザにブッキングされたが、その辺りは格に無頓着なミューズらしい。
ミューズの今夏のハイライトは二つある。一つは2nd「オリジン・オブ・シンメトリー」から全曲演奏するレディング&リーズだ。ロマの音楽に通底する情念が陽炎のように立ち込めた作品で、5枚のアルバムでも随一のクオリティーを誇る。同フェスは全欧に生中継されるから、パフォーマンスを収めたDVDは西新宿のブート専門店に並ぶはずだ。今から9月が待ち遠しい。
もう一つはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンと共演する「LAライジング」だ。フジロック'07に来日した時、メンバーは「レイジは音楽性もメッセージ性も別格」と語っていた。HPでも“Mighty”とレイジを表現するなど、共演できるのが嬉しくてたまらないようだ。レイジの影響なくして生まれなかったラディカルな「ザ・レジスタンス」が、保守的なグラミー賞で「最優秀ロックアルバム」というのも不思議な感じだ。
ミューズに続くスタジアムバンドと期待されるホワイト・ライズの2枚のアルバムを合わせて聴いた。〝21世紀のジョイ・ディヴィジョン〟が売りだが、当人たちは上記のマニックス同様、エコー&ザ・バニーメンに最大の敬意を払っている。失速するのが早かったエコバニだが、放った光芒はタイプが異なる後輩ロッカーたちに受け継がれている。
数回ずつ聴いた感想だが、音の質はコールドプレイ、エデイターズに近く、歪みや破綻はない。内向的な詩も独特で、完成度は極めて高い。ライブパフォーマンスにも定評があり、近日中にブートDVDを購入するつもりだ。











早くも夏バテ気味で、脳は体以上にふやけているが、大連立を企む輩の本音ぐらい想像がつく。彼らはきっと、宗主国アメリカの意向を受け、脱原発の声を石棺化したいのだ。どうせ〝本籍ワシントン〟 が後任に据えられるのなら、俺は菅首相の逆噴射に期待したい。小グループになるのは覚悟で、脱原発を掲げて解散に打って出れば、一票を投じるだろう。
魑魅魍魎の政界と比べ、棋界では節度と矜持が字義通り保たれている。羽生名人が3連敗後の3連勝で、決着は最終局に持ち越された。名人戦より面白かったのは、日曜のNHK杯だった。2度の千日手の末、18歳の永瀬4段が優勝候補の佐藤9段を破る。研究に裏打ちされた美学が清々しかった。
さて、本題。今回は関心を抱くUKバンドの動向について記したい。
アジアン・カンフー・ジェネレーションが主催するナノ・ムゲンフェスにマニック・ストリート・プリーチャーズが出演する。イベント自体はパスしたが、単独公演が実現した。場所は新宿BLAZE(キャパ800)、オープニングアクトがアッシュというから堪らない。申し込んだが、抽選突破は期待薄か。
キュアーがシドニーで、DVD製作を前提にライブを行った。「トリロジー」(03年)に次ぐ試みで、「スリー・イマジナリー・ボーイズ」、「セブンティーン・セコンズ」、「フェイス」の初期3作を全曲演奏した。4時間弱というステージに、ファンへの感謝の気持ちが窺える。
80年前後のロバート・スミスとローレンス・トルハーストのインタビューは、<オフは読書と映画に充てる。三島も安部も好きだよ>といった具合で、キュアーは高等遊民風の脱力ユニットだった。「イン・オランジュ」(86年にフランスの古城で収録)を見た時、完璧なプロフェッショナルぶりに衝撃を受ける。個人的に同作はロック史上ベストライブ映像である。
五十路に突入したロバートは、金と時間を掛けずに製作した初期3枚に忸怩たる思いを抱き、<少年の悪夢>をカラフルに彩ってファンに示したいと願ったのだろう。少しは優しくなったのか、幼馴染みのローレンスを「フェイス」のセットに呼んでいる。追放と和解の経緯を知る長年のファンは、ステージに立つローレンスの姿に涙したかもしれない。
次にミューズ。キッズから熱烈に支持されている彼らは、アメリカでも〝業界の救世主〟と目されている。ヘッドライナー3組が決まった後、ロラパルーザにブッキングされたが、その辺りは格に無頓着なミューズらしい。
ミューズの今夏のハイライトは二つある。一つは2nd「オリジン・オブ・シンメトリー」から全曲演奏するレディング&リーズだ。ロマの音楽に通底する情念が陽炎のように立ち込めた作品で、5枚のアルバムでも随一のクオリティーを誇る。同フェスは全欧に生中継されるから、パフォーマンスを収めたDVDは西新宿のブート専門店に並ぶはずだ。今から9月が待ち遠しい。
もう一つはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンと共演する「LAライジング」だ。フジロック'07に来日した時、メンバーは「レイジは音楽性もメッセージ性も別格」と語っていた。HPでも“Mighty”とレイジを表現するなど、共演できるのが嬉しくてたまらないようだ。レイジの影響なくして生まれなかったラディカルな「ザ・レジスタンス」が、保守的なグラミー賞で「最優秀ロックアルバム」というのも不思議な感じだ。
ミューズに続くスタジアムバンドと期待されるホワイト・ライズの2枚のアルバムを合わせて聴いた。〝21世紀のジョイ・ディヴィジョン〟が売りだが、当人たちは上記のマニックス同様、エコー&ザ・バニーメンに最大の敬意を払っている。失速するのが早かったエコバニだが、放った光芒はタイプが異なる後輩ロッカーたちに受け継がれている。
数回ずつ聴いた感想だが、音の質はコールドプレイ、エデイターズに近く、歪みや破綻はない。内向的な詩も独特で、完成度は極めて高い。ライブパフォーマンスにも定評があり、近日中にブートDVDを購入するつもりだ。










