閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

「黒ねこサンゴロウ」中国語版

2023-12-29 15:39:02 | お知らせ(海外版)

「黒ねこサンゴロウ」1~5の中国簡体字版ができました。
北京科学技術出版社というところです。
シリーズ名が「海猫的旅程」(海ねこの旅)となっていて、各巻タイトルは『海ねこ族の宝の地図』『キララの海をこえて』『貝がら島の奇妙な一族のおきて』『風と魚の知恵』『灯台島の十六人め』…のような感じ。

 

ペーパーバックなので薄いです。各巻35元。

 

セット販売なのか、こういう形でぴっちり包装されている。
帯の文字は…
「ヒーローがあなたを救ってくれるのを待つ必要はありません。あなたはあなた自身のヒーローなのです!」
「一世代の日本人に影響を与えた児童文学には、嵐の中でも敗北を認めない勇気と強さが伝わってきます」
(グーグルカメラ直訳!・笑)

校正中の裏話はこちら →「イカ玉」2023.7.29

1巻と2~5巻で翻訳者が違うのが謎なんですが…
1巻だけ脚注が入っているところがあって、それは「春休み」と「ねこに小判」と「浦島太郎」と「サヨリ」。サヨリって魚、中国では食べないのかな。日本の子どもだってあんまり知らないかもしれない。浦島太郎は5行にわたってあらすじが書かれていました。そういうところを見るのが面白い。

それと、校正中に「あれ?」と思ったこと。

『旅のはじまり』75ページ。

 

こちらが中国版。
ドアの「関係者以外立ち入り禁止」の文字が消えております。

なるほど。つまり、「立ち入り禁止」の場所に「おれたちは関係者だ」なんて言って入ってしまうのは、教育上よろしくない、と、そういうことですね。(当然そのせりふも削除されている)
他にも、最後のほうでケンがお父さんに「もう二度としません」なんて言うところが勝手に追加されているなど、むむむ、ですが、これも「外部からの指摘」とのことで、まあしかたありません。
(中国の出版社がすべてこうではないけれど、ここはわりと「教育的」な社風なんだと思います)
6巻以降は、どうなるでしょうか。校正が、たのしみ。

 

これは販促物のポストカード。左が裏、右がおもて(宛名面)。
おもての左下に並んでいる四角は郵便番号枠だそうで、上には「宝さがしにたいせつなのは、中身じゃない、ロマンだ」というカゼノスケじいさんの言葉が入っております。
実際には一度も登場しないカゼノスケ(どういう人なんだか作者もよく知らない)がなぜか人気という謎(笑)。

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「なまえのないねこ」フランス版

2023-11-07 15:48:31 | お知らせ(海外版)

『なまえのないねこ』(町田尚子・絵 小峰書店 2019年)のフランス語版ができました。
表紙、がらっと変わってびっくりだけど、おとなっぽい素敵なデザインですね。
"Le chat sans nom" はそのままのタイトル。  Le Cosmographe という出版社から。

 

じつは日本版のとびらの絵(左)が、フランス版の表紙になったのです。
そしてとびらは、シンプルに真っ白。

 

表紙のねこさんは? ちゃんと裏表紙にいました!

本文の猫たちの名前はどんなふうになっているかというと…

靴屋のレオ(そのまま)
本屋のカブリオール(=ぴょんぴょん跳ねる、かな? バレエ用語にもあり)
八百屋のミニ(意味そのまま)
そば屋のヌイユ(=ヌードル)
パン屋のハイジとクララ(そのまま)
喫茶店のミミ(そのまま。幼児語で猫の意味も)とクレーム(=クリーム)
お寺のグリグリ(これは何だかわからなかったけど、招福長寿の名前だと書いてある)
犬のタロー(そのまま)とペルーシュ(=ぬいぐるみ・笑)

そして、主人公のメロンですが、なんと「キウイ」に!
というのも、スペイン同様、フランスでもメロンはオレンジ色が主流とのことで、緑の目と結びつきにくい。スペイン版では「リモン」(=ライム)になったのだけど、フランスでは「キウイグリーン」ということで落ちついたのでした。
予期せぬことで、最初に校正で見たときは「は…?」と目をぱちくりしちゃったのですが、最後に「おいで、キウイ」と呼ばれて嬉しそうについて行く姿が、妙にしっくりなじんでいて、そういえばキジトラの茶色や体型そのものがなんとなく果物のキウイのようでもあるし、鳥のキウイ(こっちが名前の元ね)っぽくもあり、なるほど~、と深く納得したのでありました。

さて、次はポルトガル版です。これがまた意外な名前になってますので、おたのしみに。

*****

関係ない話ですが、「アストリッドとラファエル」というフランスのTVドラマが面白い。
内気なパズル好きの文書係と、姉御肌で行動派の刑事、対照的なふたりの女性が協力して犯罪捜査をしていく話。
たまたまNHKでシーズン3から見始め、いまBS11でシーズン1の最初から見ているのだけど、NHKは吹き替えで、今回は字幕。
わたしはフランスの映画もドラマもほとんど見てこなかったので、めちゃくちゃ早口のフランス語会話が飛び交うのが、耳にとても新鮮です。
せりふの量から察するに、字幕では半分くらいしか拾えてないのではと思うけど、聞いてひとこともわからなくても、「音」を感じられるので字幕のほうが好き。
フランス版のメロン(キウイ)ちゃんも、ああいう「音」の中にいるのだな。

絵本というものは、音が出ない。文字で書かれている以外、背後にどんな声が聞こえ、どんな音が鳴っているか、読む人にはわからない。でも、書かれていないからといって「し~ん」と静まり返っているわけではなく、お店の中、道路、雨の公園、背景にはそれぞれいろんな音があるはずだと思う。
きっとおなじ絵の中から、日本の子どもは日本の音を、フランスの子どもはフランスの音を、無意識のうちに感じとっているのではないかしら。
そんなことを考えました。

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「ならんでる ならんでる」中国版

2023-09-14 16:07:03 | お知らせ(海外版)



絵本『ならんでる ならんでる』(鈴木まもる/絵 偕成社 2014年刊)の中国語(簡体)版ができました。
上製本、カバーなし。サイズは天地10ミリくらいずつ小さくなっています。
北京联合出版公司。

じつは、中国版は2017年に出ていたのですが、手違いで見本が届いていなかったそうで…。
翻訳物はオファーが来てから1年2年かかることもあるため、こちらもすっかり忘れておりました。
今回、契約更新を機に、ようやく手にすることができ、奥付を見たらすでに10刷! たくさんの子どもたちに読んでもらえているようで嬉しいです。

 

文章はシンプルなので、そのままストレートに訳してくださっています。
子どもたちが遠足で登る「おにぎり山」の看板は「馒头山」となっていました。
これは饅頭(マントウ)、つまり餡や具の入らない中華の蒸しパンのことですね。
あらためて絵を見ると、おにぎりのように三角にとんがっていない、文明堂の三笠山というか、奈良の若草山というか…ふっくらなだらかな形をしているので、饅頭山でぴったりなのでした。

 

この絵本は、小さい子たちがわちゃわちゃしている様子が可愛いので、「ならんでる」の次は「かくれてる」とか、「はしってる」とか、バリエーションも考えていたんだけど、結局できないままだったな…。

<関連記事>

「ならんでる  ならんでる」(2014.3.24)

 

Amazon

 

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恐竜絵本・中国版

2023-07-22 16:02:52 | お知らせ(海外版)

『ティラノサウルスのはらぺこないちにち』『トリケラトプスのなんでもないいちにち』(偕成社)の中国簡体字版ができました。
『霸王龙肚子饿得咕咕叫都一天』と『三角龙什么事也没发生的一天』…日本語のタイトルも長いけど、中国語タイトルも長~い!
のりもの絵本シリーズなどたくさん出していただいている北京の接力出版社です。

 

昨年、台湾繁体字版も出ていますが、恐竜の名前など、同じのもあり、違うのもあり。
ぱらぱら見ていたら、「蛇髪女怪龍」というのが出てきてギョッとする。
ゴルゴサウルスは、ギリシア語で「恐ろしいトカゲ」の意味だそうで、ギリシア神話でゴルゴンといえば髪の毛が蛇になってる三姉妹の妖怪だから、うーん、そうなるのか…。

裏表紙のQRコードから、版元サイトの解説ページに飛べるようになっていて、これが本文の10倍くらい詳しいので、興味ある方はどうぞ。

ティラノ篇

トリケラ篇

 

Amazon.co.jp

 

今年秋ごろには、シリーズ3冊目が出る予定です。こんどは翼竜プテラノドン。おたのしみに。

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「なまえのないねこ」タイ版

2023-07-02 14:47:17 | お知らせ(海外版)

『なまえのないねこ』(小峰書店 2019年)タイ語版ができました。
発刊から4年で、すでに6か国で翻訳出版されたとは、すごいなあ。

 

くるくるした文字が可愛い。
グーグル翻訳君によれば、左から3つ(最初の「66」みたいに見えるのは、これで1文字)が「ねこ」で、次の2つが「なまえ」らしいです。タイ文字はなんとなく猫っぽいのが多い。

 

 

本文、とてもしっくりなじんでいます。

猫の名前など、あまり大きく変わったところはなくて、「ハイジとクララ」はそのまま、「つきみ」は「チョムチャン」で、「月を見る」という意味が入っている感じ。「じゅげむ」は「クヮン・ユエン」、これもタイで縁起の良い名前だということです。
「メロン」も「メロン」で、よかった。日本と同じで、タイにもグリーンのメロンがあるみたい。
(これがね、次に出るフランス語版では、どうなるでしょうか…見てのお楽しみ!)

 

後ろ見返し。

タイといえば、シャムやコラットといった高級猫さんの「本場」でもあるけれど、ふつうのストリートキャットもたくさんいそうですね。

 

 

 

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「なまえのないねこ」中国版

2023-04-29 22:00:55 | お知らせ(海外版)

『なまえのないねこ』(小峰書店 2019年)の中国語(簡体)版ができました。
『寻找自己名字的猫』(海豚出版社)。
タイトルは…「自分の名前を探す猫」かな。

先に台湾(繁体)版も出ていますが、訳者さんが違うので、訳文も違います。
(台湾も中国本土も、公用語は同じ中国語だけれど、発音やニュアンスなどけっこう違いがあるらしい)
猫の名前を見ていくと、同じのもあるし、違うのもある。
靴屋の猫は、繁体が「里歐」で、簡体が「雷欧」。本屋の「元太」や犬の「太郎」は、どちらも同じ。パン屋の「海蒂(ハイジ)」と「克拉拉(クララ)」も同じ。
お蕎麦屋さんの「つきみ」は、台湾版ではそのまんま「月見」でしたが、中国版では「荷包蛋」(フーバオダン)。これ、辞書では「ポーチドエッグ」と出るけれど、卵を油でさっと半熟に揚げるんだって。麺にのせれば、中華風の月見そば。美味しそう。

お寺の「じゅげむ」は「寿星」というみたい。
これは古来中国で人の長寿をつかさどるとされる星の名なんだそうです。

 

こちらは販促グッズ。
クリアファイル(B5サイズ)と、切り抜きカード4種類セット。
版元の新教典さんは中国では最大手の総合出版社で、今年のイチ推し絵本として力を入れてくださっているとか。

https://book.douban.com/subject/36168920/

こちらのリンクの一番下を見ると、中国のレビューがたくさん出ています。
ランダムにひとつ選んで読んでみたら、村上春樹の短編「品川猿」の話から始まってて、ちょうどいまそれ読みかけていたところだったのでびっくりしました。
興味のある方は、グーグル翻訳で読んでね(笑)

***

『なまえのないねこ』は、韓国、スペイン(メキシコ)、台湾、スウェーデン、そして中国と、これまで5か国で翻訳出版されました。
さらに、フランス、タイ、ポルトガルからもオファーをいただいています。たのしみです。

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恐竜絵本・台湾版

2022-11-22 23:02:24 | お知らせ(海外版)



『ティラノサウルスのはらぺこないちにち』『トリケラトプスのなんでもないいちにち』(偕成社 2020年)の台湾版ができました。
カバーなし、帯あり。
前にもお知らせしましたが、こちらが版元のPV。




帯、にぎやかだなあ。表も裏も。
「1+1>2」という謎の数式は、2冊合わせて読むとさらに楽しいよ、という意味らしいです。

この2冊、中国本土からも翻訳出版のオファーをいただいているのですが、そちらの出版社から「シリーズ続編は出ないのか」と、エージェントを通して問い合わせがあったそうです。
それは考えていないわけではなかったけれど、海外から催促されたのは初めてで、びっくりでした。
(3冊以上ならソフトカバーでセットにして売りたいというあちらの事情もあるらしく…)
中国は恐竜化石の宝庫だから、絵本も自前で作れそうなのに。作らないのかな。

 

 

 

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暴龍と三角龍

2022-07-07 14:19:25 | お知らせ(海外版)

絵本『ティラノサウルスのはらぺこないちにち』『トリケラトプスのなんでもないいちにち』(偕成社 2020年)の中国語繁体版PVです。台湾の遠流出版。
"日本超人氣恐龍繪本 × 生態學優美力作"
わりと自然科学系知識絵本的な扱いになっているのかな。

恐竜の名前は長くて覚えにくくて苦手! という方が少なくないと思いますが、中国語では、ティラノサウルスが「暴龍」、トリケラトプスが「三角龍」と、大変わかりやすいです。
この2冊の絵本に出てくる顔ぶれをざっと見ても、

厚頭龍(パキケファロサウルス) 
甲龍(アンキロサウルス) 
似鳥龍(オルニトミムス) 
馳龍(ドロマエオサウルス) 
慈母龍(マイアサウラ) 
鴨嘴龍(ハドロサウルス) 
などなど。

読んで字の如し。わかりやすいでしょ?

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「なまえのないねこ」スウェーデン語版

2021-10-09 21:27:59 | お知らせ(海外版)

『なまえのないねこ』のスウェーデン語版ができました。
これまで海外版といえばアジア圏が多く、北欧は初めてなので、とても嬉しいです。

翻訳はストックホルム在住の高橋麻里子さん。
「スウェーデンの子どもたちにもわかるように」ということと、「日本らしさを伝える」ということのバランスを考えてくださって、たくさん出てくる猫たちの名前も、レオ、げんた、じゅげむなど、大半が元のままになっています。
メロンも、メロン。スウェーデンに緑のメロンがあってよかった。
パン屋の「クララとハイジ」は、「ルッサンとブッラン」に。聖ルチア祭に食べるサフランパン=ルッセと、シナモンロール=ブッレを連想できる名前になっているのだとか。
今回初めて翻訳者さんと直接メールでやりとり(日本語で!)できたのも嬉しかったです。

 

 

カバーなし。日本ではカバー袖に入るような紹介文が裏表紙に。
スウェーデン語って初めて見ましたが、フィンランド語よりとっつきやすい…っていうか…もちろん読めるわけではないんだけど、じーっと見ていると、なんとなく読めそうな気が、しません?(笑)

冬が長くて厳しい北欧では、野良猫って、いないんだろうな。
家も名前もない猫が町をさまよっているという設定そのものが「日本らしい」ことなのかもしれません。

 

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「ちいさいいすのはなし」中国語版

2021-09-12 11:23:30 | お知らせ(海外版)

絵本『ちいさいいすのはなし』(ハッピーオウル社 2006年)の中国語版ができました。

(画像の色がひどいけど…このグリーンはどうしてもうまく写らないのです)

15年前の絵本ですが、たまたま英文紹介のカタログを見た中国の編集者さんが目にとめてくださったとのこと。
世界規模でみれば日本語をそのまま読める人の割合は少なく、英訳されているかどうかは大きいんだろうなと思います。



文中に「おばあさんは めを ほそめて そういいました」という表現があるのですが、最初はそのまま「目を細くする」という意味の中国語があてられていました。
はて、これは大丈夫なんだろうか。
というのは、もうだいぶ前に読んだ河野一郎氏の『翻訳のおきて』という本の中に、英語の「目を細める」 "narrow one's eyes" は、相手に対する敵意・疑惑をあらわす、と書かれていて、そのことが頭の片隅にちょこっとひっかかっていたからです。
ボディーランゲージというのは国や民族によってさまざまで、ときどき思いもよらない違いがあります。「手を振る」にしたって、親しみをあらわすとは限りません。
「目を細める」が、中国では、どうなのか。文脈からして敵意とは思わないはずだけど。もしかしたら、おばあさんは目が悪いんだろう、などと解釈されるかもしれないし、気になったので、念のためエージェントさんを通じて先方に確認していただきました。
出来上がったのを見たら、「おばあさんは にっこりして いいました」という感じの中国語に差し替えられていました。

小さい可愛いらしいものを見たときに「目を細める」のはなぜなんだろう。大きな目、強い視線は相手に威圧感をあたえるから?
微笑むと自然に目が細くなる、あるいは、目を細めると自然に口角が上がる、という感覚は、日本人に特有のものなのかどうか…そういうことを研究している人がいたら面白いけれど。

 

 

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