閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

すぐそこの遠い場所

2009-09-29 08:36:02 | 日々
町の銀行に行こうとしたのだが、どういうわけだか、
なかなか辿り着くことができない。

…というのは、夢の話ではありません。
つい先日、本当にあった出来事。

その銀行には、20数年前から口座があり、
年に10回以上は行っているはず。
ひとりで行くときは、スーパーの駐車場に車をとめて、
散歩がてらポコポコ歩いていくことが多い。
いくらのんびり歩いても10分とかからない距離だ。

いつもは「まっすぐ行って、左に曲がって、右に曲がる」のだが、
いつも同じでは飽きるので、ひとつ手前の角で左に曲がった。
ところが、この道は通常「郵便局へ行く道」として使っていたため、
足がつい郵便局気分になってしまい、次に曲がるべき角を通り越した。

その時点では、まだ修正できると思っている。
しかし、修正しているつもりなのに、どんどんずれていく気がする。
どう考えても、この先に銀行はないぞ、というところまで来てしまった。
「あれえ…」と呟いて立ち止まり、うしろを振り向く。
見知らぬ町ではなく、あたりの店の看板も見慣れたものだ。
それでも迷っていることに変わりはない。

観光客のようなふりをして、そのへんをひとまわりしたら、
なじみのある通りに出たので、最初に曲がるところからやり直す。
辿り着いてみたら、やっぱりここか、というような場所であった。
なんで迷うのか不可解。
昔だったら「狐に化かされた」と言えばいいが、
現代の町ではその手が使えないので、ちょっとヘコむ。


新聞に「方向オンチを克服するコツ」という記事が出ていた。
早速切り抜いてきて、じっくり読む。
うんうん、なるほど、とうなずく。
しかし、「そもそも、それができないから迷うんだよー」
という「コツ」ばかりである。

「ダイエットや禁煙と同様、方向オンチは克服できます」
と書いてあった。
でも、それって、「ダイエットや禁煙と同じくらい難しい」
という意味じゃないんでしょうか。
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31年

2009-09-28 10:10:09 | 日々
もしかして、この秋で、わたくしは
「デビュー30周年」になるのではないかしら?
と先日からこっそり思っていたのですが、
よくよく確かめてみたら「31周年」なのでした。
あらまあ。

だいたい覚えていられるのは身内の誕生日くらいで、
何周年とか何回忌とかそういうのはよく忘れてしまう。
たいていは、来年だ、とか思っているうちに、
あれ? 過ぎちゃった…! ということになる。
よく「節目」と言うけれど、歩いていてつまずくほどの
はっきりした節目が道の真ん中にあるわけではない。
まわりをよく見ていれば、数字の書かれたリボンか何かが、
道端の木にさりげなく結んであったのかもしれない。

まあとにかく30年、じゃなくて、31年。
『星とトランペット』を最初に講談社から出していただいたのが
31年前の10月のことでした。
(ただし、その2年くらい前から、ちょこちょこと内職的に
お仕事はしていたので、デビューの定義もあいまいですが…)
長いことがんばった、とほめられるようなこともしてないし、
思い起こせばいろいろあった、というほど波乱万丈でもなく、
ふうん、そんなもんかなあ、と、
ちょっと遠くを見るふりだけしてみたり。

そういえば、結婚25年の銀婚式もうっかり見落としちゃったので、
もう、いいや、次は50年の金婚式を目指そう。


下の画像は5年前に復刊されたハードカバー版で、
31年前の本より3編多く入っています。
こちらも在庫が少なくなってきた模様。

星とトランペット (fukkan.com)
竹下 文子
ブッキング

このアイテムの詳細を見る
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ラムネとサイダー

2009-09-26 10:10:50 | 日々
用があって町の土産物屋に立ち寄ったら、
わさびラムネ、カレーラムネ、杏仁ラムネ、
それにトマトサイダーとかいうのが一列に並んでいた。
あ、これが噂の…と思って、じいっと見る。

個人的に、杏仁以外は、名前もデザインも、
飲んでみるのにかなり抵抗がある。
しかも、この店には冷蔵設備が皆無である。
つまり、まったく冷えていない。
お土産に持ち帰るにはそのほうがいいかもしれないが、
冷えていない、乾いた棚のラムネというのは、
残念ながら、ちっとも魅力的に見えない。

ラムネという商品の価値の半分は「冷たいこと」で、
残りの大半を「びん」と「タイミング」が占める。
サイダーとの違いは、ラムネ玉があるかないか、だろうか。
サイダーは家庭の冷蔵庫にも入っていたりするが、
ラムネは外の屋台などで、あけてその場で飲むものだ。
わたしはからから鳴るラムネ玉が気になってしょうがなく、
空きびんを置いて行かねばならないのが心残りだった。
それはラムネが1本10円くらいだった頃の話…。

トマトサイダーはぼんやりと赤い色をしている。
透明と不透明の境目くらいの赤だ。
本当にトマトが入っているのか、
入っていなくて色だけそれらしくつけてあるのか、
どっちにしてもかなり奇妙な飲み物に見える。
トマトジュースを使ったカクテルなどは昔からあるわけで、
よく考えたら別に変ではないのかもしれない。
でも、こういうものを考えて作ったメーカーは
「え? 何これ!」という話題性を狙っているのだから、
やっぱり変だと思うのが正しい反応かもしれない。
(ごちゃごちゃ言ってないで飲んでみれば?
そうね、でも、うーん、冷えてなかったし…)


ところで、時鳥さん。
当県にはワニノボリとカツオノボリがあります。
どちらも烏賊・凧の仲間ではなく、コイノボリの変種のようです。
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針と糸

2009-09-23 15:20:53 | 日々
普段着のジーンズのウエストがゆるくて具合が悪い。
畑で何度か裾を踏んでしまったので、
いくら普段着とはいっても、なんとかせねばと思う。

買ったときより中身がスリムになったのならめでたいが、
そういうことはたぶんありえない。
思ったよりのびやすい素材だった上に、
太ることを想定してゆったりめを買ってしまったせいだろう。

スカートならフックの位置をずらして誤魔化したりするけれど、
ジーンズのボタンは移動しにくい。
ベルトからほどいての寸法直しは大変だし、
なにしろこの色のミシン糸も持っていない。
さいわいデニムといっても薄手なので、両脇で2センチずつつまみ、
ダーツのように裏側でちょいちょいと縫ってしまう。
これでよしっと。

針に糸を通すとき、わたしは糸を左手に持つ。
あるとき「左きき?」と人に言われて、
はじめてそのことに気がついた。
左ききではない。箸も鉛筆も右で持っている。
どうやら「針を右で持つ」ことに固執した結果、
糸が左になったらしい。
子どもの頃からずっとそうなので、逆だとかえって難しい。


「ねえ、お前さん、針に糸を通すときには、
糸をじっと持って針の方を近づけるんじゃないよ。
針をじっと持って、糸を突っ込むのだよ。
それが普通、女のやり方だ。
でも男は必ずその反対のやり方をするものさ」
(「ハックリベリィ・フィンの冒険」村岡花子訳)

逃亡中のハック少年が、町の様子を探るために
女装して民家を訪れ、おばさんに見破られてしまうシーン。
セイラとかメアリとか名乗ってるとこが可愛い。
このおばさんは、ここの部分にしか登場しないのだが、
シャーロック・ホームズなみに鋭い観察眼の持ち主で、
無名のちょい役にしておくのは惜しいくらいである。
それにしても妙なことをよく知ってますね、マーク・トウェインって。
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並べてみた

2009-09-21 09:05:41 | 日々
手前から順に

・拾った栗

・景さんが送ってくださった
 バターナッツという名前の不思議なかぼちゃ

・クリカボチャという名前の不思議な猫
 (…嘘だよー。ごめん茶々さん)
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あめふらし

2009-09-20 10:53:29 | 日々
去年だったか、グリム童話に登場する
謎の「あめふらし」のことを書きましたが、
今回は本物のアメフラシ。

Mの仕事場に水槽が2つあって、
これまでふつうに金魚などを飼っていたのですが、
金魚がだいぶ大きくなったので池に移し、
あらたに海水魚を飼い始めました。

このまえ、帰省していた呼夜に手伝ってもらい、
ここから車で30分ほどの海岸の潮だまりで
小魚をざばっとすくってきたわけです。
もちろん海水も、ポリタンクで汲んできて。

コバルトブルーの熱帯魚ふうのとか、
黒い点のある蝶々魚みたいなのとか、
ハゼみたいなのとか、エビとかウニとかヤドカリとか、
上を泳ぐものあり、底を歩くものあり、バラエティに富んでいて、
あっというまににぎやかな水族館ができあがりました。

それから2週間ほどたって、
水槽の中にアメフラシを発見しました。
長さ2センチくらいの茶色いの。
たぶん海草か何かにくっついていて、
これまで気がつかなかったのでしょう。
小さいから、見つけても、またすぐ見失ってしまう…。

動物分類学上は、
軟体動物門腹足綱後鰓類の無楯類
(難しいのでコピーして貼りつけた!)
というグループに属するイキモノらしい。

よーく見ると、ちゃんとツノも2本あり、
色は地味ながら、背中のフリルがなかなかおしゃれ。
ツノを左右に振りながらゆっくりゆっくり動きます。
海のうさぎちゃん。
見れば見るほど、グリムの「あめふらし」は
やっぱりコレではないよなあ、と思えてきます。
人魚姫のペットになら、なりそうだけど、どうかしら。

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連休

2009-09-19 13:53:57 | 日々
珍しく(年に数回あるかないか)しめきり日のあるお仕事。
インフルエンザがだいぶ流行っているらしいので、
しめきり直前になって感染すると困ることになる。
いや、自分がかからなくても、編集担当の人がかかるかもしれない。
などと、いつもより慎重になり、早めに仕上げて送ってしまう。

原稿が早くできても、あまり早くに渡すものではない、
と学生時代に教わった。
理由はふたつある。
ひとつは、時間がある限り読み直し、推敲せよ、ということ。
どうせ先方はサバを読んでしめきり日を設定しているのだから、
「どうですか」と催促が来てから送ればちょうど良いのだ、と。
もうひとつは…早く渡しすぎると、失くされることがあるから。

そう教えてくれた人は、わたしの手書き原稿を
酔っ払ってどこかに封筒ごと置き忘れて失くしてしまった。
わたしは、ぐちゃぐちゃに書き散らした草稿を
ごみ箱から拾いあつめ、しわをのばし、つなぎあわせ、
もう一度最初から手で書き直した。

そういう悠長な時代と違って、いまはほとんどメールで送るし、
ファクスもコピーも自宅で簡単にできるから、
たとえ先方が失くしても、原稿はちゃんと手元に残る。
もちろん、だから失くされてもいいってことはないですけど。

メールの送信ボタンを押し、これでよしと満足し、
ふとカレンダーを見たら、なんだ、5連休じゃないの。
ニュースで高速道路の渋滞が報じられている。
春の連休の渋滞のニュースを見たのって、ついこのあいだじゃない?
と言ったら、あれはお盆の帰省ラッシュだとMに言われた。
あそうか。
連休。お盆。連休。年末年始。
渋滞のニュースを4回見て1年が過ぎる。
ちょっと寂しい。
菜っ葉でも摘みにいこ。
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帆立貝

2009-09-17 09:34:07 | 日々
このあいだ猫の食器の話を書いたところ、
貝殻のお皿をいただきました。
(桜さん、ありがとうございます!)

パステルカラーの可愛い帆立貝です。
本来は石鹸入れらしく、入浴剤コーナーにあったとか。
そうそう、こんな感じ!
これで、サイズがもう少し大きければぴったり…。

ためしに、すもも嬢様にお出ししてみました。
「なに、これだけ?」とばあやの顔を見ますので、
2枚並べて置くと、アッチ食べたり、コッチ食べたり。

食べ終えて、口元を拭きながら、
「こういうお皿があと3枚くらいあって、
それぞれに違う味のゴハンがちょっとずつ入ってて、
順番に出てくると良いのじゃないかしら?」
と嬢様がおっしゃる。
はあ、フレンチ懐石風にですか?
5匹に5枚ずつでは、ばあや、大変でございますよっ。
(あ、ボクは丼でいいからね、と珊瑚が言ってる。
よしよし、キミにはシャコ貝か何か探してあげよう)


そして、桜さぁん、「睡蓮池」の続きが気になるんですが。
三日月氏、ステッキ術の達人だったり?(笑)
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案山子

2009-09-14 17:39:32 | 日々
峠を越えて、かかしを見に行く。

隣町に、ひときわリアルで凝ったかかしを作る人がいて、
道路沿いの田んぼを舞台に、毎年趣向をこらして見せてくれ、
地元では名物になりつつある。

かかしは5人組だ。
最初の頃は2人だったと思うが、いつからか数が増えた。
おそろいの白い半袖シャツを着ている。
背格好も雰囲気もよく似ているので、5人兄弟か、
もしかしたら5つ子かもしれない。

どこが凝っているかというと、全員ポーズが違う。
虫捕り網をかまえていたり、田の中でかがんで作業をしていたり、
あぜ道に腰をおろして休んでいたり。
かかしといっても、棒きれでできているのではなく、
等身大の人形で、関節も曲がるようになっているらしい。

麦藁帽子をかぶったり、タオルを首に巻いたりしている様子、
両手を腰にあてて稲穂を眺める姿勢も、
遠目には本物の人間そっくりだ。
しかも、それぞれの位置が、見るたびに違う
(…ような気がするのですが、気のせいかもしれません)

帰りにまた同じところを通ったら、かかしがひとりふえていた。
あれ? ひとりだけ青いシャツだ。
5人兄弟のお父さんかな。
と思ったら、それが、ゆっくり動いた。
本物のおじさんでありました。
ああ驚いた。

もうひとつ凝っているのは、稲刈りのすんだあと。
本来の役目を終えても、かかしたちは、すぐには引っ込まない。
昨年は、きれいになった田んぼの真ん中で相撲をとっていた。
ふたりが取っ組みあい、ひとりが行事をつとめ、
あとのふたりが手を叩いて観戦、という愉快な光景であった。
今年は何かなあ。
楽しみだなあ。

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言葉を摘む

2009-09-13 10:46:32 | 日々
夕暮れが涼しくなり、さすがに蚊も減ったようなので、
畑に出てもゆっくりしていられる。

今年は、Mがいつもより種を多めにまいたらしく、
それがまた発芽率が良くて、畑がたいそうこみあっている。
7センチくらいのちびちび青梗菜をざる一杯摘み、
台所に戻ったが、まだ摘み足りない気がしたので、
取って返し、ちびちび水菜もざる一杯摘んだ。

植物の葉っぱをさわっていると、なぜか頭が良く働き、
思いがけないアイデアが湧いたりもするので、
ゆっくり畑仕事のできる季節は嬉しい。
先日から、絵本の文章の一行に的確な表現がみつからず、
寝ても覚めても頭から離れなかったのが、
ちびちび菜をかきわける指の先にふと回答が見えて、
「あ、それだ!」と思わず顔がほころぶ。
急いで摘み取り、菜っ葉と一緒に持ち帰る。
落とさないように。

青梗菜もこんなに小さいと青梗菜らしい料理にはならないが、
大きめの貝割菜として扱えば良い。
もやしと魚肉ソーセージと一緒にさっと炒め、
顆粒コンソメと胡椒を振り、溶き卵を流して炒め合わせる。
きれいな緑で、しゃきしゃきとして、美味しい。

水菜は半分を浅漬けに、半分をサラダ用に。
明日は大根と小かぶの葉も摘みましょう。
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