閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

ヒメハギ

2012-04-30 09:42:00 | 日々

となりの山の斜面のあちこちに点々と咲いていた花。

草丈は10数センチ。とても小さくて細いけれど、
茎はかたくてしっかりしている。
花の色が萩に似ている。
ヤハズソウやコマツナギのような雰囲気もある。
ということは、マメ科だな。
と思ったけれど、花の形がどうもマメと違う。
左右にひらいた2枚の花びら。
こういう形の花は、他に見たことがない。

帰ってすぐ植物図鑑を調べたが、それらしいのに行き当らない。
何の仲間か、せめて科名ぐらい見当がつかないと、
調べるのにたいそう時間がかかる。
名前をつけるなら、なんとかハギ、のような気がするけれど、
「ハギ」だけでは検索範囲が広すぎてどうにもならない。

年に一度くらい、こんなことがある。
こうなると、わかるまで気になって眠れないのである。
手元の図鑑を1ページずつめくっていってもピンとこないので、
Mのアトリエに写真の図鑑を借りにいったら、
ちょうど一番見たい「山の花」の巻が欠けていた。
あきらめきれず、「野の花」の巻をぱらぱらめくっていたら、
「あれ? これだ!」と。
(ヒトは「山」と思っているが、植物的にみれば「野」に近いらしい)

ヒメハギ。
萩とはまったく関係ない、ヒメハギ科の植物。
「初めて見た人はたいていマメ科植物だと思う」と書いてある。
そうだよねー。やっぱり思うよねー。
(この「フィールド百花」というシリーズは、解説が面白く、
臨場感があって納得できるところが、わたしには使いやすい。
すでに絶版なのは残念です)

やれやれ、これですっきり・・のはずなのだが、何かひっかかる。
ヒメハギ?
ほんとに、初めて見た、のかな? 26年も住んでいて?

うーん、もしかして、と古いファイルをあさってみたら、
こんなのが出てきましたよ。

 

 

ヒメハギと、書いてあるじゃないですか。自分の字で。
日付は1986年5月。
この頃はまだ花の写真を撮る趣味はなかった。
可愛い花で、珍しかったので、描いておこうと思った、らしい。
その後、わたしは見ていなくても、ヒメハギは、
ずっとそこにいて、毎年ちゃんと咲いていたのだ。

そういえば・・と、ぼんやり記憶がよみがえる。
当時も、いろいろ調べて、どうしてもわからず、
たまたまめくった「野の花」でやっとわかった・・ような・・。
26年後に、まったくおんなじことを繰り返しているとは。
とほほ。

 

ところで、ヒメハギをみつけたのは、
ウンゼンツツジを見に行く途中のこと。

公園などによく植えられている園芸品種のツツジ(サツキ)は
大きくて色がきついのであまり好みでない。
山に自生するツツジのなかまは、もっと控えめで軽やかだ。
中でもウンゼンツツジは花も葉も小さく、薄いピンクが
ひなあられのようで、とても可愛らしい。

毎年、「あ、咲いてるな」と思うけれど、場所が悪いので、
これまで花の時期にそばまで行ったことがなかった。
なにしろ、離れたところからは見えるのだけれど、
斜面の下まで行くと見えなくなる。
方向音痴で有名な閑猫がたどりつける可能性は
限りなくゼロに近い。

ということで、「このあたりの山に詳しいガイドさん」に
助けをもとめることにした。
「じゃあ、この橋渡って。左にずーっと行って。ずーっと。
はい、そこから右に上る。そうそう、もっと上。もーっと上!」
と、川岸から遠隔操作(?)してもらって、なんとか到着。

 

岩の上にはりつくように生えている。
すでに盛りをすぎ、花のふちが茶色くなっているのが惜しい。
大きく写っているけれど、花は直径1~2センチほど。
下にはたくさん散っていて、ぎりぎりまにあったというところ。
来年は、もうちょっと早く来てみましょう。

(追記: これを長いあいだ「コメツツジ」と覚えていたのだが、
調べてみると、コメツツジはもっと高山の植物らしい。
このピンクのは、通称コメツツジと呼ばれることも多い
「ウンゼンツツジ」らしい、ということがわかった)

 

本日のにゃんこ。


おつかれさまのレアル・マドリード。
(相変わらずMは「バルちゃん」と呼ぶのですが、
それはバルセロナじゃなくてお相撲の把瑠都のこと)

 

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釣鐘草

2012-04-29 09:27:54 | 日々

シラー・ヒスパニカ。和名を釣鐘水仙。
カリンの木の下で半野生化している。
いつ植えたものか、記憶がない。
木の根元には、犬か猫かのお墓がある。
お墓といっても墓標は何もない。
誰のお墓かもわからない。

ここに住むようになってから、すでに10匹を見送ってきた。
いつも木の下の、静かな場所に、たくさんの花と一緒に埋める。
月日がたち、土に同化していくにつれ、どこに埋めたか忘れてしまう。
そして思い出だけが残る。
おぼえている人がいる限り、いつまでも残る。

 

朴の木の新芽。
朝、昼、夕方と、見るたびにどんどんひらいていく。

 

 

いつも写真を撮るとき電線は避けるのだけれど、
これほどたくさんあれば、かえって面白いかなと。

 

 

魔女の木(本名カラスザンショウ)も葉っぱが出てきた!

 

 

道をはさんで、隣の魔女さんと何やら相談中。

 

 

左にもみじ、右にモクレン、その上が山桜。
あっというまに葉がひろがり、木陰がつくられていく。

 

 

本日のにゃんこ。

あ、こらこら、おたまさんを飲んじゃだめよ。

 

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春菊

2012-04-28 21:08:39 | 日々

 

咲きました。
花だけ見ると、野菜のシュンギクとは思えない。

 

いつも、この2タイプの花が半々に咲く。
個体差なのか、品種が違うのか、よくわかりません。

 

ほうれん草。みごとな螺旋。
こちらも、これからにょきにょきのびて花を咲かせるところ。

 

 

「きゃー」とおっしゃる方もいそうなので、小さめにアップ。
花咲き乱れる大根畑で、クマバチ(くまんばち)が15匹ほどお食事中。
身体が重いので、花にとまると安定悪く、じたばた四苦八苦。
黒くてころころ、もこもこしたところが、なるほど熊ですね。
黄色いチョッキが可愛い。
(大きくても性格はおとなしいので、接写しても平気!)

 


本日の水玉。

あけびの芽は、ゆでておひたしに、と教えていただきました。
おしょうゆ、マヨネーズが合うそうです。
中越地方では、くるみを加えたり、卵を入れたりもするとか。
よーし! と思ったけれど、家の周囲で食べるほど採るには
そうとうがんばらないと・・。
とりあえず、水玉だけ、イタダキマス。

(えーと、食べるとこは、この葉っぱじゃなく「芽先20センチ」
だそうですが、そこはなかなかピントが合わず・・笑)

 

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みどりの季節

2012-04-27 19:56:41 | 日々

 

桑の花。新芽がひらくと同時に花も咲き、
その花は、すでに実に近い形をしている。

 

アオダモの花。
これからふわふわと白くひらいていくところ。

「枝を水に浸けて暫くすると水が青い蛍光色になる」と
Wikiに書いてあったので、やってみたけれど、ならない。
 (隣の木は、「暖地桜桃」という札のついたのを買ったら
じつは八重桜だったので、同じ店で買ったこれも、
もしかしたら、アオダモじゃないのだろうか・・)
葉のふちに紫が入り、地味ながら雰囲気の良い木である。


 

ぐみ(ダイオウグミ)の花。
今年はジャムが作れるかどうか。

 

 

あけび。
数あるつる性植物の中でも、美しさと丈夫さでは一番だが、
これも他の若木にからんで引き倒そうとしており、
どちらを助けるべきか悩む。
新芽はこんなに柔かく可愛らしいのに。

 

 

もみじの花。

 

 

メタセコイア。
新芽の色がとても鮮やか。
この木の巣箱ではヤマガラ夫妻が営巣中。

 

山桜はたくさんたくさん実がついた。


 

長く房になって垂れ下がるコナラの花。
どんぐりを思い浮かべると、あれ?と思うが、これは♂花。
実になる♀花は、葉のつけねにあって目立たない。
開くまえの若葉は銀白色に光り、遠目にもよくわかる。

 

 

どちらを向いても新緑が日ましに濃くなっていく中で、
竹だけは葉が黄ばんで散り始める。
散るそばからすぐ新しい葉が出て入れ替わり、常緑を保つ。
「竹の秋」は春の季語ですね。

 

 

本日の水玉。

サルトリイバラの花。

 

 

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ふられる

2012-04-25 13:34:26 | 日々

「そこのお嬢さん! おじょーさん! ボクとあそびましょう!」

 

 

「あーあ、またアイツじゃん。しつこいなー」

 

「いま忙しいの。またこんどねっ。(うぃんく)」

 

「あ・・そですか・・(しょぼん)」


あるときは小悪魔、またあるときは「黒の女王」。
純朴な田舎の若者を手玉にとる真鈴お嬢さまです。

ところで、お医者さんで、マドリの「年齢」をきかれたのですが、
さあ・・いくつなんだろう。
昨年、うちに来はじめたころの写真を見たら、あきらかに
いまよりコドモっぽい顔をしていたので、案外まだ若いのかな?? 

 

本日のおやつ。

「新東名」のおみやげにいただきました。
アンデルセンの童話クッキー。
豚飼い王子(左)と、5つぶのえんどう豆(右)。
1枚がかなり大きいので、ふたりで食べるとちょうどいいくらい。

豚飼い王子の話で、豚はぜんぜん重要な役ではありませんが、
(いや、出てきたっけ、豚?・・笑)
アンデルセンの中では、好きな話のひとつです。
王様がスリッパのかかと踏んではいてるとか、
ディティールも妙に凝っておりますね。 

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がんばる君たち

2012-04-24 15:13:04 | 日々

野山のあちこちに、小さいが力強い決意表明がみられる。
「がんばるぞ!」のポーズが微笑ましい。

ひらくと、こうなる。センパイの姿を見習おう。

 

 

最初は自信なくても・・

 

のびのびやればよい。

 

疑問符が浮かんだら、手を上げてきいてみよう。


 

ひとりでじっくり考えるもよし・・

 

 

隣の人と相談するもよし。

 

 

 

欧米に合わせて、日本の大学も秋入学になるとか、ならないとか。
うちにはもう学校に行く人がいないから、どうでもよいけれど、
たくさんの生命が始動する春に、ヒトもスタートを切るのが
生物的にもいちばん自然なように思える。
ほら、ピースサインだか、Vサインだか、こっそり出して
応援してくれてる。
あっちでも、こっちでも。

 

>>ジョナさん

閑猫堂にメッセージありがとうございました。
船乗り志望ですか。いいですね!
わたしも(サンゴロウを書き始めたころ)船舶免許とりにいこうかと
ちょっとだけ真剣に考えて、参考書を買ってお勉強をしましたが・・
(いや、結局、行きませんでしたが・・実技が駄目そうで・・笑)

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八重桜

2012-04-24 10:03:17 | 日々

朝起きて雨戸を開けると、世界は一夜にして
みどりに変わっていたのだった。

朝食のあと、お皿を洗っていたら、
「早く早く! 八重桜に水玉がいっぱいだよー」
とMが呼びにきた。

しーかーし、八重桜は、閑猫的には難易度が高いのである。
水玉が綺麗だと、花びらは濡れそぼって、ふんわり感が出ない。
見上げると逆光になるし、近づくと白すぎてピントが合わない。
かろやかな花と、ごつごつした太い枝がミスマッチである。
うーむ。綺麗なのに。

 

 



 

 


 

 

 

ミツバアケビと、その花。
ぶどうのように房になるのは♂花で、
上にひとつだけ離れて咲いているのが♀花。

雨が降り、気温が上がり、つる植物もいっせいに始動。

 

本日のにゃんこ。

ボートを降りる船長。

 

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「おてつだいねこのこもりうた」おうたつき

2012-04-22 15:42:49 | お知らせ(いろいろ)

「おてつだいねこのこもりうた」(金の星社 2003年刊)の中で
ねこさんが歌っている「こもりうた」に、曲がつきました!

ピアノ演奏と歌は、鍵盤屋音夢鈴さん。
映像制作はshamさん。
「銀猫音楽製作所」のおふたりによって
このほど動画が一般公開されました。
とっても優しくてきれいな歌ですよ。
おてつだいねこをご存じのかたも、そうでないかたも、
ぜひ一度お聴きくださいませ。

視聴は →こちら (YouTube)

音夢鈴さんのブログのほうでは、ブックトークふうに
ご紹介いただいています。


じつは、この歌の歌詞は、3番の途中までしかありませんでした。
というのも、本の中では、「みかづきさまに・・」まで歌ったところで、
ねこさんが寝ちゃったからですね。

音夢鈴さんは、最初そのままで曲をつけてくださったのですが、
「寝ちゃった・・」という感じに歌うのは少々演技力がいりますし、
歌としてはやっぱり中途半端なので・・
今回、メロディに合わせて、あらたに歌詞を書き足しました。

「銀猫音楽製作所」の名前の由来は、そこに銀猫さんがいるから(・・ですよね?)。
優秀なおてつだい・・いや、ディレクターであり役者でもある銀猫M氏を
見たいかたは →こちら (制作現場のNG動画)もどうぞ!

 

おてつだいねこシリーズの元祖モデルは、昔いたトマトという猫でしたが、
いまこの歌を聴くと、まさしく、きなこのための子守唄にきこえます。
うちの猫の中で、いちばん苦労をしてきた子だと思いますが、
シアワセそうな寝顔もとびっきりいちばんです。
これからもずうっと、ずうっと、ひとりぼっちじゃないからね。

 

 
 
 
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車窓

2012-04-22 15:14:55 | 日々

どしゃ降りの雨、雨、雨。
田んぼのすぐそばに停めた車の中にいると、
水面が光りながらどんどんせりあがってくるように見える。

カメラがなかったので携帯で写真とって遊んでいました。

 

 

 

持って帰って、万華鏡つくって遊ぶ。
遊んでばかりの、閑猫さん。

 

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「水玉売りの話」

2012-04-21 11:42:42 | お知らせ(いろいろ)

「飛ぶ教室」2012年春号(光村図書出版)に
短編ひとつ書かせていただきました。

このところ、水玉ハンティングに熱中していたのは、
すべてこれを書くための取材だった
・・というのは、嘘。

 

「ファンタジーを」とご依頼をいただくことが多いのですが、
ファンタジーって何だろう? 何を期待されているんだろう?
ということを、そのたびに考えます。

そもそも、何をファンタジーと呼ぶかが、人によって違いすぎる。
たとえば「ハリー・ポッター」は、わたしの頭の中では
ファンタジーではなく学園物の分類に入っています。
トールキンは、なんだろう、冒険時代劇、かな。
逆に、小川未明はファンタジーだと、わたしは思うけれど、
多くの人はそうは思わないらしい。

こんなふうに、同じ言葉を使って会話をしても、
イメージするものがそれぞれ違うのだから、話がかみあわない。
かみあっていないことに気づかず、お互い通じたと思っている。
「蕎麦」と注文して、冷たいのがくると思って待っている人に、
あったかいのをお出ししてしまったり、するわけです。
過去に苦い経験があるので、つい慎重になってしまう。

今回は、担当の方が「青い羊の丘」を読んでくださったとのことで、
じゃあそんな感じで書いてもいいんだ、と思って。
(最終的には、「そこから山ふたつと砂漠ひとつ越えたあたり」
の話になっておりますが・・)

 

 

文字数にして1万字前後というのは、なかなか微妙な長さです。
2000字くらいなら、一幕一場、ひとつのキーワードで書けるし、
お客さまも「いえもうここで失礼します」と玄関先でお帰りになる。
だって、奥に部屋はないんだから、あがられたって困るわけ。
1万字あれば、お茶くらいはお出ししますから、
紅茶かコーヒーか緑茶か、お茶菓子はどうする、とか、
その部屋はたたみなのかフローリングなのか、
スリッパはいるのか、などなど、こまかいことも気になります。

わたしはもともとあまり長いものは書けないので、
2000字が「短距離」で、1万字が「中距離」の感じ。
もっと長い、長距離マラソンになってしまえば、
途中歩こうと休もうと、何日かかろうとかまわない、
完走さえすればいいや、という開き直り方ができますが、
中距離は一気に行かねばならないので、けっこう体力を消耗します。
でも、そういうことで疲れるのは大好きなので。
ふだんよりちょっとだけ意地悪な人になれたりする。
そこが好きなのかも。

 

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