5歳の男の子くんから、可愛いおてがみいただきました。
「ぴんぽんばす おもしろかったです
みどりのぴんぽんばす かいてください」
この字がいいですねえ。「ん」の形が素敵だ。
はるきくん、どうもありがとう。
さて、「みどりのピンポンバス」というのは…
『うみへいくピン・ポン・バス』の冒頭、駅前のバスターミナルに
色違いのバスがずらっと並んでいるシーン。
このうち、中央のオレンジの「花見山入口」行きと、右端のブルーの
「岬灯台」行きは、それぞれ絵本に出てくるのですが、あとの3台は、
(「美香温泉」「小玉城跡」「スミレ植物園」と行き先表示はあるものの)
ここの「後ろ姿」しか出てきません。
しかし、これが、男の子の「コレクター心」をくすぐるらしく、
以前から「他のバスの絵本も欲しい!」というリクエストを
ときどきいただいております。
はるきくんは、右から2番目の緑のバスが気になるのね。
絵を描いた人は、少なくともこの時点では、特に何も考えず
描いてたと思うのですが、
(駅とバスターミナルには実在のモデルがあり、行き先は
担当編集者さんの名前と、当時うちにいた猫の名前と、
『みけねこレストラン』の主人公の名前を適当に並べてある!)
いったん絵に描いてしまうと、それが「設定」になるわけですから、
「みどりのバス」は、この駅(特急の終点で、海に近い町)から
出発して「スミレ植物園」まで行かなければならない…
そして、「植物園」って書いてあれば、植物園に行くものと
誰もが思う。途中で終わったりしたら大ブーイング。
この場合、問題は、「バスは植物園の中には入れない」ということ。
お客さんは門の前でバス降りて…あとどうする?
作者が読者だとしたら、植物園にはぜひ入りたいと思うんだけど、
そこから先は「バスの絵本」じゃなくなってしまうんですよね。
という問題をクリアする必要があるため、「みどりのバス」の話は
なかなか実現できないのでした。
はるきくん、ごめんねー。
でも、きみはきみで、これから大きくなって、いろんなバスに乗って、
バスだけじゃなく、電車にも船にも飛行機にもどんどん乗って、
いろんなところへ行って、楽しい経験をいっぱいしてきてください。
ピン・ポン・バス | |
竹下文子・文 鈴木まもる・絵 |
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偕成社 1996年 |
うみへいくピン・ポン・バス | |
竹下文子・文 鈴木まもる・絵 |
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偕成社 2004年 |