いつも雲を釣るような話ばかりで、どこへ行ったとか
何を食べたとかはあまり書かない閑猫堂ですが、
たまには「日記」ふうに書いてみましょう。
朝から圧力鍋で黒豆200グラムを煮る。
昨夜うんと遅くなって、豆を水に漬けておかなきゃ!と思い出した。
われながらよくぞ思い出したという感じ。
砂糖は豆の半量から7割もあればでじゅうぶんだなあ。
重曹も鉄クギも使わない、このやりかたがいちばん簡単だし、
「豆」本来の美味しさが引き出せるような気がする。
途中で皮が「ぬげて」しまう豆があっても、気にしない。
明日、あたため直すときに、ブランデー少し入れてみよう。
雨降る中、峠を越えて2つ先の町まで、
買い物がてら年越しそばを食べに出かける。
これはわが家の数少ない「恒例行事」のひとつ。
明日はMが餅つきで忙しいようなので、一日繰り上げることに。
濃い霧のような雲がかかり、そこらの山は中国の山水画のよう。
隣町の川沿いの道に出ると、上空をひゅうひゅう飛びかう鳥がたくさんいる。
速くて黒っぽいので、コウモリかと、よく見れば、ツバメらしい。
南の国に渡らないで越冬するようだ。
走る車の窓ごしに下から見たので、種類までは判別できない。
ツバメ、イワツバメ、ヒメアマツバメ、さて正解はどれでしょう。
「まだあるかな」と言いながら来てみたら、古い蕎麦屋は健在だった。
大晦日の前日だからか、いつもこうなのか、昼どきなのにお客はいない。
おそばを頼むと、まずマカロニサラダ、わかめと玉葱のサラダ、
こんにゃくの炒り煮が小鉢で出てくる。
こういう、気取らないというか、こだわり皆無なところが面白く、
ついつい毎年ここに来てしまうのだ。
棚の上のTVは、昭和のニュースの特集をやっている。
アポロ宇宙船の月面着陸や、あさま山荘事件などなど。
店のおばさんは、何かこぼした床にティッシュを落とし、
足で拭きながら目はTVに向けている。
食べ終えるまで、店内はわたしたちだけの貸し切り状態であった。
帰ってから、ツバメが気になり、「ツバメ 越冬」で検索していたら
「ムラサキツバメ」という名前が出てきた。
へええ?と思ったら、それは鳥ではなく、蝶なのでした。
ムラサキツバメ(Purple Martin)という名の鳥は北アメリカにいるし、
ミドリツバメという鳥もいるので、非常にまぎらわしい。
日本でいう「ツバメ」は英名では「Swallow」と「Martin」に分かれる。
スワロウテールは燕尾服、そして、アゲハチョウのこと。
で、さらに検索していくと、突然「執事喫茶」なるものに行き当り、
おめめパチクリ・・(笑)
閑猫の「執事」のイメージは永遠に「ウェイン家のアルフレッド」ただひとり。
(ノーラン版じゃなく、バートン版ですよ、もちろん)
午後は、これも年末恒例のりんごケーキを焼く。
紅玉がないので、ふじを半個、さいの目に切ってレモン汁をかける。
久々のオーブン仕事なのでいろいろとカンが鈍っており、
バターを「柔らかくする」はずがうっかり「溶かして」しまう・・
などの失敗はあったものの、まずまずちゃんと焼けました。
甘いものがそろえば満足の閑猫と、お酒と刺身のことをまず考えるM。
左右のバランスがうまくとれている、と考えるのが良いかもしれない。
伊達巻は酔猫さんお手製(ホタテ入り、絶品です!)をいただいたし、
明日はお煮しめと紅白なますをちょこちょこっと作れば、おしまい。
え? お掃除? って、ソレ、ナンデスカ?
(昨日、がんばって床をキレイに拭いたのに、
朝起きてみたらいちめん猫の泥足跡だらけになっていたのです・・)
本日の「いいね!」
hofli(津田貴司)『雑木林と流星群』
ジャンル分けするなら「サウンドスケープ」というのだそうだ。
閑猫がお外でこっそり水玉を拾って持ち帰るように、
この人は「音」を拾ってくる。
それを削ったり磨いたりコラージュ的に組み合わせたりして、
お気に入りの「作品」に仕上げていく。
具体的な技法や道具についてはほとんど知らないが、
その「やりかた」自体は、わたしにとっても非常になじみ深いものなのだ。
この作品を観賞するには「場所」が必要だ。
もちろん静かなほうが良いけれど、イヤホン、ヘッドホンは使えない。
広くなくてもいいから、空間に音を放して、自由に遊ばせてやるのがいい。
うちで再生すると、外のいろんな物音がどんどん勝手に混じり込んでくる。
雨の日もあれば風の日もある。鳥も鳴くし猫も鳴く。
そのときどきで思いがけない変化をする。
それで良い、ということなのだろうと、勝手に解釈している。
同じ作者による『水の記憶』も併せてどうぞ。