閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

時間の底から

2009-06-30 21:11:59 | 木苺通信


目を閉じる。ゆらりと潮がみちてくる。
光が揺れ、砂が揺れ、魚の影が揺れる。

「百万年オルゴール」(「木苺通信」より)

 

 

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王様現象

2009-06-29 14:35:51 | 日々
このあいだ「クッキーのおうさまのマーチ」を作ったのですが、
その後、いささか困った現象が…。

横断歩道で信号待ちをしていると、
イントロの「ファンファーレ」が頭の中で鳴り始める。
そして、渡りだすと、小声で歌ってしまうのです。

 わったしは クッキーの おうさまだー
 こんがり やっけたー おうさまだー

…やれやれ、なんてことでしょう。



大輪の色鮮やかなアジサイを堪能したあとで、
木陰に咲き残った小さい山アジサイをみつけた。
茶道の心得はないが、
お茶花にはこんなのが良いのだろうと思う。
黙って眺めていると、一句か、一首か、できそうな感じ。
感じ…だけ。
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梅雨のおでかけ

2009-06-27 22:12:15 | 日々
本格的に暑くなる前に…
と思ったら、もう本格的に暑かったですが。
以下、覚え書き。

できあがった絵本原画を持っていくMに同行して出版社へ。
会議室に絵をずらーっと一列に並べて見ていただく。
寝癖の髪を直すひまなく出てきたのに、ついでにって写真撮られた。
それ使っちゃだめですからね、0さん。

コーヒーの高い喫茶店(笑)にて、
招き猫柄アロハシャツの似合う画家さんと次作の打ち合わせ。
主人公を「おじさん」から「女の子」に変えてしまおう、
という斬新な案が飛び出し、急に視界がひらける。

マンドリンの楽譜を探しに行くが適当なものがみつからず。
初心者向きは曲がつまらないし、
弾きたい曲が入っているのは難しすぎる。って当然だけど。
新宿のコタニ楽器がなくなってしまったのが残念だ。

通りすがりに目についた、わりと小ぎれいな居酒屋に入ったら、
「じつは明日で閉店するので」という。
「メニューにあっても、ないものがあるんですが…」。
実際は、ないものが「ある」のではなく、「ない」ものがかなりあるのだった。
閉店売りつくしセールに全面協力したような晩御飯となる。

そのつづき、ホテルのバーにて。
MとOさんはモスコミュール、わたしはレモンスカッシュ。
このレモンスカッシュが甘くなくて非常に美味しかった。
見た目にも気分的にもちょっとお酒飲んでるようだし。
バーなんてところは生まれて初めて入ったけれど、
そうか、こういうものを頼めばいいのだな。
(そして千鳥足のOさんは無事におうちに帰れたのでしょうか?)

暑いのでお昼はあっさりすませたく、和食を探したら、
2日連続で妙な店に入ってしまった。
その1。
某駅前の、夜は赤提灯を出すらしい、すごく古そうな店。
おもてに出ているサンプルがシュールな色だったので一瞬たじろぐ。
なぜかニューヨークっぽいジャズをBGMに、冷やしたぬきそば。
その2。
階段を下りてみたら、地下に展開するやたらと広い和風ファミレス。
茹でて冷凍して解凍したようなざるうどんをよく噛んで食べていると、
「お食後にコーヒーはいかがですか」とすすめに来る。
まさかねえ、と思いつつも、時間つぶしに頼んでみたら、
上に書いた喫茶店のブレンド800円より美味しくてびっくり。

乗換駅のドトールコーヒーにて。
80くらいに見えるおばあさんが杖をついて入ってきて、
よっこらしょと椅子に落ち着き、
「冷たいカフェオレひとつちょうだいよォ」と
当然のようにカウンターに声をかける。
常連客なのか、店員さんは席まで運んであげている。
別のおばあさんは、アイスティー(たぶん)が
4分の1くらい残ったグラスに自分で水を入れてきて、
ガムシロップをたっぷり増量してちゅうちゅうと飲んでいた。
街で、元気のある遠慮のないおばあさんを見るのは楽しい。
そういう人になれそうな気は全然しませんが。

「ターミネーター4」の映画を観にいったら、
そこにもかなり高齢の人がたくさん来ていた。
75歳以上は無料だったりするのかな?
この劇場は椅子が上等で、音響も上等だから、
こういう重低音の効いた派手な映画を観ると、
マッサージチェアみたいに健康に良いかもしれない。

都会を歩くと、宅配便がよく目につく。
トラックが入りにくい道を、台車を押して回っている。
配達を終え、からになった台車にひょいと乗り、
わずかな下り勾配をすーっとすべってくる人に会った。
あ、楽しそう。
思わず振り向く。
テール君なら、きっとやりそう。

帰りのローカル電車にて。
Mと、向こうの席に座っているボストンバッグを持ったおじさんの
職業あてごっこをする。
「トラベルミステリー作家が取材を兼ねて温泉に行くところ」などと。
わたしは、あの人どこかで見たなあ、どこだったかなあ、と
ずーっと考えていて、丸一日たってから「そうだ!」と思い出した。
「リエギエンダ」に出てくる「タムおじいさん」(の若いとき)。
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ころがるプラム

2009-06-23 21:14:50 | 木苺通信


「びん詰めの手伝いにも、もちろん、来るわよね?」
と、ふたりは僕に言う。
「ラベルをいっぱい貼らなきゃならないのよ」

 「ころがるプラムのポルカ」(『青い羊の丘』より)
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2009-06-22 13:09:06 | 日々
アジサイの大きな花を写真におさめようと
あれこれ構図を工夫していると、
液晶モニターに白い枠があらわれたり消えたりする。
これがよくわからないので、帰ってマニュアルを見たら、
このデジタルカメラには自動的に「人の顔」を認識して
ピントを合わせる機能がついているのだった。

カメラが花を見て、
「これ、顔? 顔ですか?」と言っていたのですね。
かしこいなあ、よくわかるねえ、とカメラをほめてあげる。

しかし、猫を撮ろうとすると、この枠が出ない。
猫より花のほうが人に似てるのかしらん。
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絵本のつくりかた・つづく篇

2009-06-21 11:35:38 | 絵本のつくりかた
このカテゴリの更新、1年以上あいてしまいました。
Mとの共作の絵本は『りんごのおじさん』以来になります。
今回は2003年に出た『せんろはつづく』(金の星社)の続編!

前作の評判が良いので、ぜひ続編を…と言っていただけるのは
作者にとってはたいへんありがたくうれしいことです。
しかし、またこれほど難しいものはなく…
一昨年くらいから話は出ていたのですが、
なかなかとりかかることができませんでした。

続編だと、世界はそのまま、キャラクターもそのまま使えます。
画材や画法もあらたに考える必要がありません。
では、何が難しいか、というと、

第一に、いわゆるプレッシャー。
前作を継承しつつ、前作より面白くなくてはいけない。
二番煎じとか、二匹目のドジョウとか言われたくない。
そういう事前のプレッシャーが、わたしはすごく苦手。

それと、考えることも苦手。
何かの拍子にヒラヒラと空から舞い降りてくる、
いわば天啓のようなものを頼りにいつも仕事をしており、
意図とかテーマとか先に考えると、ろくなものはできない。

第二に、前作とのつなげ方。
『せんろはつづく』はタイトルどおり鉄道工事の絵本で、
子どもたちが野原に線路を敷き、鉄橋とかトンネルとか踏切とか
ひたすらどんどんつくっていく、という内容です。
「まだつづく」風なラストシーンにしてはありますが、
実際の「つづき」は想定してありませんでした。

つまり、前作でやれることは全部やってしまったので、
もうやることが残っていない!

それなら、2冊目は応用編ということで、
汽車が海へ行ったり、町の中を走ったりしてはどうでしょう…
という提案が出版社のほうからありました。
が、いくら背景が変わっても、やることが同じでは、ね。
どう工夫して新鮮味をプラスするか。
それが、二番煎じと紙一重。

第三に…
前作が出てからすでに6年たっています。
大人の本ならともかく、子どもは数年で絵本年齢を過ぎ、
興味もどんどん他に移っていきます。
だから、前作を読んだ同じ子が「あ、つづきだ」といって
2冊目を読む、とは限りません。

しかも、子どもの本の売り場はたいてい狭いので、
2冊並べて置いてもらえるとは限りません。
2巻ものの本があって、たまたま書棚に「2」しかない場合、
「1」を読んでいない人はまず手を出さない。
だから、営業的に理想的な「続編」とは、
「前作を知っている人にはつづきだとわかり、
前作を知らない人にはふつうの新刊に見える本」
そして、
「1冊目から読んでも、2冊目から読んでも、
片方だけ読んでも、両方読んでも楽しめる本」。

それって、座って立ってろってくらい難しいじゃないの。

というようなわけで、出足がもたもたして、
昨年10月に最初のラフをつくりましたが、会議にて却下。
それから二転三転七転八倒あれやこれやしまして、
(ラクダとか、ゾウとか、スイカとか、アヒルとか!
電車の中でも、ファミレスでも、居酒屋でも、ナミビアでも!)
今年4月にやっと最終ラフが通過。
このとき文章も「第7稿」になっていました。
わたしはわりとよく書き直すほうですが、
それにしても7稿までというのは初めてかもしれない。

と、さも大変だったように書いているわたくしは、
1場面に
「ああして こうして こうやって」
とたった3語しか書いてないような原稿を、画家に丸投げ!して、
いつものことながら、大変だったのはその絵を描いた人なのでした。

順調に進めば、今秋には本になると思います。
どうぞおたのしみに。

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バランス

2009-06-20 11:08:13 | 日々
アジサイで有名な公園が市内にあり、
小高い山の斜面が、この時期は花で埋めつくされる。
人の背より高い大きな木に、大きな大きな花がたくさん、
これでもかこれでもかというくらい咲いている。
それはみごとで、最初は誰でも感嘆の声をあげるが、
どこまで行っても咲いているので、しだいに口数が少なくなる。

花を観賞するには、花と人とのバランスも大事だ。
人より花がずっと少なければ、安心して眺めていられる。
可憐な花をそっと見守る、という立場で、人は優位にいる。

これがバランス的に同じくらいだと、少し難しい。
バラ園やアジサイ園のように、観光目的で植えてある場所は特にそうだ。
自然ではありえないほど花の量が多く、密度も高すぎる。
こういう場所は家族づれやグループで訪れるのが正しい。
悩み事などある人がひとりでしんみり見るのはおすすめしない。
うっかりすると花に圧倒されてしまう。
だから、ふだんより高い声で笑ったり、しゃべったり、
はしゃいで写真を撮ったりしたほうが良い。
帰り際にふと振り向いたりしてはいけない。

バランスが完全に花のほうに傾いてしまうと、
『レベッカ』のマンダレイ屋敷になるのだろう。
アジサイというと、この小説を思い出すようになってしまった。
これでもかこれでもかと繰り返される花々の描写は、
過去にそこでおこった事件そのものよりもよほど怖い。
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叩く

2009-06-19 14:48:21 | 日々
「この道50年のベテラン打検士」という人が
TVニュースで紹介されていた。

打検士という職業があることを知らなかった。
缶詰工場で、出来上がった缶詰をハンマーのような棒で叩いて、
音だけで不良品を選り分ける人のこと。

コンコンコンコンコン…と、リズミカルで早い。
1ダースくらいずつをひとまとめにして、
1個の缶を2度くらい叩いているように見える。
きまじめなパーカッション奏者のようだ。
不良品をはじくだけでなく、2グラムの違いでもぴたりと当てる。
一瞬の音と、手ごたえだけで。

重さのチェックや異物の検知だけなら、たぶん機械でもできるのだろう。
質の良し悪しの判断は、人にしかできない。
これは日本で生まれた技術で、
だから日本の缶詰は昔から輸出先でも評価が高かった。
若い頃、アメリカでこの技を披露したら、
マジシャンみたいだと驚かれたそうだ。

買い置きの猫缶がたくさんあるので、やってみた。
ハンマーはないので、大きいスプーンの背で叩く。
全部同じ音で、たまに1個違うのがあれば、誰でもわかるだろう。
と思ったら、意外にも、全部音が違うのだ。
同じメーカーの、同じ製品なのに、10個叩くと10個とも、
音の高さも違うし、響きの質も違う。
叩けば叩くほどわからなくなる。
ああ、これは、難しいや。

キッチンスケールにのせてみた。
重さもきっちり同じではなく、
193グラムから197グラムまで幅があった。
これは猫缶だからなのか、ふつうの誤差の範囲内なのか。
しかも、重さと音の高低との関係はランダムだ。
素人にわかるレベルのものではないらしい。

打検士さん、70歳で、現役。この仕事を続けるために、
日頃から健康には気をつけている、と言っていた。
自分の耳と勘だけが頼り。後継者がなかなか育たない。
いま日本中にこの資格を持つ人は10人くらいしかいないそうです。


濃い緑の葉に白い花のアジサイ。
咲き始めがなんとなく貝殻のようなので、
勝手に貝殻アジサイと呼ぶことにした。
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カエルの王子様

2009-06-18 11:41:46 | 日々
相変わらずフーテンの真鈴さんは、
雨の夜ふけにニャオニャオとご帰宅。
びちょ濡れで。
謎の草の種いっぱいくっつけて。
おみやげ持って。
いつもご苦労さまです。

これまでいろんな猫を飼いましたが、
カエルを持ってくる猫は真鈴だけ。

(えーと、苦手な方は、この先、読まないように!)

どこでとってくるのやら、いつも同じ種類のカエルです。
黒っぽい、ひらべったいような形のやつ。
Alive and kicking.
ときどき、ぺったら!と、思いがけない方向へ跳ねます。
真鈴さんは、持ち帰ったら、それでもうご満足なので、
そのへんに寝そべってのんびりと見守っているだけ。
夜中に、暗い室内でカエルとりをするのは楽しくなぁい。

先日、時鳥さんが雨の夜に遭遇されたのは
ヒキガエルさんにほぼ間違いないと思いますが、
そういえば、しばらく前のこと…

(苦手な方はほんとに読まないように!)

うちの横の崖で「ぱう…ぱう…」と鳴くモノがいる。
1度も聞いたことのない、鳥ともケモノともつかない声。
はて、と見ていると、斜面の上から何かころがるように落ちてきた。
それが、ヒキガエルさん。
両手をあわせたくぼみにぴったりくらいの、大きいやつ。
大きく呼吸しながら「ぱう…ぱう…」と声を出している。

彼らは夜行性で、晴れた日中にはあまり出歩きません。
それに、こんな鳴き声を聞くのも初めて。
おやあ? と少し上に目をやると、そこには
くわっと口を開けてこちらをにらんでいる、とても大きな…


数行削除(笑)


すると、カエルはたちまち美しい王子様に変わり、
「助けてくれてありがとう」

…というのは、残念ながら、ありませんでしたが。


写真はガクアジサイの園芸種でしょうか。
中央の小さいぽちぽちの花がカラフルできれい。
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星の花

2009-06-17 10:50:53 | 日々
いろんな種類のアジサイが咲くので、
1枚ずつ写真をアップしていこうと思います。
本日のは、これ。
星の花。


閑猫堂の音楽部門に、早くもリクエストをいただきました。
『クッキーのおうさま』のテーマ曲!
これはもう、迷うことなく「マーチ」ですね。
しかし、それに
「はさみのちょきちょき音とか、コップのかちゃかちゃいう音とか」
を入れろという…難題。
(はさみやコップは、王様の家来として作中に出てくるのです)

そりゃ、あれば入れたいですが、そんな音、ありませんよ。
無理ですね。

無理、だと思う、けど。

えーっと…

(お? 考えてるぞ?)
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