新刊絵本です。
『ポテトむらのコロッケまつり』(教育画劇 2016年1月刊)
絵は出口かずみさん。
上の画像は帯つきです。
でも、やっぱり、この表紙は…
こうやって開いてお見せしなくちゃ!
大きな大きな、世界一のコロッケのおはなしです。
そもそもの始まりは5年前のこと。
ローカルニュースで「日本一大きいコロッケを作ろう」という
イベントをみて、興味をひかれたのが発端でした。
そのときのブログがこちら→コロッケ大作戦
(このあと、「巨大目玉焼き」だの「巨大モンブラン」だの、
巨大料理にいろいろこだわっていた閑猫の不審な様子を、
もしかしたらご記憶の方もいらっしゃるかと…笑)
「これ、絵本にしたら楽しそうです」
なぁんて、さりげなく書いておりますが、
このときすでに、絶対絵本にしよう!と思っていたので、
3か月後には原稿ができていました。
みんなで力を合わせて大きなことをする、というイベントはよくあり、
伝統的なものもありますが、思いつきだけのものもあります。
だいたい「ギネス記録に挑戦!」的なものって、必然性のうすい、
やらなくてもいいようなことが多いので、あまり好きではありません。
その中で、たまたま目にしたのがコロッケだったのですが、
いいなと思ったポイントが2つありました。
ひとつは、コロッケ作りが、まず、みんなで畑を耕し、
じゃがいもを植える、というところから始まっていたこと。
もうひとつは、子どもからおとなまで、多くの人を巻き込んで、
役割を分担し、それぞれが専門分野で真剣に取り組んでいたこと。
小学生たちがじゃがいもの収穫をする。
鉄工所で巨大なバーナーと鍋をつくる。
栄養学科の学生さんたちがレシピを考える。
お父さんたちが「せーの!」でコロッケを裏返す練習をする。
煮立った油にコロッケを下ろすクレーンの運転手さんも、
たぶん、真剣に練習したと思う。
当日あつまったお客さんたちは、コロッケを成型して
揚げるところしか見られませんでしたが、ほんとに面白いのは
そこに至るまでの過程であり、舞台裏です。
TVや新聞で取り上げられても一日限りで忘れられてしまうし、
イベント自体がローカルなものだから、県外の人は知らないまま。
これ、もったいないでしょう。
絵本にするしかないでしょう。
ということで(笑)
勝手に絵本にさせていただきました。
主催者さまに感謝。
5年がかりで企画を通してくださった編集Cさんにも大感謝。
絵の出口かずみさんは、これが絵本デビューです。
ダイナミックで繊細。大真面目でユーモラス。
おばさんひとりの「思いつき」から始まったコロッケ作戦が、
どんどん村じゅうの人を巻き込んで盛り上がっていく様子が、
のんびりと、力強く、そしてかわいらしく描かれています。
「村じゅうの人」ということで、とてもたくさんの人を
描いていただかねばならず、とても大変だったと思うのですが、
素晴らしいのは、ただ「おおぜいいる」だけではないこと。
おじいさんおばあさんがいて、お父さんお母さんがいて、
子どもたちがいて、この子はあの子と仲良しで、
あっちのお母さんとこっちのお母さんは姉妹だったりする。
農業の人、工場づとめの人、八百屋さん、肉屋さん、先生と、
ひとりひとり、職業もいろいろ。 個性もいろいろ。
そんな「雰囲気」をていねいに描いてくださった。
そして、みんなの表情がとってもいいのです。
見ていると、だんだん幸せな気持ちになってきます。
絵の見どころはなかなか語りつくせませんが、
前後見返しやカバー袖も、ぜひお見逃しなく。
(いもねえちゃん着せ替え人形ほしいわ~)
揚げ物の中でも、コロッケはけっこう手間も時間もかかり、
ちゃんと作るとほんとに美味しいのですが、
失敗すると悲惨なことになっちゃうし(なったことある)、
忙しい人や小さい子どものいる人はなかなか手作りできないもの。
この絵本を見た子どもたちに「コロッケつくってー!」
とせがまれて困ったときは、冷凍を揚げるだけでもいいけど、
最近はやりのスコップコロッケなど、いかがでしょうか?
Amazonの画像は色がいまいちですが…
実物はもっと明るい色で、こんがり美味しそうに揚がってます!
<追記>
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