閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

「ならんでる ならんでる」

2014-03-24 09:06:01 | お知らせ(新刊)


絵本の新刊です。

「ならんでる ならんでる」
竹下文子・作 鈴木まもる・絵 偕成社 2014年3月刊


これはもう、タイトルそのまんま、あひるの子が並んでいたり・・

 

人間の子が並んでいたりする絵本です。

 


小さい頃、たぶん小学校にあがる前ですが、
「おさるの買い物」という遊びがありました。
ひとりがリーダーになり、他の子が一列に並んであとについて、
リーダーのするとおり真似をしながら、葉っぱを摘んだり、
小石を拾ったりしてくるのです。

単純ですが、前の子をよく見ていないとできない遊びです。
リーダーのほうも、みんながちゃんとついて来られるように、
飽きないように、工夫と気配りが欠かせません。

『ならんでる ならんでる』という絵本を思いついたのは、
その遊びが楽しかったのを覚えているからです。

並ぶって、なんだろう。
縦に並ぶ。横に並ぶ。ひとりでは並べない。ふたり、三人、四人…
「並びなさい!」と言われてしかたなく並ぶ?
そうとは限りませんよね。
おはじきを並べる。ミニカーを並べる。あひるの行列はかわいい。
並ぶこと、並べることには、幼い子をひきつける根源的な「何か」があると思います。

春に、初めて集団生活を経験する子どもたちは、
前を見て、後ろを見て、横を見て、自分の位置を知り、他人との距離を知り、
少しずつルールを覚え、ふるまい方を身につけていきます。
それは、あひるの子にも、人の子にも、同じように大事なこと、
自然なこと、そしてうれしいこと、ではないでしょうか。

(以上、プレスリリースの「著者メッセージ」)


 

 

以下、おまけ(舞台裏)。

じつは、最初は
「富士山の絵本をつくりませんか」
というお話をいただいたのでした。
それがどうしてこうなったかというと・・

あいにく、わたしは、地学にも地理にも詳しくない。
第一、うちから富士山はまったく見えない。
取材のために登る・・のは絶対無理!

といって、素早くお断りする気でいたのですが、たまたまそのとき、
いろんなカワイイものが並んでいる絵本をつくりたかったのです。
でも、並んでいるだけで、ぴたっとくるオチがまだできていなかった。
そしたらMが、「並んで富士山に登って、最後はご来光を見る!」と
ものすごく強引にまとめちゃった(・・笑)

で、その線で考え始めると、子どもに富士登山はハードすぎるだろうとか、
草木もなくて景色がつまらないとか、そもそもご来光を見るなら
深夜から登らなきゃ、とかとか、具体的な問題がいっぱい出てくるわけです。
じゃあもっと小さいお山でいいか? となって、「お山のてっぺん」から
逆算するかたちで、いろんなことが決まっていきました。

途中からテーマがはっきり見えてきたため、
じゃあ扉には何が並んでいたらいいかとか、
表紙のふちどりはファブリックで、タイトルは色画用紙っぽくとか、
イメージを絞っていくことができました。

こういうのを、「ヒョウタンからコマ絵本」といいます。
ラストに「富士山っぽいもの」が描いてあるのは、そのなごりです。

 

このあたりも「ならぶ」に関連する記事かも。

 

 

イタリアのボローニャで開催される児童書フェアの
偕成社のカタログの表紙にも使っていただきました♪

 

ならんでるならんでる
竹下文子・作 鈴木まもる・絵
偕成社 2014年

 

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