閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

八重垣姫

2014-01-29 09:58:52 | 日々

またまたわけあって古本をあさっているうちに、
またまた関係ないところに目がとまる。
アンデルセン作「魔法破」(まほうやぶり)という本。
明治40年の出版。

はて、アンデルセンにそんな話あったっけ?と
しばらくじーっと見ているうちに、これはどうやら
「旅の道づれ」という話だなとわかりました。
若者が冒険に出かけ、無理難題を解決してお姫様と結婚するという・・
アンデルセンの中では初期の民話色の濃い物語。
訳者は雨谷石燕という人。鳥山石燕とは関係ないです。

主人公の「ヨハンネス」が「ジョン」になっているので、
もしかしたら英語版から訳されたのかもしれない。
「洗礼を受けた教会」が「度々説法を聞きに来た寺」になるなど、
いかにも明治時代らしい翻訳(と挿絵)が楽しいのですが、
閑猫が手を叩いて喜んだのは以下のくだり。
(一部文字を読みやすいように直してあります)


その旅籠屋の十五畳もあらうといふ広間に大勢の客が寄り集って、
これから人形芝居が始る処だといふのでジョンもその連れと二人で
ソコソコ夕飯を仕舞って大勢の中へ割込んで見て居ると、
やがて怪し気なボコンボコンといふ三味線の音がして
口上によると本朝廿四孝十種香の段といふので、
幕が開くと程なく八重垣姫も出れば勝頼さんも出て来る……


うわわ、畳か? 三味線に八重垣姫? 勝頼さんて誰?
ココハドコ??

現代とくらべて一文がずいぶん長いですが、これは講談のスタイルなのか、
合間に「ぱぱんぱん!」と張り扇の音が入りそう。
物語というのは、書いて字の如く、物を語るのだな、と
あらためて思ったことでした。

しかし、ジョン君、よくそんなお姫様を嫁にもらう気になるよね。
ということを含めて、もともと突っ込みどころの多すぎる話ではありますが。
全部読んでみたい方は、
国立国会図書館の「近代デジタルライブラリー」へどうぞ。

http://kindai.ndl.go.jp/


 

本日の「いいね!」

佐賀のおみやげの土鈴。
食堂のおばさんっぽい馬と、覆面レスラーみたいな鶏さん。

 

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しゃりしゃり・その2

2014-01-28 00:13:26 | 日々


ふたたび霜の朝。
野菜畑にすわりこんでいたので足が冷たい冷たい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「プライドと偏見」というイギリス映画を観たら、
とつぜんピアノ弾きたくなり、楽譜を注文してしまいました。
え? 弾けるの? という現実的なことは置いといて。
(がんばればキーラ・ナイトレイくらいには弾けそうな気がしたらしい・・笑)

お正月に、某駅のカフェでお正月用の筝曲のBGMを聴いて
たちまち「お琴弾きたいっ!」と言った閑猫は、何年か前には
坂本竜馬のドラマを見て「三味線習いたい」と言ったこともある。
弾けそうな気がしちゃうところがおそろしい。
しかし、考えてみたら、和楽器は、どれもだめなのでした。
わたくし、正座が苦手なので。

 

本日の「いいね!」

 特集・猫と赤ちゃん (動画)

ウチも昔こんなでした。
一度くらいはひっかかれたっけね?



子守りが得意だった三毛猫あんず。

 

 

みゆきさん。メッセージありがとうございました。
はい、すこしブログお休みしましたが、
またいつもの調子で書いていこうと思います。

 

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光る音と、言葉(Reprise)

2014-01-25 23:10:51 | 木苺通信

 

思い出は、どんな小さなかけらも拾いあつめ、
きちんと重ねて蓋の内側にしまっておく。
楽しいものは上のほうに、悲しいものは下に。
それはみんな、やがてひとつに溶けあって、
ピアノの音を美しくしてくれるものたちだ。

「秋のソナタ」(「木苺通信」より)

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音夢鈴さんのこと

2014-01-25 12:14:51 | 日々

 

昨年秋に、猫の茶々姫ことチャケを見送りました。
12歳。まだ高齢という年ではありませんでした。
点滴での延命は選ばず、自宅で看取りました。
闘病中のお友達がいたので、お知らせすることを控え、
元気なときの写真をのせ、何事もなかったようにしてきましたが、
先週、そのお友達の訃報がとどきました。

ピアノ弾きの音夢鈴(ねむりん)さん。
出会ったのは、18年前。
当時小学生だったお嬢さんの「サンタさんへの手紙」を
送って下さったのがきっかけでした。

<親愛なるサンタさんへ。黒ねこサンゴロウの続きをください>

その手紙が背中を押してくれなかったら、「サンゴロウの続き」つまり
「ドルフィン・エクスプレス」シリーズは世に出なかったかもしれません。
(サンタさんには6年間も待ってもらいましたが!)

お手紙のやりとりから、ブログ、メールに移り、
「猫友さん」としても、楽しいおつきあいをさせていただきました。
お忙しい方なのに、いつもいつも、打てば響くように返信をくださって・・

面白いものをみつけては「みてみて!」と子どものようにはしゃいだり、
興味をもったらとことん調べたい性格もどこか似ていて、
リンクをどっさり貼ったスクラップ帳のような長文メールが
昼夜をとわず行ったり来たりすることもたびたびでした。

ミュージカル「野原のワルツ」「君のいた夏」の上演。
わたしの詞に曲をつけてくださったこと。
ピアノやハープで弾き語りをしてくださったこと。
音楽だけでなく、演劇や伝統芸能、いろんな分野にお詳しくて、
教えていただいたことがたくさんあります。

音夢鈴さんが愛情をこめて「ヴォルフィー」と呼んでいた
少年時代のモーツァルトの話、絵本にしませんかとお誘いして、
年明けから本格的に動き出そうとしていたところでした。
「ちいさなおはなしやさんのおはなし」も音楽物語にしたいと・・
黒ねこサンゴロウの20周年記念のことも・・
楽しみなつぼみがいくつもふくらみかけていた矢先。

才能と、情熱と、行動力と、あたたかい心の持ち主、
かけがえのないお友達を、こんなに早く失うことになるなんて。
月を見ても、雲を見ても、思い出します。
何事もなかったように、ひょっこりメールが来たり、しそうです。
ああ、これ書いたら音夢鈴さん喜びそう・・と思い、
そうか、喜んでくれる音夢鈴さんはもういないんだ・・と思うと、
ほんとうに悲しくて、残念でなりません。

音夢鈴さん、これまで、たくさん、ありがとう。
「ジュエルの満月」を見届けてから旅立たれたのですね。
いつか再会できたら、また「おはなし」と「おうた」で遊びましょう。

(どこかそのあたりで、コーヒーデニッシュ色のグルメな猫が
退屈そうにしていたら、ちょいとかまってやってくださいね!)

 


これまでに閑猫堂でご紹介しました動画を
ここにまとめておきます。



「クリスマスのかね」2009.12.25  


「おてつだいねこのこもりうた」2012.4.22 


「おてつだいねこのこもりうた・あくびバージョン」2012.11.10


「クリスマスのかね・トイピアノバージョン」 「ジュエルソング」2012.12.24

 

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しゃりしゃり

2014-01-17 18:13:02 | 日々


朝、9時頃になっても、外はまだ霜で白い。
縁側に置きっぱなしの温度計を見たら、
マイナス8度くらいになっていた。
いや、でも、池の水だって凍っていないし、
そんなに低いことはないと思うのですが?
去年の夏に、わざと日なたに出して50度にしたりして遊んだので、
壊れたかもしれないな、温度計。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまり行かない午後の時間帯に美容院に行ったら、
ドライヤーの熱風の中で(たぶん十数秒間)眠ってしまい、
終わって家に帰って居間の椅子に座っている夢を見た。
あれ? なんか変だ、ここにいていいんだっけ? 
と思ったとたん目が覚めた。
家にいる感じがものすごくリアルだったので、
まるで鏡を抜けて瞬間移動をしたようだった。

そういえば、最近、めったに夢というものを見ない。
見ているのかもしれないけれど、夢と夢の中間で起きるらしく、
夢を見たという感覚がまったく残らない。
これはトクなのだろうか、ソンなのだろうか。
わたしの場合、1時に眠り、7時半に起きると、このサイクルになる。
夢の中では、たいてい遅刻しそうだったり、迷っていたり、
探しているものが見つからなくて困っていたりする。
バックグラウンドでは常にそういうことが行われているようだ。
夢の自分があたふたおろおろ駆け回りながら
不要なデータの整理を引き受けてくれているおかげで、
現実の自分はのんびり平静を保っていられる、のかもしれない。
ありがたいことです。

 

センリョウ・・と思っていたら、少し違う。
実のつきかたが違うし、葉もセンリョウよりずっと細長い。
カラタチバナ、というのかな。
知らないうちに庭に生えていて、まわりに小さいのも何本かあった。

 

本日のにゃんこ。

マドリ(中央)がさんちゃん(左)とくっついているのが珍しい。
さんちゃんが熟睡していなければ絶対不可能な組み合わせ。


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あわゆき

2014-01-15 21:34:39 | 日々


すこしだけ、すこしだけ雪が舞う。
落ちるはしから溶けていく。

 

いまさらですが、木の枝って、いっぱいあるなあ・・と。
「枝葉末節」というけれど、その枝葉がなくては
光合成だってできないではないか。

 

いつのまにか観葉植物のような顔で、庭の一隅に
しっかり場所を占めてしまったハナミョウガ。

 

 

ヨモギの種。

 

 

このあいだから、ひとつ、ふたつ、もいではかじり、
かじっては首かしげ、収穫のタイミングをはかっていた。
そろそろいいかな。キンカンマーマレード作ろうかな。


 

スイカズラの実と・・

 

 

 

ジャノヒゲの実。

 

 

 

「前太平記」という妙な本を読む。
書かれたのは江戸時代の初期、作者は不詳。
当時、「太平記」が庶民の間で人気が高かったため、
その形式を真似てあとから書かれたもの、らしい。
一見もっともらしい軍記物になっているけれど、
たびたび中国故事を引用するスタイルはたしかに近世っぽいし、
ヒーローをよりヒーローらしくするために、いろいろと
「都合よく、おおげさに、面白く」脚色してあることは想像がつく。
それを「今は昔」とぼかして書いておけばいいものを、
「永延二年六月」などと必要以上に具体的に書くものだから、
「俗史」「偽史書」と決めつけられ、一段低い扱いになってしまった。
なるほど、それで古典文学全集の棚に並んでいなかったのですね。

わたしは歴史研究家ではないので、史実かどうかは気にしない。
そこが問題になるなら、SFもファンタジーもすべて禁書になってしまう。
読んでいると、お江戸の人々の好みがわかって興味深い。
勇敢で、強くて、賢くて、情も厚い武将が、忠実な家来たちを率いて、
悪い奴をやっつける。とてもわかりやすい。
鬼とか竜とか怨霊とかもほどよく出てくる。
稲生の平太郎君も、こういう本をコッソリ読んでいたかもしれない。
読んでたよね?
(って、結局そこへ戻ってくるのか?)


本日の鳥さん

最近、上を向くと、よくトビと目が合うのです。
あきらかにヒトを見ている。
なんかくれそう、と思われてるのかも。
あげませんから。

 

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つかまえた

2014-01-13 16:02:49 | 日々


もみじの枝先で白いものがひらひらするので見にいったら、
テイカカズラの種がひっかかっていました。

 

だーかーらーその手を放してっ!

(掴まっているのか、捕まえられているのか?
救助に行くには高すぎる場所だなあ)


 

頭の上で、ヤマガラが4羽、見物しています。
全員、少しずつ違う高さの枝にとまっている。

 

 

テイカカズラの本体はこちら。
栗の木に這いのぼっているところ。
常緑なので、冬のほうがみつけやすい。

 

 

 

ロウバイが咲きました。

 

 

 

アシタバも種に。

 

ニンジンの種を大きくひらたくしたような感じかな。
鹿が立ち入れない場所にアシタバをふやすのが今年の目標。

 

昨年に引き続き、ごそごそと古典を読んでいる。
なぜ「ごそごそ」かというと、いまいち確信が持てないからだ。
なぜ確信がもてないかというと、文献がだんだん少なくなってきて、
ついに「注釈のついてない17世紀の文章」を読む羽目になったから。
これでも活字本になっているだけましですが。
(謡曲の本なんて、まったく判読不能でしたから!)
平安京の地図を子細に眺め、あーでもないこーでもないと頭をひねる。
まだパズルのピースが足りない。

わけあって、別件でフランス語も読んでいる。
30年前の仏和辞典がいまごろになって役に立とうとは。
(ていうか、ほんとに読めるんですかい?)
ラクダは何といって鳴くかを、動画検索で調べる。
うーむ・・筆舌に尽くしがたい、とはこのことなり。
「ヒヒーン」とか「モオー」とか、わかりやすく鳴けないものか。

 

 

本日の「?」

畑の土を掘ったら出てきた白い骨・・のようなもの。

 

もしや恐竜の歯の化石では!?と、わくわく拾ってきましたが、
「カニの爪だね」と言われ、しょんぼり。
(でも、捨てがたく、とってある。こんど誰かをだまそう)

うちの畑からは、アサリやトコブシ等の貝殻もよく出土する。
これは、もちろん、台所のごみを堆肥にしているからで、
(そうでないと、週2回、車に積んで捨てに行かねばならない)
有機物は早く分解するが、貝殻は長く残るため、
年数がたつにつれて、地中の貝殻率がしだいに上がり、
いまやちょっとした「貝塚」になりつつあるのでした。

 

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ジャック・フロスト

2014-01-11 14:47:05 | 日々


寒い朝。
地面はざっくざっくの霜柱。

 

日があたった場所から次々に溶けて、柱が傾いていく。
溶け始めの、表面がなめらかになったところが最も美しい。

 

 

 

 

霜のジャックは菓子職人
得意はもちろんリーフパイ♪

 

 

 

 

 

 

キャベツの葉にたまった大きい水玉がそのまま凍っている。
放射状にこまかい気泡が入っている。

 

大きなガラスのおはじきのようですね。

 

 

これもみるみる溶けていく。
水玉に氷が浮いた状態で、ゆらゆらしています。

 

 

落ちるかなあ。落ちないかなあ。

 

 

こんな形のもありました。

 

さて、久々に、地元不動産屋の面白物件。
広告より抜粋。


2DK一戸建
ホッカホカの温泉付
浴室は改装してまるで旅館のよう

(ライオンの頭がついてたりするのかな?)


3LDKサンルーム付一戸建
手作り感あふれる建物
南向日当良・海チラ

(「海チラ」・・笑)


貸家 5万円
3LDK二階建
駐車無理すれば2台可
ペット可(牛・馬は不可)

人を楽しませようと思って書いてるとしか思えないこのコピー。
雪の降らない地域の田舎物件をお探しの方はぜひどうぞ~。

  

tomさんへ。
メッセージありがとうございます!
「四合」の記事に追記として掲載させていただきました。

 

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四合

2014-01-09 23:14:20 | 日々


アスパラ菜の花。

 

拾った羽。
長さ約140ミリ。というのは、ボールペンくらいの長さ。
左右非対称なのは、翼の羽だから。
小鳥にしては大きいし、軸も太くしっかりしている。
ここが都会ならハトかと思うところだけれど、そうではない。
黒く写っているけれど、カラスでもない。
(カラスはこういうのです)


 

光があたるとグレイがかった褐色に見える。
ノスリ、とか?

 

もうひとつ拾った羽。
長さ約25ミリ。
ヒヨドリ、アカハラ、シロハラ・・
たぶんそれくらいのサイズの小鳥。
それ以上はちょっと絞り込めません。

 

これは羽ではなくて、テイカカズラの種。
今回は落ちたばかりで、とてもきれいだった。

 

真横から見たところ。

 

 

 

『考証要集』(大森洋平 文春文庫)という本を読む。
なんとなく小難しい古典のようなタイトルですが、
「秘伝!NHK時代考証資料」というサブタイトルの通り、
NHKでドラマの時代考証を担当するディレクターさんが
書かれたもの。
これが、めっぽう面白い。

なにしろ、歴史大河ドラマなどで、うっかりしたことをやると、
すぐに視聴者からクレームが来るらしい。
だから、ちゃんとそのための専門部署があり、台本を徹底的に検討し、
各分野の専門家に問合せ、役者のせりふから、立居振舞い、
大道具小道具、ロケ地の背景に至るまでこまかくチェックしていく。
しかし、作りたいのはあくまでもドラマ、フィクションであって、
「再現映像」とは異なるもの。
だから、おはなしとして面白く、歴史的にも間違ってない、という
微妙なバランスのとり方が要求されるわけで・・
それはもう、想像しただけでも大変そうなお仕事で、ため息が出ます。
が、一方、それによって得られた膨大かつ貴重な知識が
そこには山のように蓄積されている、ということで、
それはまたちょっとうらやましくてため息が出そう。

さて、クイズです。
次のうち、江戸時代劇に出してはいけないものはどれでしょう?
1 鍋焼きうどん
2 栗饅頭
3 あんみつ
(というのが、この本の帯のキャッチコピー)

進駐軍が子どもに配ったお菓子は、
ガムならリグレイ、チョコならハーシーだとか、
人力車は空で引くより客を乗せて引くほうが楽だとか、
お江戸の長屋の懇親会で「鍋をつつく」ことはありえないとか、
ローマ古典的な姑の毒殺法とか(・・笑)
まあ、知ると面白いけれど、知らなくてもまったく
困らないようなことがぎっしり書いてあるんですけども、
その中で、あ!と思ったことが、ひとつ。

<容積の「四合」を、昔は「よんごう」ではなく「しごう」と読んだ>

宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節・・
「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」
動画サイトでいくつか朗読を聞いてみましたが、
渡辺謙さんをはじめ、みなさん「よんごう」と読んでおられます。
学校でもそう教えるだろうし、わたしもそう読んできました。
でも、以前から、読むたびに何かひっかかるものがあったのです。
よんごう、で、いいのかな、と。
それは、四合って、多いよね?ということじゃなくて、
(いや、それはまた別の問題として)
リズムが違う・・
かたく踏み固められた農道をざくざく歩いてきて、
そこだけもぐらが掘ったように地面が柔らかくなっており、
一歩ぶん、歩調が乱れる、というような、ごく小さな違和感。

「いちにちに げんまいしごうと みそと すこしのやさいをたべ」

こう読んでみると、道がぴしっと平らになる気が・・しませんか?
賢治自身が、実際にどう読み、どう読ませたかったのか、
録音もなければ振り仮名もないので、今となってはわかりませんが・・。
(たぶん、現代では、「しごう」と聴いて「四合」と理解する人は
少ないでしょうしね・・)

忠臣蔵の「四十七士」も「よんじゅうしちし」と読んでしまうと
いまいち緊張感がなく、クラス会か?みたいになってしまう。
日本語ってむつかしい。
新年早々、いろいろと目からウロコの閑猫。

(あ、「目からウロコが落ちる」って、出典は新約聖書なので
時代劇に使うのはNGだそうです)


<1月11日追記> 

「四合」について、tomさんからメッセージをいただきました。

>四合(シゴウ)ですが、私は酒飲みなので違和感ありません。
>日本酒の720mlの瓶のことを四合瓶(シゴウビン)と読みますので。

なるほど、なるほど!
現在もちゃんと生きている言葉なのですね。
tomさんは福島にお住まいの方で、岩手の賢治も「シゴウ」と
読ませるつもりだったのではないかと推察して下さいました。

ちなみに、『考証要集』によれば、「四斗樽」は「よんとだる」と読む。
これは「しと」の音を嫌ったためではないか、とのこと。

 

Mが新しい絵本を描くため、大きい画用紙をパネルに水張りして
アトリエ内のあっちこっちに置いて乾かしている。
その上に落ちた影が不思議でキレイだったので。

 

標準的な15場面(32ページ)の絵本だと、
表紙、とびら、裏表紙も含め、最低18枚のパネルが必要になります。

 

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七草

2014-01-07 22:35:46 | 日々

さて、七草。
わが家ではお粥は炊かないので、
すずな(かぶ)、すずしろ(大根)を抜いてきまして、
大根の炊き込みご飯に、大根の葉をいろどりに入れて、
かぶはお味噌汁か、あるいは煮びたしか、即席漬けか・・
というのがいつものパターン。
残りは、カメラを持って「摘みに」行きましょう。
ということで・・

 

まず、はこべら(ハコベ)。
これは、探さなくても、どこにでも、いくらでも、ほとんど年じゅうある。
真冬でも畑のハコベはみずみずしく柔らかい。
食べてもいいけれど、ちょっと普通の雑草すぎて・・
積極的に食べたいような味でもないので、パス。

次、なずな。
この時期はまだ地面にはりついたロゼットで、
見ればたぶんわかるはず。
・・と思ったら、これが、ちっとも見つからず。
わが家の周囲では、ナズナは、近年とても少なくなった。
地面をおおっているのは、おもにハルジオンのロゼット。
その他、ヒメジョオン、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、
オオマツヨイグサ・・なんと、目につく草のほとんどが
江戸時代以降に入ってきた外来植物ではないですか。
古代の日本の「春の野」って、どんな眺めだったんだろう。

せりも・・ありそうで、ない。
一見セリっぽい植物は生えているけれど、香りが全然ないので、
たぶん違う(ヤブニンジン?)と思う。
セリやナズナが生えるには、ここは山林すぎるのかもしれない。

ほとけのざ(コオニタビラコ)は、あるにはある。
道のすみにへばりついていて、食材のイメージからは遠いんですが・・

こーんな感じ、ですね。
キク科の植物に毒草はほとんどないはずなので、
あとは「味」の問題だけ。
タビラコはタンポポより苦みがなく、香りもきつくなくて食べやすい。
と思います。(←とりあえず味見した人)

 

これは「春の七草」ではないほうのホトケノザ。
有毒という説もあるけれど、そうでないという説もある。
たとえ間違ってお粥に入れちゃっても生命に別条はないと思う。
生葉を噛むと、意外なことにほのかな甘みさえ感じる。
(その点では、同じシソ科の赤紫蘇などのほうがはるかに不味い)
ただし、ざらついて舌触りは良くないので、やめといたほうが無難かと。

 

おぎょう(ハハコグサ)は、白っぽい葉なので、遠目にもわかりやすい。
繊維質なので、お粥に入れるにはよほど叩いて刻まないと
食べにくいのではないかしら。

以上、閑猫の「道草摘み」でした。
 

 

 

遅くまで咲いていたヒメジョオンが種になっていた。

 

 

まんまるい小さい綿毛が可愛いです。

 

あ、鳥の羽みつけ!
このグレイのふわっふわは、ヒヨドリかな。

 

 

これも種。ヒメムカシヨモギ? オオアレチノギク?

 

 

ノコンギク。綿毛が散ったあとの萼が
きれいなドライフラワーになっている。

 

 

アジサイの芽が面白い顔をしていました。

 

 

お正月に泊まったホテルで、朝なんとなくTVをつけたら、
ちょうどNHKスペシャル「遷宮」の2回目をやっていた。
家にいたら、この時間帯にTVをつけることはまずないから、
番組の存在も知らないままだっただろう。
面白かったので、帰ってから、1回目と合わせてオンデマンドで見直した。

NHKには受信料を払っているのに、ここでまた料金をとられるのは
なんだかなあと思うけれど、良く考えたらこのほうが正しい。
お金を出しても見たいような番組だけを選んで見ればいいのだ。
きちんとしたドキュメンタリーの作り方はさすがNHKで、
取材に時間をかけ、ふつうは入れないところにまでカメラが入る。
余計なゲストのトークなどが入らないのもじつに気持ちが良い。

伊勢神宮と、出雲大社。アマテラスと、オオクニヌシ。
祟るということ。祀るということ。鎮めるということ。
(あ、それから「鏡」の意味も!)
これまであいまいだった基礎の部分がすっきりとわかり、
藤原京から平安京、そこから現代まで続く一本の道筋が見えた気がした。

(しかし、日本の「神社」というものの概念や成り立ちや役割を、
ちゃんとわかっている日本の人はどれくらいいるんだろう。
少なくともわたしは学校で習わなかったし、親にも教わった記憶がない。
まして外国の人にわかりやすく説明するのは非常に難しいのでは・・)

 

本日のにゃんこ。

また、ひっくりかえっていらっしゃる。

背中はサバトラだけど、茶色も入っているので、
性格はかなり三毛っぽいすもも嬢さん。
(前にいた三毛が「あんず」だったので「すもも」と命名したのです)
御年15歳。
「小粒フード」と、「お給仕」と、「添い寝」が欠かせない。
わたしが出かける支度をしていると、たちまち察して
「やあお! やあお!」と不満の声をあげてつきまとう。
このごろは前日にカバンを出しただけで察知してしまい、
ふくれっつらでじいいいっとにらんでいる。
留守をするとき、置き餌のできないにゃんこは困る。
はいはい、ばあやは、しばらくどこにも行きませんから。
(明け方に頭をひっかくのはやめていただきたいです)



 

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