閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

公車來了

2008-03-30 14:05:13 | お知らせ(海外版)

絵本「ピン・ポン・バス」(1996 偕成社刊)の台湾版。
バスは「公車」というんですね。
(ちなみに「小汽車」というのが普通乗用車で、
「水泥攪拌車」はコンクリミキサー車のことらしい)

このごろ台湾版(中国語)になる本が多いのですが、
これはその中でもとびきり楽しめた1冊。
なにしろ、この絵本は、絵の中に手書き文字が多いのです。
それを例によって丹念に「翻訳」してくれている。

たとえば、バスを前から見たところ。
「ワンマン」は「単人服務」に。
「前のり」は「前門上車」に。
横から見ると「非常口」が「安全門」に。
そういう調子で、ほんのちっちゃな看板とか
広告の文字まで、ひとつ残らず書き換えてあります。
こだわりの職人芸です。楽しいです。

パソにない漢字が多いため、ここで紹介できなくて残念。
もしも台湾に行かれる機会があったら、
ぜひ書店でごらんください。


ところで、
日本語版のほうの「ピン・ポン・バス」ですが、
9ページの文章に「じてんしゃ。オートバイ」とあるのに、
絵には自転車とオートバイが描かれていません。
読むたびにお子さんに「じてんしゃ、どこ?」と言われて
困るお母さんがいらっしゃるそうです。
大変もうしわけありません。
画家は「バスの向こう側に描いた」と言っておりますので、
そのつもりでよーく見ていただけるとうれしいです。

 

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カレイドスコープ

2008-03-28 11:17:23 | お知らせ(いろいろ)

連載「青い羊の丘」#8。
ニュータイプ・ロマンス春号です。

万華鏡って…大好きですけど、長く見ていると酔います。
それに、こうして文字で書くのは簡単ですが、
それを絵に描いてください、っていうのは、
ものすごーく難しい注文ではないでしょうか。
毎回、素敵な絵をありがとうございます、あづみさん。
そして引き続きガンバレ編集Gさん。

ところで、
この連載のジャンルは「びぃえる」ではございません。
ってねえ、わざわざ言うのも変ですが、いちおう念のため…。

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ダッシュボード犬

2008-03-25 09:25:07 | 日々

ホームセンターのペット売り場に子犬と子猫がいる。
いつもは売っていなくて、今週だけの特別セールらしい。
何も買う気はないので(もう定員いっぱいですから!)
気楽にゆっくり眺める。
いちばん可愛い盛りの年頃だから、可愛いことこの上ない。
黒ラブの子犬なんか、さんちゃんのようだ。
ああもうみんな連れて帰りたくなっちゃうねえ、
と思わず呟くと、店員さんが笑っている。
まるでおばあさんのようなせりふだったと、あとで思う。


すれちがった軽自動車に犬が乗っていました。
運転席のハンドルの前、フロントガラスの内側に寝そべって。
それもチワワやミニダックスの類ではありません。
ころころした茶色の「しばわんこ」!

自分の家の犬はもういませんが、
よその犬を見るのは好きです。
助手席の窓から耳をひらひらさせている犬や、
駐車場で不安げに飼い主を待っている犬。
みんなけなげで可愛い。
しかしダッシュボードの上に乗っている犬は初めて見た。
いかにも指定席という感じでくつろいでいましたが、
運転する人は前が見にくくないんだろうか。

後部座席に犬を乗せて運転したことが一度だけあります。
よごれないようにとビニールシートを敷いたところ、
がさごそ音がするのが怖いらしく、なかなか座ってくれない。
しかも乗り慣れていないので、信号などで停止するたびに
「慣性の法則」にしたがって前へすべり落ちる。
落ちたら落ちたままでいればいいものを、
ジタバタ大あわてではいあがるので、当然また落ちる。

いったいなんで犬とわたしが車で出かけるはめになったのか、
そのへんの詳しいいきさつは忘れてしまったのですが、
カーブの多い道で、前を見つつ、後ろの犬を気にしつつ、
できるだけブレーキ踏まないように踏まないようにと…。

そうか、助手席に乗せたほうがよかったのか。
でも、運転中に顔をなめられたら危険だと思ったのよ。
もちろん、一度でこりました。
あれ以来、犬とドライブはしたことがありません。

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アンジェラはどこ?

2008-03-22 14:41:38 | 日々

だいぶ前に、ペンネームを使おうかどうしようかと
思案している話をここで書いたんですけど、
その後どうなったかを書いていませんでした。
つまり「おすしのせかいりょこう」がその絵本だったわけです。
うーん、やっぱりペンネームでもよかったかなー
(と、あきらめ悪くまだ言ってる)。

お寿司といえば、このまえTVで観た「キャットウーマン」、
猫化したハル・ベリーがお寿司の上のネタだけを
ぺろぺろぺろっと素早く食べていくシーンが可愛かった!
ホワイトロシアのウォッカ抜きカルーア抜き氷抜き
(つまり生クリームだけ)っていうのも!


きょうは暖かかった。
紫もくれんのつぼみが一斉にほどけてしまいました。
あらあら、もうそんなに咲いちゃっていいの?というくらい。
Mはきょうは上野動物園でワークショップをやってたのですが、
もうむちゃくちゃな人出ですごかったと言ってました。


わたしはようやくお仕事モードになりかけてきたと思ったら、
また妙な絵本のアイデアばかり思いつきます。
Rさんちから来た「カフェでサッカー中継を見たり
路上でチェスをしたりしてさぼっているサルたち」が
頭の中でくるくる。
ようし、こんどこそ「アンジェラ」でいこう。


読んでいる本
「Spook Country」
数センチずつしか進まないのですが、
リバー・フェニックスが出てきたところから、
きゅうに読む気になった模様。
それより「Neuromancer」映画化の噂が気になる。
その話を最初に聞いたのはもう20年くらい前だけど?

 

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ヨモギ・エイリアン

2008-03-20 09:29:00 | 日々

枯れ草の根元に、ヨモギの新芽がびっしり出ている。
まだ小さくて柔らかい。
指につまんでヨモギの香をたしかめ、安心する。

もう10年ちかく前になるかと思うけれど、
ある地方で、ヨモギがすりかわっている、
という話を聞いた。

お団子や草もちにする、おなじみのヨモギ。
見た目はそっくり。
でも摘んでみると香りが違う。
香りというより嫌な匂いで、草もちにできない。
ニセヨモギと呼ばれているそうだ。

誰かが気づき、
「ああ、そういえば」とみんなが気づいたころには、
本物のヨモギをみつけるほうが難しくなっている。
どうやら偽物のほうが繁殖力が強いらしい。
その後の話は聞いていない。
今はどうなっているんだろう。
すりかわっている、という表現がすごい。
まるでSFホラーみたいだ。

有名ブランド品のように、偽物を作って
お金儲けができる、というならまだわかるけれど、
雑草のヨモギの偽物をわざわざ作る人はいないから、
これは植物の世界の現象だ。
日本古来のヨモギが変化したのか、
それとも、香りの違う別種が混入したのか。

植物学者キングドン・ウォードの著書には、
香りの良さで昔から人々に愛されていた花が、
いつからか香りを失ってしまった例があげられている。
だからヨモギが突然変異するということも、
なくはない、と思うけれど…。

別種の混入。可能性はこのほうが高い。
外国から輸入された何かに付着して種がまぎれこむ。
クローバーもヒメムカシヨモギもそうして渡来した。
わたしがひそかに疑っているのは、
近年よく見かける「種子吹付け工法」だ。
斜面や川の土手などの工事をしたあと、
土崩れを防ぐために、芝などの丈夫な植物の種子を
大量に吹付け、あっというまに草を生やしてしまう。
コンクリで固めるより自然は自然だけれど、
その種子の多くが輸入品だという。
ああ、たしかその「すりかわっている」地域では
大規模な高速道路の工事が行われていたような…。

似て非なるヨモギ・エイリアン。
うちの周辺にはまだ来ていないようだ。
でも、気づいたときには、きっともう遅い。

 

(補足)
「ニセヨモギ」のことを聞いたのは2001年のことで、場所は関西地方です。
上の記事の後半はわたしの個人的な推測と感想ですので、
科学的な裏づけはまったくないことをお断りしておきます。
また、その地域では同時期に「アカシアの木」も急にふえたと聞きましたが、
ヨモギとの関連は不明です。
(2009.7.18に追記)

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猫柳

2008-03-18 11:50:14 | 日々

ミモザが満開になったあと、猫柳の花芽が見ごろ。
柳はあちこちにあるけれど「猫」になるのは数本だけ。
一枝もらってきて、一輪挿しにさして眺めている。
どんな植物も新芽は可愛らしいが、猫柳は格別。
銀ねず色のほわほわがなんともいえない。
この段階では、猫にも見えるし、ねずみにも見える。
人差し指の先でそうっとなでる。
あんまりなでると嫌がられそうだ。
やがて枝先から順番にむくむくと花が開き始め、
そうなるとあきらかに「猫のしっぽ」である。

銀白色でなく黒い「黒猫柳」という品種があるそうだ。
くろねこ・やなぎ。
ヤナギという名の黒猫を思い浮かべてみる。
しなやかな細身の若い猫だ。
その妹の名がヨモギ。
ふたりを育てた叔母がエビネ。
親の仇がヤシャブシ。
こういうことを考え始めるとキリがない。

この透明ガラスのごくごくシンプルな一輪挿しが、
もとは醤油入れだった、ということをふと思い出す。
ふたの隙間から漏れやすく、本来の醤油入れとしての
評価はあまり高くなかった。
引退して、第二の人生を送っている。
一輪挿しとしては申しぶんない。
安定感があり、高さも、口の細さもちょうどよい。
探し回ってもなかなかみつからないような一輪挿しだと思う。

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風船たち

2008-03-17 09:21:50 | 日々

畑に出てブロッコリの「三番芽」を摘む。
大きいのはピンポン玉くらい。
小さいのはビー玉くらい。
ぽきぽきと指で折り取っていけば、
すぐにざる一杯になる。
背中に日ざしがあたたかい。
どこかでうぐいすが鳴いている。

冬の出盛りに、ずっしりと充実した立派なのを
収穫したあと、そのまま株をほうっておけば、
この可愛いブロッコリがたくさんたくさん出来る。
さっとゆでて、おしょうゆとかつおぶしをかける。
大きいのを小分けにほぐしたのと、どう違うのかと
聞かれればうまく答えられないけれど、
あきらかに違うのです。
野菜とも野草とも言えるような春のたべもの。

子どもの頃の春休みを思い出す。
れんげを摘んで、つくしを摘んで、
まだ水の冷たい磯ではニイナという巻貝をとった。
春の野の遊びはたのしい。
でも、その天候は変わりやすく、
どこかすうすうと心もとない首筋。
どこにも結ばれていない風船の糸。

いまはまだふらふらと漂っている風船も、
もうじききちんと結ばれて、互いに肩をぶつけあい、
自分の糸をつんつんひっぱりながら暮らし始める。

 

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ミートパイ

2008-03-14 14:54:57 | 日々

春の雨降るホワイトデー。
若旦那は朝からミートパイを焼いて
箱に詰めてお出かけ。

わたしにできないことは星の数ほどありますが、
とりあえず料理関係では「泡立て」と「パイの皮」が駄目。
(むかし、初めて手にしたお菓子の本に、パイは
「夏は氷の上で、冬でも冷たい大理石の上で作る」
と書いてあったので、即座に敬遠することに…)
つまりパイを作りたいと言われても教えられませんので、
フィリングだけ手作りすることにして、
冷凍パイシートというものを買ってきました。
これはまあ、なんと便利なのでしょう。
これならちょいちょいパイを焼いてもいいかな、
という気にさせられるではありませんか。

それにしても、
「スウィーニー・トッド」を観たのでミートパイにした
…って、それはホワイトというよりゴシックの趣じゃないか?

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「おすしのせかいりょこう」

2008-03-12 09:34:48 | お知らせ(新刊)

今年1冊目の新刊です。
「おすしのせかいりょこう」(鈴木まもる絵・金の星社)

回転寿司の絵本です。
そして、すごく絵がきれいです。
画像は →こちら

ええと、中身はタイトルのとおりで、
お寿司たちがぞろぞろと団体旅行に出かけちゃう話。
テーマは「食を通じた異文化コミュニケーション」かな。
うへえ、なんだそりゃ? と思った方は、
その時点ですでに作者の思うツボでございます。

「絵本のつくりかた」のカテゴリでも書きましたが、
わたしはお寿司には特に詳しくありません。
回転寿司の店に入ったことも3回くらいしかないので、
ネタは画家におまかせしました。
でも、回転寿司はどのようにして発明されたか、とか
(ビール工場のベルトコンベアからひらめいたらしい)、
日本の回転寿司の海外進出の現状とか、
いろいろ調べたのが、たいそう面白かったです。

今回初めて知ったことですが、
回転寿司の回転は、右回りでしょうか、左回りでしょうか。
どっちでもいいんじゃないかと思っていたら、
じつは右回り=時計回りが圧倒的に多いんですってね。

日本人には右利きの人の割合が多い。
つまり右手でお箸を持っている。
当然、左手で皿を取る。
そうすると、右から流れてくる皿を左手で受けて取る、
というのが自然な動作なんだそうです。
しかも、手が右利きの人は、目も右利きで、
右方向から来るもののほうが見やすいのだとか。
これ、気分の問題だけじゃなく、
逆回りにすると、食べる数が何パーセントだか減る、
という研究報告まであるらしいのです。

わたしは調べものが好きなので、本を1冊作るたびに、
このような副産物的な雑学知識がどっとふえます。
それだけにとどまらず、
流しそうめんはどっち向きが食べやすいんだろうか?
などと、また新たな疑問がポコポコとわいてくる。
いや、そうめんの絵本は作らないと思うけど。
たぶん。


私信ですが、としえさん、猫柳さちこさん!
お送りしましたのでこの本は買わずにお待ちくださいね。

 

 

おすしのせかいりょこう
竹下文子 文
鈴木まもる 絵
金の星社

 

 

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巣箱

2008-03-09 08:34:18 | 日々

ヤマガラ・シジュウカラ用の巣箱を、
今年もMが6つほど作って、あちこちの木にかけました。
例年よりちょっと遅くなってしまったので、
鳥さんたちは「まだかなあ」と待っていたみたい。
新築ツーバイフォー住宅。好評分譲中。お早めにどうぞ。

去年の古い巣箱は、屋根の部分をはずしてみると、
中に苔がぎっちり詰まってカステラのようです。
ときどきそれが二段重ねになっているのは、
一度巣立ったあとにもう一度巣作りしたからでしょう。

前の苔がたくさん残っていても、それは決して利用せず、
かといって運び出して捨てるわけでもなく、
無視して上から新しい布団を敷いてしまう。
つまり「苔を運び入れる」から「ひなが巣立つ」まで、
すべてひと続きの行動としてプログラムされているので、
途中を変更したり省略したりできない。
「あ、このお布団、もったいないから使っちゃおう。
そのほうが手間もはぶけてラクよね」
なんてことは考えないのが鳥です。


「あのジャコウネズミの家を見てごらん。
あいつらはあんな家を作らなけりゃならないんだよ。
いままでもずうっとそうやってきたんだし、
これからだってきっと同じことさ。
あんな家しかつくれないんだよ。
ところが人間はいろんな家を建てるのさ。
じぶんで建てたいと思えば、どんな家でも作れるんだ。
だから、もし、じぶんの家で雨風がしのげなければ、
そりゃ、じぶんの責任さ。
人は自由を持っているうえに、独立しているんだ」
(ワイルダー『長い冬』鈴木哲子訳)

「自由と独立」の精神をじつにわかりやすく
教えてくれるローラの父さんの言葉。

 

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