弁理士の日々

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維新の会はメルトダウンするのか

2012-12-02 22:20:02 | 歴史・社会
11月24日に「安倍さんの政策は?維新の会の政策は?」で書いたように、太陽の党と合流した後の維新の会の進む方向がよく見えませんでした。以前は古賀茂明氏が維新の会の様子をレポートしていたのですが、それが最近はばったり古賀氏の発信がなくなっていたのです。

11月29日、日本維新の会は政権公約「骨太2013-2016」を発表したようです。本文4ページと、そのあとの〈政策実例〉6ページから構成されるようです。維新の会のホームページで現物を確認しようとしたのですが、まだ確認できていません。
一方、11月30日に古賀茂明氏のメールマガジンが届きました。
メールマガジンの記事によると、維新の会はひどいことになっているようです。

今までの維新の会は、ブレーンとして堺屋太一氏、原英司氏、高橋洋一氏、古賀茂明氏が入り、日本を大きく改革する方向で政策が立案されているものと思っていました。
ところが、太陽の党を吸収したとたんに、維新の会の母屋は旧たちあがれの守旧派霞が関派に乗っ取られてしまったようです。

まず、太陽の党との合流に遡る今年8月、維新とみんなの党との合流が破断になった件です。あのとき、自民党守旧派と霞が関官僚は一体となって、維新にささやき作戦を行ったと言います。「維新が将来政権をとるなら自民と組むのだろうが、それならみんなとの連携は止めたほうがよい」と維新のメンバーに様々なルートで働きかけたようです。
そこで維新側は、一方的にみんなが飲めないような高いハードルを示して、みんなの側から断らせようとしたという見方が有力だそうです。
その後、江田憲司みんな幹事長と松井一郎維新幹事長らの努力もあってようやく政策合意にこぎつけ、選挙協力もバッティングする選挙区があと2、3というところまでこぎつけたところで太陽との合流劇が起きたのです。

維新と合流した太陽の党(旧たちあがれ日本)のメンバーを見ると、平沼赳夫氏は郵政民営化反対に命を賭けた議員ですし、片山虎之助氏は原英司氏を恫喝したことのある議員、園田博之氏も官僚に近く、古い自民党の代表みたいな人達ばかりです。消費税、TPPや原発など主要政策で見てもみんなの党とはもちろん、本来の維新の政策とも全く真逆でした。
私は、旧たちあがれが維新に譲歩しての合流だと思っていたのですが、それは真実でないと言います。合流後の発表では、維新の政策から、公務員改革、医療、農業などの規制改革など、改革という文字が全て消え、財務省が嫌がる歳入庁設置などもなくなっていました。つまり、既得権との戦いを全て放棄したかのような印象を与えたのです。

維新と太陽との合流前、維新とみんなの間では2、3の選挙区を除いて選挙区調整が進んでいたのですが、太陽の党が合流してから、突然、元たちあがれ系の候補者を大量に維新が公認し始めたのです。
『その頃石原氏はたちあがれメンバーのごり押しを止める動きはしなかった。何故なら、石原氏としては、とにかく伸晃、宏高の二人の息子の選挙区に維新が候補者を立てないでくれという希望がある。親心としては当然だが、そういう利害関係を持っている以上、他の選挙区で誰かに譲れなどという偉そうなことは言えなかったのだろう。』(古賀氏)

そして11月29日、「骨太2013-2016」が発表されました。この内容が、古賀氏によると様々な面で「霞が関文学」と言ってよいテクニックが使われているといいます。
まず、「政策実例」は単なる実例ですから、約束ではありません。こんなものは何の役にも立たないでしょう。

「既得権と闘う成長戦略」が本文から落ちています。

原発に関し、「既設原子炉フェードアウト」と「既設」を付けた理由については、新設・増設はやらないが、「立て替え・リプレース」をやらないとは一言も言っていない、という意味だそうです。
『「40年廃炉」も厳格に守る』の「厳格」とは、「例外があり得る」という霞が関文学だそうです。

以上のように眺めてみると、少なくとも現時点で、維新の会における改革を推進する力は大きく削ぎ落とされていると考えざるを得ないでしょう。

維新の会は、もともと橋下徹氏とその仲間たちが立ち上げたような政党です。そしてその橋本氏の魅力に国民が吸い寄せられてここまで大きな影響力を持つに至りました。その橋本氏の魅力の中には、堺屋太一氏をはじめとする改革派をブレーンに引き入れて政策立案を行っている点も入っていました。
それがここに来て、太陽の党と合流したとたんに、政策方針が180°転換してしまいました。一体橋下氏は、何を考えているのでしょうか。とりあえずは自民党守旧派とも連繋できるような政策に後退してしまったのでしょうか。橋下氏は「取り敢えずの方便」と考えているかも知れませんが、私は今回の変節は命取りのような気がします。
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