弁理士の日々

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高橋洋一「霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」」

2009-08-21 20:17:53 | 歴史・社会
「埋蔵金男」高橋洋一氏が破廉恥な窃盗容疑で捕まったことが公になり(こちらで紹介)、本当につまらないことになりました。
しかし改めて調べてみると、高橋氏は新書版で何冊かの本を出版しています。今回、そのうちの一冊を読んでみました。
霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」 (文春新書)
高橋 洋一
文藝春秋

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帯には「経済低迷の主因は、財務省と日銀の経済オンチにある。小泉改革の知恵袋ゆえに霞が関を敵に回した元財務官僚が語る 新日本経済入門 高校1年生~財務官僚・日銀マン向き」とあります。

第1章 「埋蔵金」とはなにか
第2章 国のお金はどう動くのか-財政編
第3章 国のお金はどう動くのか-金融編
第4章 公務員制度改革の闘い
第5章 国家を信じるな

内容はとても平易です。
国の経済の動きが、こんな簡単なロジックで本当に語れるのだろうか?と疑問に思うほど平易です。
私はエコノミストではないので、この本で語られるロジックが正しいのか正しくないのか判断がつきません。しかし取り敢えず、書かれていることは覚えておこうと思います。

《第1章 「埋蔵金」とはなにか》
「埋蔵金」とは、国の特別会計における「資産と負債の差額」のことです。長い間、この数値が表に出ることはありませんでした。それを高橋氏が算出可能にし、さらに高橋氏の政敵?である与謝野馨氏が「埋蔵金」とネーミングした以降に一気に国民に知れ渡りました。

2003年、塩爺(塩川正十郎当時財務大臣)が最初に、「母屋でおかゆをすすっているときに、離れですき焼きを食べている」とうまいことを言いました。母屋=一般会計、離れ=特別会計です。
塩爺はこれを直感的にアドリブで言ったらしいですが、高橋氏はそれを聞いて、塩爺の直感をどうしたら数字にできるかと考えました。
経済財政諮問会議において、各省庁から特別会計の数字を出させ、高橋氏が特別会計のバランスシートをつくってみたところ、年金を除く特別会計を全部足し合わせると資産負債差額という内部留保が50兆円ぐらいありました。なかでも大きかったのがいずれも財務省管轄の財政融資資金特別会計12兆円、外為資金特別会計8兆円です。

高橋氏はまず竹中平蔵大臣に伝えます。竹中氏は何回も「ほんとうか」と繰り返しました。
竹中氏はこの事実を小泉総理に伝えようとします。それも各省庁から出向している総理秘書官が同席していない所で。秘書がいない隙を見計らって竹中さんから小泉さんに言ったら「えーっ、ほんとうか!そんなにあるのか!」と言ったといいます。竹中さんが、財務省に知られずに小泉さんに先に話しちゃったということで、実は「勝負あった」だそうです。
財務省にはまったく相談せずに諮問会議のペーパーをつくりますが、総理秘書官が「ほぼ全面削除」とします。最初は半信半疑だった竹中さんも、この財務省の抵抗の激しさを見て「これは本物だ」と思います。
諮問会議では竹中さんと当時の谷垣財務大臣がガチンコでやりあいましたが、竹中さんの圧勝で終わりました。あっという間に財務省が折れて、シレッとして「従来の予定通り出します」と小泉さんに説明しました。20兆円が財務省管轄特別会計から出てきました。2006年です。このときはまだ「埋蔵金」という言葉もなく、マスコミは全く反応しませんでした。このブログの2007年11月29日の記事が、このことを指していたのでした。

そして2007年10月、財政融資資金特別会計から再度「埋蔵金」を出させようとしたら、財務省は「ない」と言いました。しかし高橋氏との論戦の結果、財務省は折れ、また十兆円出してきたのです。これが、「埋蔵金」命名後の最初の発掘でした。このブログでは2007年12月7日に記事にしていました。

「埋蔵金」と名づけられましたが、今では、当時の改革によってディスクロージャーが進んで、もう「露天掘り」になっているようです。

以下次号
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