弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

英国富士通の冤罪事件

2024-01-31 15:43:44 | 歴史・社会
富士通が関与している英国での冤罪事件について、このブログでも
英国郵便局での冤罪事件 2024-01-14で記事にしました。

日経新聞に記事が掲載されました。
富士通子会社、英郵便冤罪に加担 不具合隠し訴追手助け
2024年1月31日 日経新聞
『郵便局を舞台にした英国史上最大の冤罪(えんざい)事件を巡り、欠陥のある会計システムを納めた富士通側の責任が浮上している。富士通の英子会社は1999年の納入当初からシステムの不具合を把握しつつ、その事実を隠して郵便局長らの訴追に加担してきた。幹部らの証言で明らかになった。
「不具合があることは配備の当初からわかっていた」。富士通の執行役員で欧州地域の共同最高経営責任者(CEO)を務めるポール・パターソン氏は19日、ロンドンでの公聴会で証言した。「このような恐ろしい冤罪に加担したことを申し訳なく思う」と謝罪した。
99年から全英の郵便局で、窓口の現金がシステム上の残高よりも復亡くなる問題が頻発した。国有企業ポストオフィスは公訴権を使って局長らを次々に訴追。2015年までに700人以上が横領や不正経理の罪に問われた。
のちに残高の不一致は富士通の英子会社、富士通サービシーズが納入した会計システム「ホライゾン」の不具合が原因だと判明した。』
富士通サービシーズの本社には「不正・訴追支援室」が置かれ、支援室のメンバーらは郵便局長の訴追に使われると知りつつ、データを送り続けました。データの信頼性に疑いがあることは社内に認識されていましたが、正しく記載すべきとの意見は黙殺されました。パターソン氏は富士通サービシーズ(以下「英国富士通」と呼びます。)の情報隠蔽について「理由は分からない。恥ずべきことだ」と語りました。
『富士通は1981年、英国の国策コンピューター会社だったICLと技術提携した。日本の通産省(当時)を介して英政府から持ちかけられたICL立て直しの要請に応じた。これが事件に関わるきっかけとなった。
90年に株式の80%を取得、98年に完全子会社化。』
『買収後もICLの多くの役員が残り、富士通本体の統制が利きにくかった、とされる。』

少しずつ、今回の問題が新聞紙上で語られ始めました。しかし、まだ分からない部分は多々あります。
ホライゾンのデータの不具合について、英国富士通は認識していたとして、国営ポストオフィス社にも報告していたのか、それともポストオフィス社にはデータの不具合を一切隠していたのか。ポストオフィス社に隠していたとしたら、英国富士通の責任は極めて重大になるでしょう。
ポストオフィス社には正直に不具合を報告していたとしたら、それを無視して郵便局長を訴追し続けたポストオフィス社の責任は重大です。その場合、英国富士通の責任はどの程度か。日本での当たり前の対応であれば、ポストオフィス社が不具合を知った後も訴追し続けた点はポストオフィス社の罪であり、英国富士通は道義的責任を負う程度でしょう。
ただし、英国富士通に設置された「不正・訴追支援室」が、不正データと知りつつ送り続けていたのだとしたら、英国富士通の責任は道義的責任にとどまらないでしょう。

『富士通は1981年、英国の国策コンピューター会社だったICLと技術提携した。日本の通産省(当時)を介して英政府から持ちかけられたICL立て直しの要請に応じた。』
また通産省(経産省)ですか。
東芝は、アメリカのウェスチングハウス社買収が重荷になって潰れました。この買収にも、裏で通産省が動いていた、との噂があります。
通産省(経産省)は、日本の大企業にとってとんでもなくやっかいなことをしてくれますね。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自衛隊ヘリコプターの実働機数 | トップ | 小田原城訪問 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

歴史・社会」カテゴリの最新記事