弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

特許印紙の売りさばき委託料は合計2.7%

2011-09-29 00:00:40 | 知的財産権
特許庁に手数料や特許料を納付する方法としては、特許印紙による納付と口座振替による納付があります。私は、特許印紙による納付を利用しています。弁理士協同組合を経由しての納付です。私の銀行口座から弁理士協同組合に所定額を振り込みますと、弁理士協同組合はその同じ額の特許印紙を特許庁に納付してくれるという仕組みです。
弁理士協同組合は、私から手数料を取りません。むしろ若干額を還元してくれるくらいです。どのようにして経費をまかなっているのでしょうか。
われわれは街角のたばこ屋で郵便切手を購入することができます。50円切手を50円で購入できるわけですが、たばこ屋さんはその小売りで儲けを出しているはずで、それは50円切手を50円以下の金額で仕入れているからでしょう。弁理士協同組合も、10万円の特許印紙を10万円以下の金額で仕入れているはずです。いったいどの程度のマージンを得ているのでしょうか。

9月28日の朝日新聞夕刊に以下の記事が載りました。
特許料納付、30億円ムダ 印紙販売委託費 検査院指摘特許料などの納付の流れ
アサヒコム 2011年9月28日15時1分
『10年度には全体で約239万8千件(約1217億円)の納付があり、そのうち印紙による納付が約214万4千件(約1088億円)、振替による納付が約23万9千件(約121億円)だった。
特許印紙の場合、郵便局に売りさばき業務の委託料を払う必要があり、同年度は約32億4千万円にのぼった。一方で、振替に対する金融機関への委託料は約250万円だったという。』
特許印紙の場合として、新聞では代行業者に発明協会を用いた例が示されていました。

1217億円の特許印紙の売りさばき委託料として、特許庁は郵便局に32億4千万円支払いました。%であらわすと、
 32億4千万円/1217億円×100≒2.7%
となります。
何と、特許庁は郵便局に2.7%もの委託料を支払っているのです!!
そして記事では、発明協会が代行業者となる場合、郵便局が発明協会に売りさばき業務手数料を支払います。特許庁から受けとった32億4千万円のうちのしかるべき割合が支払われているはずですが、記事では「?円」となっていました。

郵便局と委託業者(発明協会や弁理士協同組合)が委託料をどのように山分けしているかは不明ですが、とにかくいい商売であることは確かです。

むしろ、驚くべきは委託料が2.7%である点です。
たばこ屋が50円切手や1円切手を販売するのと異なり、特許印紙の場合には1枚が10万円だったり1万円だったりしますから、額面に対してかかる手数はきわめてわずかです。2.7%という委託料率はどのようにして決まったのでしょうか。

一方で、新聞記事から口座振替の委託料率を計算してみると、
 250万円/121億円×100=0.02%
という驚くべき低い料率であることがわかります。金融機関はなぜこのような低い委託料率で請け負っているのでしょうか。別のところで旨みがあるのでしょうか。

会計検査院は特許庁に対して、口座振替への切り替えを促進すべきだとの改善要求をするそうです。私としてはその前に、特許印紙の委託料率の低減を推進すべきだと思いますがいかがでしょうか。
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