弁理士の日々

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古賀茂明氏に関する予算委員会での枝野大臣発言

2011-09-27 00:14:25 | 歴史・社会
経産省の古賀茂明氏が、9月26日にとうとう退職しました。やめると決まった途端、古賀氏の舌鋒は鋭くなっているようです(霞ヶ関を去る改革派官僚の特別手記・古賀茂明「『改革への新たな一歩』ーー日本再生のため、さらなる戦いに挑みます」「本日、経産省を退職します」)。

本件について、以下のニュースが流れました。
古賀氏への退職勧奨は総合的判断=枝野経産相
ロイター 9月26日(月)15時11分配信
『枝野幸男経産相は26日午後の衆議院予算委員会で、改革派官僚として知られる古賀茂明氏について、「主張には同意する点は少なくない」と指摘した。
ただ、個人の意見とは異なる政治決定に従うのが官僚システムだとして、海江田万里元経産相らの判断を引き継いで総合的な判断から退職勧奨を行い、古賀氏は同日付で退職したと述べた。自民党の塩崎恭久委員の質問に対する答弁。』

さて、枝野大臣は衆議院予算委員会でどのような発言をしたのでしょうか。気になったので、衆議院TVで確認し、26日の衆議院予算委員会における、当該の件に関する塩崎議員と枝野大臣との問答をテープ起こししてみました。
--はじめ-----------------------
塩崎:古賀さんはずっとですね、仕事を与えてくれなければ辞めるしかない、という悲痛な叫びを上げてきました。枝野さんはかまわない、仕事は与えない、ということで結局これを。今日多分正式に退職することになると思います。この、仕事を与えない、ということで退職に追い込んだ責任と、この判断はご自身のものだということでよろしいですか。

枝野:個別の職員について、特に人事について本来申し上げるものではないと思いますが、国会でのことでお答え申し上げますが、当該職員については、海江田大臣・鉢呂大臣のもとにおいて積み重ねられた判断のもと手続が進められており、私としてはこれまでの判断を引き継ぎ、これを了として、のちの手続は事務方に任せることとしたものです。ご指摘の職員については本人から辞職願の手続があり、本日退職しました。

塩崎:海江田・鉢呂両大臣の方針を引き継いでとおっしゃいましたが、海江田さんはこの予算委員会で私が話して、かれは古賀さんに会って、また会おうといって分かれたままです。鉢露さんはメールを打っても何の返答もなかった。だからどういう方針なのかさっぱり分からない。
また会おうといって別れた、海江田さんはまた会おうといった。あなたは会わなかったでしょう。
もうひとつ。これは明らかにパワーハラスメントだと思う。役所によるパワハラ。つまり閑職に追いやって約2年間、ひとつの出張だけ命令して、毎日何もなしできた。虐待でもネグレクトがある。無視している。ほとんどこれと同じ。こういう中で、パワハラである、弁護士であった枝野大臣ですから、これは明らかなパワハラ。政府が率先してこんなことやってていいんですか。

枝野:当該職員については海江田大臣の下で、本来大臣が直接するような仕事ではないと思うが、大臣自らお話しされて、いわゆる退職勧奨を行って、それに本人が一旦応じたと、大臣を就任した折りに引き継ぎを受けています。

塩崎:それはだいぶ違うんだ。渡辺喜美さんもやられると思うんであまり言いませんが、枝野さん、あなたがやったことは相当重大なことをやった。私たちが聞いている限り、海江田さんは辞めることを勧奨したんじゃない。このような優秀な人に適切な仕事があるはずだとおっしゃった。また会おうと言った。今のような話であるわけがない。
私が重大だと言ったのは、こういうことをやったら、霞が関の論理に反した役人は、末路はこうなるんだよと言う、霞が関流の報復人事を、加担を積極的にやってしまった、ということを、あなたは気づいていますか。
私はこういうことをやっていけば、かれのような改革官僚、今、本はベストセラー。中味がいいからでしょう。ていちょう(傾聴?)に値することが書いてあるからでしょう。みんな同じ金太郎飴じゃなくて、いろんな人がいて、発送電分離の話だって、枝野さんは賛成のはずですよ。一緒に議論する相手のはずだった。
役所の論理でこういう人がいてもらっては困る。辞めることになってしまって、次官や官房長に逆らってまで、日本のためにこうすべきだという改革官僚が出てこなくなっている。

枝野:海江田大臣の下で退職勧奨をしたということは経産大臣の引き継ぎにおいても、私は報告を受けています。当時私は官房長官として、経産省としてそういう対応をするということを報告受けているので事実関係は間違いない。
ご指摘の点については、ある意味で一理あると思っている。私は当該職員の主張の詳細について、存じ上げておりませんが、漏れ伝え聞く報道等で聞くところでは、私は彼の主張している意見は同意見であるところは少なくない。
そのことと、官僚システムというシステムの中で、どういった仕事をしていただくのか、官僚の皆さんにはそれぞれ個人の意見とは異なっていても、政治が決定したことについては、自分の意見と異なったことについても、官僚としてのそのポジションポジションで決められたことに従ってもらわなければならない。内閣官房長官として仕事をしたおりには、私が判断、私を含めて判断をした政府の判断に対して、意見の異なった人も少なからずいたと思うが、決まるまでの間それぞれの司つかさの担当としてご意見は十分に聞いたつもりだが、決めた以上はその判断に従っていただく。それが私はあるべき官僚としての姿だと思う。それに対して、しっかりとして政治として判断できるかどうかが政治に問われていると思っている。そうしたことを総合的に判断して今回の判断は間違っていないと思っている。

塩崎:パワハラにしても明確なことをいってもらえない。今の霞が関流の報復人事についても、結局あなたは、今言ったことは役人の論理に乗っかっていることを私は指摘しておきたい。
---以上--------------------

枝野大臣の「大臣自らお話しされて、いわゆる退職勧奨を行って、それに本人が一旦応じたと、大臣を就任した折りに引き継ぎを受けています。」はわれわれが知らされている事実とは異なります。塩崎議員の発言の方がわれわれの知識と合致しています。(9/27 一部修正)
枝野大臣は正しい引き継ぎを受けたのか、疑問に思うところです。

また、枝野大臣の「官僚の皆さんにはそれぞれ個人の意見とは異なっていても、政治が決定したことについては、自分の意見と異なったことについても、官僚としてのそのポジションポジションで決められたことに従ってもらわなければならない。」「そうしたことを総合的に判断して今回の判断は間違っていないと思っている。」
については、あたかも古賀さんが、政治の決定に従わなかった、それが退職勧奨の理由だ、と言っているようです。
しかし、古賀さんはこの2年間仕事を与えられていないのですから、政治決定と異なった仕事をやりようがありません。何を根拠に言っているのでしょうか。
それとも、古賀さんの著書、古賀さんのマスコミにおける発言を指しているのでしょうか。それが理由だとしたら、古賀さんも覚悟の上でしょう。一方、枝野大臣がそれを「自分の考え」というのだとしたら、枝野さんの政治家としての資質が低いことを暴露したことになります。

さらに、8月5日に経産省首脳人事のドタバタで紹介しましたが、長谷川幸洋氏は「菅首相周辺が「改革派官僚」古賀茂明氏に接触していた「経産省3幹部更迭」の裏事情 海江田大臣がすぐ後任を発表できなかった理由(2011年08月05日(金))」において、
『首相官邸サイドは先週から、改革派官僚として知られた古賀茂明官房付審議官に数回にわたって電話し、事務次官更迭を前提にした経産省人事について相談していた。そこでは次官の後任だけでなく、海江田経産相が辞任した後の後任経産相についても話が出たもようだ。』
と述べています。官邸と言えばその主は総理大臣と官房長官です。少なくとも当時の枝野官房長官の了解の下で話はされたはずです。
人間と人間との関係でいったら、8月の官房長官としての態度から9月の経産大臣としての態度への枝野氏の豹変は、古賀氏に対する裏切りと言っても過言ではありません。

今回のテープ起こしに際し、国会でのご両人の発言は速いので、私のタイピングは当然ながら追いつきません。そこで、一旦ボイスレコーダーに集録し、速度を0.5倍に落として聞いてみました。0.5倍ですとちょうどわたしのタイピング速度にマッチしました。
はじめて0.5倍で聞いたのですが、びっくりしました。ご両人の話し方が、まるで酩酊した人の話っぷりにそっくりなのです。落語家でも、これだけ酔っぱらいになりきる噺ができたら名人級だと思いました。
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