Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

今年の24館(2010)

2010年12月31日 15時05分01秒 | 映画(2010)
今年の最後は映画館に通った記録です。


1位:TOHOシネマズ海老名(神奈川)48回

ホームグラウンドの回数は更に増えました。「午前十時の映画祭」の特集にも後押しされました。とは言いながら、いちばん多かったのは10番スクリーンの8回。

2位:ワーナーマイカルシネマズ海老名(神奈川)4回

ポイントカードを作ったこともあって、昨年より1回増えました。

3位:TOHOシネマズシャンテ(東京)3回
3位:恵比寿ガーデンシネマ(東京)3回
3位:新宿ピカデリー(東京)3回
3位:TOHOシネマズみゆき座(東京)3回

W.アレン作品が2本あったこともあり、昨年行かなかった恵比寿に3度詣でました。もう行くことはないと思うと寂しいですが。

7位:シネセゾン渋谷(東京)2回
7位:ヒューマントラストシネマ渋谷(東京)2回

細かい劇場ごとの回数は変わるけれど、渋谷でなければという作品がある限りどこかしらに顔を出すのでしょう。

9位:ワーナーマイカルシネマズ名取エアリ(宮城)1回
9位:TOHOシネマズ有楽座(東京)1回
9位:渋谷東急(東京)1回
9位:シネマスクエアとうきゅう(東京)1回
9位:TOHOシネマズ日劇(東京)1回
9位:新宿バルト9(東京)1回
9位:新宿武蔵野館(東京)1回
9位:シネクイント(東京)1回
9位:TOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京)1回
9位:銀座テアトルシネマ(東京)1回
9位:TOHOシネマズ小田原(神奈川)1回
9位:TOHOシネマズ川崎(神奈川)1回
9位:シネプラザサントムーン(静岡)1回
9位:シネマート心斎橋(大阪)1回
9位:TOHOシネマズなんば(大阪)1回
9位:天神東宝(福岡)1回

北は仙台から西は福岡まで。出張の回数が多かった割りには夜の自由時間がなく、この記事としては寂しい結果に終わりました。

映画館に足を運んだ回数は延べ84回。来年は・・・減るだろうなー。
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今年の80作(2010)1位→30位

2010年12月31日 14時46分16秒 | 映画(2010)
いよいよ今年もまとめの1日になりました。

新たな1冊のアルバムを綴じるような感覚で順位を付けています。将来2010年という年を振り返ったとき、どんな1年だったと思い出すのでしょう。

世の中では、「アバター」「アリスインワンダーランド」といった作品が上位を占め、3D元年とも言われました。邦画では相変わらずテレビ関連の企画が強い構図が続き、興行こそ盛況しているものの、他方で来年早々閉館する恵比寿ガーデンシネマ等じっくりと見せる映画の苦戦も伝えられています。

そうした状況下で自分自身のランキングを眺めてみると、まずは脱小沢、反小沢ではない「反3D」、そしてシリーズものと一線を隔した独自性といったものに高評価を与えているようです。

おそらく他の人と被ることはないであろうTOP80。まずは1位から30位までです。

1.「(500)日のサマー」(1/23)

1位と2位の差は髪の毛1本分もないくらい。こちらを1位に選んだ理由を強いて挙げれば、こちらはいつどんな状態で観ても、おそらく同じように楽しめると思うから。何度でも憧れて何度でも振り回されることでしょう。あとは、他の誰も上位に持ってこないだろうという、よこしまな考えが少しだけ。

2.「インセプション」(7/17)

まさかのJ.ゴードン・レヴィットのワンツー。3Dじゃなくとも映画はわくわくできることを証明した作品と言えるのではないでしょうか。渡辺謙の活躍もうれしい今年を代表する作品です。

3.「告白」(6/5)

連を外さない中島哲也監督会心の一作もまさかの3位。でも普通の年だったら1位でも不思議じゃないでしょう。こんな作品も撮れるんだと改めて感心しました。今をときめく芦田愛菜ちゃんも出ていたんですね。

4.「プリンセスと魔法のキス」(3/14)

これも非3Dとしての高評価です。ディズニーは最新作の「塔の上のラプンツェル」が3Dになってしまったので、ひょっとするとこれが最後の2D専用作品かもしれません。古典でありながら現代要素を巧く織り交ぜてあり楽しい作品でした。

5.「ハートロッカー」(3/21)

ご存知夫婦対決。恐怖に包まれた現場の臨場感を冷静な視線で作り上げた監督の手腕は、十分オスカーの価値がありました。どれだけの言葉よりも、戦争が抱える問題の多くを伝えることができているのではないかと思います。

6.「ヒックとドラゴン」(8/7)

3D最高位は本作となりました。いつもの皮肉めいた毒を抜き、キャラクターに頼らずオリジナルで勝負したドリームワークス渾身の一作です。ただわが国では、正統派の作品はどうしようもなく売りにくいようで残念です。

7.「エクリプス トワイライトサーガ」(12/4)

「トワイライト」の世界が帰ってきました。絶妙な寸止め感は1、2作品から更に上昇。ジェイコブがたくましくなってライバルらしくなったことが勝因でしょうか。それにしても、冷静に考えればベラは優柔不断で総スカン食ってもおかしくないんだけど。

8.「ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」(7/7)

ドタバタは一歩誤ればしらーっとなる危険性がありますが、次々に出てくる謎にも引き込まれ、いつの間にか身を乗り出して観ていました。系譜が共通の「デューデート」や、本作の続篇が果たして同じようにいくかは観てみないとまったく分かりませんが。

9.「第9地区」(4/11)

こういう出会いがあるから映画館通いは止められないという一本。斬新な宇宙人の捉え方が光ります。予算がそれほどなくてもおもしろい作品は撮れる・・・って、似たようなフレーズを上の方でも使っていたような。

10.「カラフル」(8/28)

原恵一監督が前回より少し成長した子供を被写体に、多感な中学生を巡る世界を描きました。東京の原風景、そして現風景。温かみあふれる画が心を包み込みます。

11.「マチェーテ」(11/27)

こんな高い位置にD.トレホ。主人公がイケメンじゃなくてもおもしろい作品は・・・というより、本作の場合はトレホじゃなきゃいけなかったという感じ。すべてが突き抜けています。

12.「最後の忠臣蔵」(12/30)

日本人の美意識を問い質す作品。何のために生きるか分からないまま日々を送っていないでしょうか。傍にある美しいものに気付かないでいやしないでしょうか。

13.「しあわせの隠れ場所」(3/3)

おめでとう、S.ブロック。気がつけばNFLもプレイオフシーズンに突入しました。最近あまり追いかけてなかったけど、マイケルは頑張っているのかな。

14.「トイストーリー3」

年数が経った時点での物語を高い完成度で作り上げるところがピクサーのすごさ。でも、正直なところ、もっと新しいオリジナルの話を見てみたいです。

15.「マイレージ、マイライフ」(3/20)

G.クルーニーははずれを引くことが多い人でしたが、本作はなかなか興味深く観ることができました。J.ライトマンの手腕はさすがです。

16.「月に囚われた男」(5/1)

「第9地区」と同様にアイデア勝負の映画。加えて、シチュエーションスリラーの要素も加わって、限られたスペースの中ながら十分に見応えあり。K.スペイシーの意外な役も存在感抜群でした。

17.「秘密結社鷹の爪THE MOVIE3~http://鷹の爪.jpは永遠に」(1/17)

関西ではJRのマナー広告、島根県のアンテナショップにも立看が。総統の世界征服は着々と進行しているようです。

18.「SP 野望篇」(11/1)

まずは3年前のドラマをよくぞ繋げたという思いです。クーデターは勘弁ですが、立ち上がれという気持ちは誰でも持っている気がするから、この話を興味深く見られます。

19.「ナイト&デイ」(10/11)

正月でも夏休みでもGWでもない時期にT.クルーズ作品が公開。格下げ?と思われないよう「トムの日」を設定するなんて、なかなか上手いと思いました。

20.「ゴールデンスランバー」(1/30)

仙台です。今年も1度しか行きませんでした。近いのに。正直その辺の思い入れを除くともう少し点数が下がってしまうのですが。堺雅人は好きなんですけどね。

21.「クレイジーハート」(6/18)

J.ブリッジスのハマりっぷりもよかったですが、この手のオヤジにしては珍しく改心・学習するところも好感度が高い要因となりました。

22.「ゾンビランド」

気弱な少年・コロンバスは自前の自衛ルールを駆使して、5億体のゾンビを友達にすることとなりました。タラハシーは・・・他の映画で大暴れ?

23.「バレンタインデー」(2/20)

日本だけでも正月第2弾くらいで公開していれば、もう少し効果的な宣伝を打って興行を優位に進められたはずです。軽いラブコメ、来年も待ってます。

24.「ライアーゲーム The Final Stage」(3/6)

「デスノート」からの出世組として戸田恵梨香はすっかり主役が板に付きました。ちなみに馬鹿正直のナオはもうやりたくないらしいです。

25.「ノルウェイの森」(12/26)

「デスノート」からの出世組として松山ケンイチはすっかり主役が板に付きました。それにしても、この劇中の人たちは森をさまよっているようで、なかなか希望の出口が見えませんね。

26.「ラストソルジャー」(12/3)

J.チェンとしては異色の作品。今年は特に中国の唯我独尊ぶりが目に付きましたが、国際舞台の経験が長い彼はどのように感じているのでしょうか。

27.「Dr.パルナサスの鏡」(1/29)

T.ギリアムだからできたH.レジャーへのレクイエム。完成しただけで、ある意味奇跡の作品でした。

28.「十三人の刺客」(10/2)

おどろおどろしさ全開。B級に足を突っ込んでいる派手な活劇を豪華キャストで好き放題やっている感じが爽快です。稲垣吾郎が悪役を伸び伸び演じているところも一興。

29.「キックアス」(12/20)

へなちょこヒーローでは結局どうにもできないのですが、スーパー戦闘マシーンのヒットガールを出しても、なんとか軸をずらさずに話を進めることに成功しました。もちろんヒットガールの痛快さはプラス。

30.「シャーロックホームズ」(3/29)

絶好調R.ダウニーJr.が新たな鉱脈を発掘しました。変わり者のホームズは何の違和感もないハマり役。彼を待っている役柄がまだまだ他にもあるのかもしれません。
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今年の80作(2010)31位→80位

2010年12月31日 05時53分56秒 | 映画(2010)
ここからは後半です。

31.「悪人」

毎年恒例の日本映画賞総ナメ。今年の標的はこの作品のようです。

32.「恋するベーカリー」(2/20)

ちょっと下品な中高年。今が旬(?)の麻木さんたちに演じてもらいたいところ。

33.「白いリボン」(12/26)

考える映画として評価は高いかもしれませんが、好き嫌いとなると、まあ中間より少し上くらいが妥当なのでしょう。

34.「レポゼッションメン」(7/3)

内臓系、結構好きです。ホルモン料理じゃありません。

35.「ウディアレンの夢と犯罪」(4/16)

今年はW.アレン作品が2本も公開されたのに、下位で両方とも登場。来年は巻き返しを期待します。

36.「キス&キル」(12/17)

K.ハイグル、頭文字はKです。migさんへのコメントで間違えてしまいました。

37.「リトルランボーズ」(11/20)

手作り映画の威力は絶大でした。リー・カーターは頼もしいおにいちゃんになるんでしょうね。

38.「9(ナイン)9番目の奇妙な人形」(5/21)

奇妙な見かけも観ているうちに愛おしくなってきます。悲壮感の戦いの向こうに希望のラスト。

39.「プレシャス」(5/1)

主役のG.シディベをよく発掘しました。彼女の未来が輝きに溢れんことを。

40.「君に届け」(10/15)

三浦春馬くんの尽力もあって、新幹線は青森まで届きました。

41.「劇場版ポケットモンスターダイヤモンド&パール 幻影の覇者ゾロアーク」(7/10)

この秋から完全リニューアル。新しい世界でまだまだ増産する気満々のようです。

42.「フィリップ、きみを愛してる」(3/29)

どうしてゲイの役って、みんながっちりハマった演技ができるのでしょう。

43.「ローラーガールズダイアリー」(10/9)

E.ペイジ、応援してます。「インセプション」の吹替えの声はもうちょっと何とかならないのかと思いますが。

44.「シュレックフォーエバー」(12/23)

アニメなら飛びつくうちの子が何故か見向きもせず。おかげで六本木で字幕版を観られました。

45.「シャッターアイランド」(4/10)

M.スコセッシL.ディカプリオの仲良し組の共作。オスカーも獲ったしね。いいんじゃないでしょうか。

46.「怪盗グルーの月泥棒」(10/30)

笑福亭鶴瓶の声をどれだけ許せるかが勝負。シュレックよりましだと思いましたが。

47.「ぼくのエリ 200歳の少女」(9/8)

全般に冷たく暗い。知識がないから、北欧ってこんなところなのかーと怖くなってしまいました。

48.「東のエデン劇場版Ⅱ Paradise Lost」(3/28)

今思えば、何でこのシリーズを観に行ったのか未だに分かりません。

49.「コララインとボタンの魔女」(2/28)

3Dの効果よりも悪影響のみ感じた作品でした。恵比寿で上映した2D版を観ればよかったと後悔しています。

50.「キャタピラー」(9/20)

見た目のインパクト大。戦争は避けようよ。じゃあ、どうやって?

51.「TSUNAMI-ツナミ-」(10/1)

良くも悪くもコリアンパワー。K-POPは来年も流行るのでしょうか?そもそもどのくらい流行っているのでしょうか?

52.「[リミット]」(11/10)

上映時間よく引っ張りました。

53.「トロン:レガシー」(12/24)

今のJ.ブリッジスが演じることに意味のある作品。

54.「ザウォーカー」(6/19)

オチが分かりやすかったですね。信仰は大事です。

55.「キャピタリズム~マネーは踊る」(1/11)

オバマ政権の支持率低下をどう捉えているのか、今いちばん訊いてみたい人です。

56.「東のエデン劇場版Ⅰ The King of Eden」(2/27)

もう少し分かりやすいと思ったんだけど。

57.「ベストキッド」(8/27)

まっすぐ成長してくれることを期待します。

58.「人生万歳!」(12/17)

恵比寿ガーデンシネマズを使えなくなったアレン作品は何処へ行くのでしょうか。やっぱり渋谷かな。

59.「アイアンマン2」(6/12)

おっと、R.ダウニーJr.、こちらの大ヒットシリーズはこんなところに。でもキャリアは心配なし。

60.ダーリンは外国人(4/11)

井上真央はハマり役。トニーも良かったね。

61.「武士の家計簿」(12/19)

江戸のリストラ。武士は食わねど高楊枝。でも楊枝はリサイクル。

62.「ラブリーボーン」(1/29)

P.ジャクソンは商売面ではJ.キャメロンに一歩も二歩も譲ることが分かりました。

63.「映画ハートキャッチプリキュア!花の都でファッションショー・・・ですか!?」(10/31)

オールスターズに比べると、話を練っている分だけこちらの方が上。

64.「GAMER」(12/17)

最近のテレビゲームはようついていかん。

65.「てぃだかんかん 海とサンゴと小さな奇跡」(5/5)祝・岡村隆史復活!

おっしゃることはごもっともです。何故進まないかを一歩踏み込んで考えてみませんか。

66.「遠距離恋愛 彼女の決断」(10/26)

だから、彼女は決断してないんだって。

67.「スパイアニマルGフォース」(3/20)

ファミリー向け動物映画はこんなものなのでしょう。「キャッツ&ドッグズ」はもう観る気が起きませんでした。

68.「映画プリキュアオールスターズDX2 希望の光レインボージュエルを守れ!」(3/20)

ここに来ての2連続。3月20日は残念な日だったんだなと思い返します。

69.「クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」(4/18)

また下位に戻ってしまったしんちゃん。来年は期待してるよ。

70.「シングルマン」(10/7)

優雅な人たちが生きる意味を考える映画。何もかも次元が違いました。

71.「アバター」(1/11)

ここにいました。歴史に残る一作。J.キャメロンが次回作を発表するときは、映画鑑賞から足を洗うことを覚悟しなければならないかもしれません。

72.「ジェニファーズボディ」(8/4)

A.セイフライドこそ是非肉体派を追求すべきだと思うんだ(独白)。

73.「エクスペンダブルズ」(10/21)

肉体自慢が火薬自慢。いっそのことシリーズでずっと続けてくれれば評価も変わるかもしれません。

74.「フェーズ6」(5/1)

よくDVDスルーしなかったものだと感心。でもわざわざ観る必要はありませんでした。

75.「アリスインワンダーランド」(4/25)

メジャーになればなるほど離れていく感じ。A.ラヴィーンは離婚したみたいですね。

76.「パレード」(5/8)

優等生が悪い、悪そうな人間は悪くないという構図に目新しさはありません。

77.「劇場版3Dあたしンち ちょー超能力♪母大暴走!」(11/13)

テレビだったらむしろ喜んで見ていると思います。この順位は、中途半端な劇場版の企画に対してのものです。

78.「バウンティハンター」(7/16)

ああ、G.バトラー。ああ、J.アニストン

79.「マイブラザー」(6/11)

腹立ち度で言えばこちらの方が最下位。期待して観に行っただけに・・・。

80.「東京島」(9/14)

何と言えばいいのか。この作品を世に出そうとした人たちにまず話を訊いてみたいです。
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「最後の忠臣蔵」

2010年12月31日 04時26分35秒 | 映画(2010)
わが国の様々な美に溢れている。


もう遠い昔のように思えるが、かつて安倍晋三が首相だったとき、彼は「美しい国」という言葉をテーマに掲げていた。

政治のキャッチコピーとしては分かりづらい等の批判を浴びていたが、芸術の世界においてはこれほど武器になるものはない。この映画は、そのことを改めて教えてくれているような気がする。

かつてのわが国には、景観、文化といった目に見えるものだけではなく、人々の生き方そのものに筋が通った美学があった。

武家の者として、あるいは女性として、それぞれが生まれついた環境における使命感を真っ直ぐに受け入れ、その使命を尽くすことこそが生きることだと信じていた。

裏を返せば、使命を遂げた後に生きる意味を見出すことは難しいわけで、次に待つのは引き際の美学である。忠臣蔵が受けるのも、桜を愛でる花見が愛されるのも、人々が散り際の潔さを憧れ敬っているからに相違ない。

本作が描くのは、潔さの象徴ともいえる忠臣蔵の物語の裏で苦悩した者たちのサイドストーリーである。

彼らの事情は複雑だ。心に秘めた生きる道と現実の乖離。彼らの追い求める道の先が報われる保証はまったくない。

討ち入り前夜に逃亡した孫左衛門を演じる役所広司、討ち入りの真実を後世に伝える使命を与えられた吉右衛門を演じる佐藤浩市は、さすがの重厚感で生き延びさせられた戸惑いと苦悩を表現する。

それを受ける周囲の配役もいい。特に安田成美の凛としたたたずまいは主役たちに引けをとらないし、若い姫を演じた桜庭ななみの不安定な若さも話と上手く融合できていた。

そしてところどころに挟まれる人形浄瑠璃がドラマにも絵的にも効果的にアクセントを与えている。ワーナーブラザースが想定している世界公開でも受けるのではないか。

もちろん引っ掛かる部分はある。孫左衛門の16年の労苦が劇中の短時間で綺麗に解ける。劇としては感動の嵐だが、史実や現実に思いをめぐらせると気持ちはやや曇る。

とにかく元気がないと言われるいまの日本。力がないのではなく自信を失っていること、信じる道を見失っていることが問題なのだと思う。

もうすぐ新しい年が始まる。まずは足元から自分の生きる道を確かめることから。区切りの季節だからこそ観ておく作品だと思う。

(85点)
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「ノルウェイの森」

2010年12月27日 01時16分14秒 | 映画(2010)
どうだろう、このしちめんどうくさい世界。


日本国民として多数派になるのか少数派になるのか分からないが、村上春樹を読んだことがない。村上春樹的な世界もまったく分からない。

では何故本作を観に行ったかといえば、それは1か月フリーパスがあったから。それに尽きる。

時代は昭和40年代。

生の時代感覚を持ち合わせているわけではないが、多くの大学生が安保闘争などの学生運動に興じていたことは知っている。

思想的にも性格的にもまっすぐだった人たちが運動に積極的だったのであろう。

その反面、斜に構えて物事を見る人たちの中には、運動に参加せず、かといって学校として大学が機能していないから惰性で日々を送るだけの学生もいたことも想像がつく。

主人公・ワタナベは、ひねくれているわけではなかったが、周りに不思議と退廃的な空気を持った人間が集まってきていた。

そのあたりが文学作品っぽいのだが、まあ登場人物の性格がとにかく面倒くさい。特に台詞に象徴されており、その度に個人的な嫌悪感が走る。

しかしだ。台詞はさておいて、そういえば恋愛というのは面倒くさいものではなかったかなと、はたと気付く。

登場人物の行動や言動を抜きにして状況だけを切り出してみると、少しずつ共感できるようになり物語もおもしろくなってくる。

トラン・アン・ユン監督の演出はテンポがよく、原作は確かご立派な装丁の上下巻だったと思うが、特に破たんすることもなく結末まで導いてくれる。

松山ケンイチ菊地凛子の演技もいい。直子の最期の場面で流れる音楽が半端なく怖くて心臓に悪かったが、全体を通して少しは村上春樹的空気を体感することができたのではないかと思っている。

それにしても、学生運動に明け暮れた人たちが大人になった姿というのはいろいろ見ているが、本作に出てくるような人たちは一体どういう変化を見せたのだろうか。永沢のような人間が外交官としてつつがなくやっていたら、それはそれでとても嫌なのだが。

(80点)
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「白いリボン」

2010年12月27日 00時45分27秒 | 映画(2010)
緩やかに迫る不穏。


M.ハネケに3度めの挑戦。

直接的な描写をしないことは分かっている。胸の仕えが下りるような結末が来ないことも承知している。

それでも自分なりに真相を探そうとしなければならないわけなのだが、登場人物が多く、男爵一家を中心に馴染みのない肩書きがあるなど、まずは設定の整理で手が一杯になる。

次の段階に進むと、今度は村人のほとんどが何かしらの火種を抱えていることが分かり、これまた厄介なことに。

微妙に間をおいた間隔で発生する奇妙な事件。犯人はもちろん分からない。しかし誰もが怪しいといえば怪しい。

狂言回しである「先生」は、この現象を当時の北ドイツ地方故のものだったのではと語るが、よく考えればこの物語、多分に普遍性を有していることが分かってくる。

もちろん男爵の子供に対するしつけや、ドクターの言動など、個別の事項をとってみれば特殊ではあるかもしれないが、いつの世もどこの国でも、人々を不安にさせる要素があり、そのいずれも事の根源はたいてい人間の内側にある。

我々は、たまたま営みの空間の広がりから、不安から逃れられる時間と場所を得ていることによって精神的に救われているに過ぎないのかもしれない。

実際、行動範囲が極度に限定される子供にとって状況は過酷だ。家庭での虐待、学校でのいじめ問題の解決が難しい原因はまさにそこにあり、それは本作で舞台となっている小さな村にも当てはまる。

最後の場面は例によって肩透かしと見えなくもないが、戦時へと時間の次元が変わることによる紛れ、そして先生にとっては村を離れることによる解決を明確に表現している。

裏を返せば、世の中の事象はズバッと解決するよりもうやむやに流れていくことの方が多いし、そうならない場合は、人間の内に潜む不安や悪意に支配される恐れがあるということだ。

難解だが、やっぱり巧いなとは思う。

(75点)
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「トロン:レガシー」

2010年12月26日 04時39分47秒 | 映画(2010)
見どころはデジタルなシンデレラ城。


前作が作られたのは1982年。映画館には観に行かなかったが当時のことは憶えている。

憶えているといってもディズニーとコンピュータというキーワードのみで、あとは宣伝も特にされず地味な興行で推移したということくらいであるが。

なにしろその頃は、ディズニーといっても泣く子も黙るようなブランド力があるわけではなかった(TDRもなかった)。逆にディズニーの映画とは珍しいねというくらいだ。

実際に観たのは、だいぶ時が過ぎてNHKのBSで放映したときだった。もはやそのときには、画期的であるが珍品というレッテルが貼られた後のことであり、印象も似たようなものだった(これもほとんど思い出せないが)。

そんな「トロン」の続篇が28年もの時を経て作られると聞いたときは驚いた。

ディズニーは何を考えているのか。世界を制覇したいま、過去の負の遺産を払拭すべく立ち上がったというところか。

よく考えると、確かに時期としてはおもしろい。主演のJ.ブリッジスが数十年のキャリアでついにアカデミー主演男優賞を射止め、3Dデジタルの覚醒元年ともいえる年だ。

音楽を仕切るのはDAFT PUNK。いまこの世界を表現するのに最適な顔の登場に、いやがおうにも期待は膨らんだ。

しかしだ。一応続篇なので、オリジナルをTV放映してくれないかなと思っていたのに、BSもCSもどこもやってくれない。

結局Wikipediaのみで復習して観賞に臨むことになったのだが、これが観て納得。

それは結局よく訳が分からないから。同じようなノリの前作を見せることで、客を減らすことを危惧したのではないか。

映像はきれいだ。コンピュータの中の世界で繰り広げられる攻防は、これぞデジタルであり、テーマパークのアトラクションとしたら「超」の付く目玉になるかもしれない。

しかし前作同様、プログラムの擬人化やシステムの映像化を含めた映画全体の構成については、まじめに作り過ぎたがためにかえって中途半端になってしまった感が拭えない。

主人公・サムは訳の分からない世界に放り込まれながら超人的な適応力を発揮する(どこか「アバター」的)。内部世界を取り戻し、父である創造主ケヴィン・フリンとともに現実世界へ帰るため無謀な戦いへ挑む。

暴走し内部世界を制圧したはずなのに、力を生かし切ることなく一人で戦う化身クルー。北朝鮮を彷彿とさせる巨大軍隊の映像が一瞬出るも機能せず。

物語を見返せば確かに辻褄は合っているのだが、映画館で見せられるとすっと入ってこない。擬人化されたプログラムが現実世界へ移行した後の描写も「?」だ。

期待したDAFT PUNKもあまり目立っていなかった。いっそのこと彼らのPV的に作ってしまえばよかったのにとも思うが、大メジャーと化したディズニーでそれは無理か。

これを観ると、「秘密結社鷹の爪THE MOVIE2 私を愛した黒烏龍茶」がいかに傑作であったかが分かる。無理のある世界観の描写はほどほどで抑えなければいけないのだ。

(65点)
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「シュレックフォーエバー」

2010年12月25日 21時56分09秒 | 映画(2010)
原点回帰+続篇→3Dは成り立っているか。


1作めの公開は2001年。幸いにも外国滞在中に出会えたので、このシリーズを結構好きになることができた。

しかし残念なことに今回の最終作は、字幕版を観るためにわざわざ六本木にまで足を運ばなければならなかった。

3D作品の台頭についても、2Dとの併映など観る側への選択肢を考慮してほしいと常々思っているが、アニメといえば吹き替え版しか流さないところばかりという状況にも困ったものである。

「怪盗グルーの月泥棒」は単作だったこともあり我慢したが、いきなりこれまで観てきたのと違う訳の分からない声でしゃべられてはたまらない。あとは、お金を余計に出してでも観たいかどうかの話だ。

結果としては、まずまず面白かったし、遠くまで足を運んでよかったと思った。

ただ後から考えれば、できれば過去の作品をおさらいしておけばよかった。

観ているうちに大まかな流れは思い出してくるのだが、改めて元の怪物に戻されてしまったシュレックが、2度めとなるドンキーたち仲間との出会い、フィオナ姫の呪いにまつわる話をどのように辿っていくのかもっと楽しめたかもしれない。

まあ、それを抜きにしても、E.マーフィーのドンキーの大活躍は楽しかった(エンドロールのクレジットではC.ディアスより前に来るんだね!)。

少し斜に構えた笑いは脇役陣を中心に健在。メタボになって長靴を履けなくなったネコが主に引き受けていた印象だが、情けない顔をしながら欲の張ったピノキオは、まさにドリームワークスならではのキャラクターだ。

ただ、これはピクサーにも言える話だが、シリーズものに頼るのは堅実な一方で、得てして期待を上回る喜びを得るのは難しい。本作もそれなりに面白いけれど、新しい驚きといった観点では皆無と言っていい。

もっと新しい題材に挑戦してほしいし、それだけの技術力があると信じている。

(70点)
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「キックアス」

2010年12月25日 21時43分53秒 | 映画(2010)
年忘れヒーローまつり。


「ゾンビランド」がゾンビを背景にした成長物語+ロードムービーならば、こちらはヒーローを触媒に使った青春ものである。

善が悪を倒す痛快さに、主人公の成長というハッピーエンドが加わって、観賞後の気分は倍以上の爽やかさだ。

キックアス、ヒットガール、レッドミスト。三者三様のなりきりヒーローの対照性がおもしろい。

主人公のキックアスは、本当に何の力も持っていない。

奇抜な着想で観る側を惹きつけるまではいいとして、果たしてどんな話を組み立てて作品の魅力を拡げていくのかと半分不安に、半分興味深く観ていたのだが、誇張含みのダイナミックな展開は意外なほど無理がなく驚かされた。

憧れの女子との仲も然りで、以前の完全に相手にされなかった描写も、心の底から思い焦がれられる立場になる過程も、決して嘘っぽくないし、観ているこちらまでうれしくなってきた。

ヒットガールは、これこそコミック特有のあり得ない英才教育を施された戦闘マシーン。決死の場面でも、ややパンク調の弾けた音楽に乗ってさっそうと宙を舞う。蝶が舞い、蜂が刺す。

あどけなさが残る屈託のない笑顔から一転、口元を斜めに歪めて華麗で残酷な容赦ないアクションを繰り広げる落差で、作品に華を与えるどころか完全に主役を凌駕する。

レッドミストは、間抜けなぼんぼんで使命感に最も欠ける出自ながら、辿っていく運命はまさにアンチヒーロー誕生のそれ。一人で続篇を匂わせるところに間抜けの片鱗が残るが、あればあったでおもしろそうだ。

こんな無敵の突破力をN.ケイジM.ストロングが脇で固める。特にN.ケイジの役回りは少し狂気で哀しく残念なところが、いかにもでおもしろい。

作品の性格故に、故意とも思われる雑さに引っ掛かりを感じる部分があるものの、強引でも爽やかさをもたらす力技は十分に評価に値する。グロ描写のためか、拡大公開されないのがもったいないくらいだ。

(75点)
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「武士の家計簿」

2010年12月23日 01時17分54秒 | 映画(2010)
2時間9分の演算処理。


今年は秋から冬にかけて時代劇映画の公開が相次いだが、中でも本作は刀剣がほとんど登場しないという変わり種であった。

侍とそろばんというミスマッチに、物静かなたたずまいの堺雅人。まさにこの人以外あり得ないキャスティングで、いわゆるつかみとしては文句のつけようがなかった。

しかし当たり前の話だが、問題は中身だ。

意外性の中に何を描くのか。本作はその点で物足りなかった。

幕末の激動の時代をそろばんで生き抜いた侍がいた。

一芸を極めることで足りないものを補って余りある結果を生んだことを美談として綴りたいのだろうと推測するのだが、どうにも、特に主人公の猪山直之が一定の地位に上り詰めるまでの前半は、ただでさえ大きくなく動きがないエピソードを丁寧に、かつ淡々と描いているから、どうしても冗長に感じてしまう。

一方で、後半は一気にスピードアップして、動きがありそうな息子との決別、幕末の騒乱といった事象があっという間に流されてしまう。

数行上で「推測」と書いた理由はそれで、結局全体として、江戸時代の家庭のリストラ話が中心に見えてしまっているのだ。

もちろんそうした話を軸にコミカルな味わいに仕立てることも有りなのだが、結果としてそうもなっていないわけで、どうにも立ち位置が不明確なのである。

せっかく特色のある題材と、ぜいたくな役者陣が揃っただけに、もったいないというのが正直な感想だ。

(60点)
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