Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「中学生円山」

2013年05月19日 00時39分49秒 | 映画(2013)
妄想するから人間だ。


「あまちゃん」、毎日楽しく見させてもらっています。それだけが楽しみと言ってもいいかもしれません。

宮藤官九郎への感謝を兼ねて(?)、彼の新作映画を初日に観に行った。

能年玲奈ちゃんをして「セクハラで訴えたいとおもいます!(笑)」と言わせた作品だけに覚悟はしていたが、セクハラよりも主人公のいわゆる中二的な行動や言動がとにかく痛い。

「あまちゃん」では結構な支持を得ているクドカン節だが、映画ということでストッパーが外れ、笑いの当たり外れが更にごっちゃになり極めて混沌としている。引く部分も多い。

でも総括してみると、よくこんな脚本作れるよなと感心する。

確かに多かれ少なかれ誰しもが抱く思春期の妄想。でも、大概は時が経つにつれ現実と自分が一体化して、そうした感情があったことすら簡単に思い出せなくなってしまう。

それは本来は「成長」であるはずなんだけど、実際の世の中は実はただ妄想をしなくなっただけの人間も多くて、そこで本作のコピーである「考えない大人になるくらいなら、死ぬまで中学生でいるべきだ。」という言葉が刺さる。

「成長」を選ぶことを必然とされる社会の中で、敢然と「妄想」を肯定する。その肯定も勧めるわけではなく、妄想する自分が存在することの追認だから決して重くない。

彼はずっとそうしてきたんだな。「あまちゃん」のアキちゃんもソフトな妄想をよくしているし。

妄想、イタいよね。でもみんなそうでしょ。むしろ愛すべきだと思う。

主役の平岡拓真くんは、この恥づかしい役をよくこなした。味のある役者になれるといいね。

謎のシングルファーザー役の草なぎ剛は、得体の知れない感がぴったり。遅まきながら、ようやく彼の魅力が分かったような気がした。

彼だけでなく、クドカン作品ってキャラクターの個性が立ち過ぎるくらい立っているから、演じる役者が総じて得をするのかもしれない。話に引く部分が多くても。

(60点)
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「アイアンマン3」

2013年05月06日 00時20分08秒 | 映画(2013)
宇宙の敵より眼前の敵。


シリーズ3作め、「アベンジャーズ」を入れれば4度めのお仕事ともなると、そろそろパワーもなくなってくるかと思ったが、いい意味で予想を裏切られた。

本作のトニー・スタークは悩んじゃっている。派手で軽いのが売りと言っても過言ではないのに、「アベンジャーズ」の戦いが精神的に応えたらしく、時折過呼吸の発作まで起こしてしまう。

このシリーズは、スタークの斜に構えた振舞いが映画全体に独特の余白を作り出していたのに、それがなくなるとちょっと辛いのではと正直感じた。

しかし、マリブの自宅を破壊されてテネシーの山奥まで吹っ飛ばされた辺りから俄然盛り上がってくる。

パワードスーツを失い生身の人間となった彼は、一人の少年と出会い触れ合っているうちに、かつての純粋なメカニックとしての心を取り戻す。

敵は「T2」のT-1000を彷彿とさせるような自己再生能力を持つ人間兵器。ちょっとやそっとじゃ太刀打ちできない難敵だ。

しかし、敵が強いほど、主人公の状況が過酷であるほど話がおもしろくなるのは当然で、スーツの力を借りずに敵の本陣へ乗り込んでいく場面では自然と観ている側も力が入る。

そして、じらしにじらしてから満を持してスタークの元へ戻ってくるパワードスーツ。この辺から、何かを乗り越えたスタークに余裕も戻ってくる。

恋人ペッパーの危機や、アイアンマン大集合などを通じて、半ば悪ノリとも言えるほどの勢いで敵をなぎ倒していく。これは気持ちがいい。

余白の部分は、意外にも名優B.キングズレーがフォロー。ガンジーの顔であんなことされたら敵わない。

なんだかんだ「アベンジャーズ」もスタークで成り立っていたようにも見えたし、R.ダウニーJr.の看板がある限りは、アイアンマンは安泰だと思った。

おまけも健在。おっ?と思って、そして笑えた。

(90点)
コメント (2)
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「死霊のはらわた」

2013年05月03日 19時25分43秒 | 映画(2013)
時にはクラシックをたしなんでみる。


ホラー映画を見るときって、ジェットコースターに乗る前の気分に似ている。

どちらかと言えばビビりな方だから、小学生のときに見た「ゾンビ」のCMなんて夢に出るくらい怖かった。

S.ライミ監督が元祖「死霊のはらわた」を作ったのが1981年。当時の記憶はあやふやだが、存在を知っていたとしても、この映画を映画館で観ようなどとは絶対に思わなかっただろう。

それから30年余りが経ち、リメイクとして蘇った本作。今や大御所となったS.ライミだが、製作に名前を連ねている。お墨付きの新作だ。

「死霊のはらわた」としては初見だが、何しろスプラッタの古典である。山奥のキャビン、若い男女数名、禁断の呪文。まるで見慣れた教科書をなぞるように話が進む(お色気シーンこそないが)。

敵はとにかく「邪悪」な存在。その行動に理由も何もない。宗教などこじつけられるのかもしれないが、映画にとっては邪悪であることが全てである。

徹底的に潰しにかかってくる敵に悲愴な戦いを強いられる主人公たち。話の設定はオリジナルと多少変えているのだろうか。敵を葬る3つの方法と主人公たちの人間関係が巧く絡む。

それにしても邦題の「はらわた」。今でも色あせない強烈な響きだが、何ではらわたなの?と疑問が浮かぶ。

予告でやっていた「悪魔のいけにえ」の方がぴったり来る気がするが、向こうは40年記念と銘打っているからこちらが後発なんだね。

と言いながら「死霊」の「はらわた」は最後に登場。地獄に還っていったけど、死霊はあまりダメージを受けていない印象だった。とにかく絶望的に強い。

(70点)
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「図書館戦争」

2013年05月02日 23時49分58秒 | 映画(2013)
理想を唱えるだけでは守れない。


何やら各所のレビューで評判が良さそうなので、気になって観に行ってみた。

結果から言うと普通かな。

設定はおもしろい。「静」の典型とも言える「読書」、そして「図書館」という場所を、まさに対極の価値観に位置する「戦争」と結び付ける力技。

表現の自由を守るということは、これまでにも散々採り上げられてきたテーマであるが、大切なものを守るために武力をもって戦うことを選択しているという点が、あまりこれまで見られなかった切り口だ。

不利を承知で「専守防衛」を頑なに遵守する図書隊の姿は、極めて身近などこかで見聞きした覚えがある。

そんなこんなで、メディア良化隊と図書隊の争いは一見漫画的な枠を越えないように見えるのだが、ちょっと視点を変えると実はかなりリアリティを伴っていることが分かる。

理不尽な成り行きから、それ自体に意味のない闘いに身を供しなければならないこと。日常でもよくあるからそれなりに興味深く見られる。

ただ、主人公たちの人間関係、王子様とかラブロマンスとかに関しては、ベタさ加減が個人的にはあまりハマらなかった。決して演者のせいではないけれど。

「SP」を経てジャニーズきってのアクションスターとなった岡田准一が主人公の堂上役。

今回は若手SPから教官へと出世。キレのよい動きを見せる一方で、部下から「チビ」呼ばわりされることに驚く。

こういう役を潔く演じられるところに、彼の自信が伝わってくるとともに、今後へのいっそうの期待を感じることができた。

相手役の笠原を演じるのは榮倉奈々。最初に彼女を見たときは「かわいい!」と思ったけど、いつの間にか慣れてしまって今回も可もなく不可もなく。ただ、あの童顔で高身長というキャラはなかなかいないかもしれない。

「あまちゃん」にも出演している福士蒼汰が笠原の同期エリート・手塚に。かなりかっけーわけで、海女のアキちゃんが一目惚れするのも分かる気がした(何か混乱してる?)。

(65点)
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