Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「ゾンビランド」

2010年07月31日 00時36分57秒 | 映画(2010)
9か月ぶりに脳内補完区間が開通。


いや、補完なんてとても言えたものじゃない。あの9か月前にロンドンで観たものは予告篇だったと思えるくらい、理解度が著しく欠けていたことが分かった。

「どうも前からのつながりという点でまとまりが良くない。この辺りは字幕があれば解決するのかもしれないが」と書いているがまったくその通り。あれだけ話が分かってなかったらクライマックスが盛り上がるわけがない。

挙げればきりがないが、まず軽度のものとしては32か条のルール。「有酸素運動」「準備運動」。分からないって、そんなニュアンスの単語。

次はタラハシーの名前。地名みたいだなと思っていたのが、本名を教え合わないが故の呼び名だったとは。

タラハシーといえば、お菓子に執着しているところは分かっていたが、最後に出てきたのがそのトゥイッキーだとは何故か気付かなかった。

ここからはもう重症。タラハシーの過去の映像として出てくる犬と子供のつながりを理解できず。姉妹が登場のすぐ後からパシフィックランドを口にしていたのに気付かず。姉とコロンバスのダンスシーンの真意など分かるはずもなく。

気楽な娯楽作ではあるのだが、コロンバスの語りの部分も多く、それなりの英語力が必要だったというわけだ。それなりどころかそこそこの力もないようでは太刀打ちはできない。

それにしても、確かに上映時間は短いのだけれど、きちんとつながって盛り上がって、十分なカタルシスを得ることができました。

遊園地の大立ち回りなど実に楽しい(前回のレビューと全然違うが)。

そういえば、エンドロールの後にもおまけがあったのは驚き。これまた外国のすぐ退場するシネコンでは味わえるわけがなかったもの。やっぱり日本がいい。

(80点)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「インセプション」

2010年07月18日 01時31分46秒 | 映画(2010)
C.ノーラン率いる驚愕のドリームチーム。


映画を観る楽しみは、今まで見たことのないものに触れること、体感することである。

「インセプション」で描かれる世界は2時間28分全篇がその快感に満ちている。

夢という素材を出発点に、縦横無尽、天地無用、奥深くへと限りなく拡がる発想に驚く。

発想を圧倒的な迫力の視覚効果へ結びつける技術に驚く。

そして、発想の種を巧みに利用した綿密な脚本に驚く。

特に、階層の深度によって時間の進行速度が異なるという設定と、夢と現実の世界を判断するトーテムの存在の効き目は絶大だ。

もちろんキャストも良かった。

L.ディカプリオは今回も相変わらず眉間にしわが寄りっ放しだが、これはもはや悩み多き男としての安定感か。

予想以上の収穫だったのは彼とチームを組んだメンバーであり、中でもクライマックスの場面、夢の中間層で華麗に遊泳しながら孤軍奮闘していたアーサーが、「(500)日のサマー」J.ゴードン・レヴィットと知ったときはぶったまげた。かっこいいんだもん。

渡辺謙も堂々の2番クレジットだし、E.ペイジもやっぱりいい。

M.コティヤールに至っては、敬意を表してなのか要の場面でE.ピアフの曲を流したりして。

E.ピアフといえば、この曲の効果がまた素晴らしい。

夢という自由な時空間を使って、屋内と屋外、狭い空間と広い領域、スローモーションと目まぐるしいアクションを同時進行させる中で(それだけでも、かつてない驚きの世界なのだが)、音楽の筋が突然それぞれの世界を貫くのだ。

ピアフの荘厳なメロディーと刻まれていく時間が生む緊張感のミスマッチの素晴らしさ。

どの場面も緻密に計算された効果が最大限に発揮されており、収束の手際良さもお見事の一言。最後の場面も憎いほどに綺麗なオチとなっている。

(98点)
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「バウンティーハンター」

2010年07月18日 00時24分33秒 | 映画(2010)
看板の魅力を最小化。


主演の2人は好感度が高いのに、まったく感情移入ができない不思議な映画だった。

とにかく性格が悪い。仕事優先でとげとげしい元妻・ニコール、自己中・ギャンブル好きのだらしない元夫・マイロ。

お互いに悪態を突くところだけ共感ができたが、なんだかんだ再び惹かれ合うのは予定調和と言いながらもまったく理解不能。

おまけにこの手の映画に不可欠なきらりと光る脇役もまったくいない。笑いを取る役として設定しているだろうニコールの同僚なんて、ただ悲惨な目に遭うだけでくすりとも笑えない。

これでは全米BOX OFFICEで大した成績を残せなかったというのも十分理解できる。

それにしても、「好感度が高い」と言ってみたものの、G.バトラーにしてもJ.アニストンにしてもこれでいいのだろうか。

ラブコメをするなとは言わないけれど作品は選んだ方がいいでしょ思った。

(40点)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「トイストーリー3」

2010年07月14日 23時12分13秒 | 映画(2010)
運命を切り拓く先の「さよなら」。


10年以上の間隔を置いて公開されたシリーズ最新作は、半ば運命づけられていた最終作である。

「2」でもカウガールのジェシーを通して描いていた子供時代との決別に今回は真っ向から向き合った。製作側は強い覚悟で脚本を練りに練ったことだろう。

ラスト10分くらいの物語は評判どおりの素晴らしさだ。そこに至るまでの展開もよくできている。

しかし、本作は冒頭から「別れ」を前面に押し出していることもあり、全般を通してある種の寂しさを感じながら観ざるを得なかった。

楽しいのが当たり前のアニメ作品としては異例であり、作り手は相当苦労したことと思う。

個人的にはバズの長押しや復活などに強引さを感じる部分もあったものの、その点は、むしろ「別れ」の話によくぞ笑いを取り込めたものと感嘆するべきなのかもしれない。

余談だが、このバズの見せ場が吹替え版でどうなっているのかが非常に気になった。西語独特の調子を吹替えで表現するのはまず無理だから、原語のまま流していることを祈る。

もう一つ気になったのは、敵役扱いとなったストロベリーの香りがする熊のぬいぐるみ・ロッツォだ。はじめから怪しいキャラではあったが、辿る道はもう少し違えてほしかった。

エンドロールでもハッピーエンドの回収を丁寧にしておりほっこりさせられたものの、ロッツォは(確か)登場せず。個人的に残念に思った。

いずれにしてもウッディやバズと会えるのも最後なんだなって思いながら観ていたら、3-Dの眼鏡はあまり気にならなかった。裏を返せば、3-Dである必要性もあまり感じられなかったわけだが。

いつものことながら、同時上映の短篇は今回もおもしろかった。発想もさることながら、さりげない絵づくりに唸らされた。

(80点)+5点

7月18日、子供と一緒に吹替え版(2D)で再度観賞。2度めは気付くところも多く初回よりも感動しました。

異例だけど点数変えます。歴史に残るシリーズへの敬意も込めて(8月29日再改)。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「劇場版ポケットモンスターダイヤモンド&パール 幻影の覇者ゾロアーク」

2010年07月10日 13時34分24秒 | 映画(2010)
何故かいつも欧州風舞台。


相変わらずポケモンの映画はよくできている。

男児向けのアクション、女児向けのキュートさを備えつつ、説教臭くなることなく不変の道徳的な主題を盛り込む。

毎回訪れる街の風景は外国取材に行ってまで丁寧に練り込んであって非常に綺麗だし、キャラクターインフレの権化とも言える圧倒的な数のポケモンたちの扱いも手馴れたもの。

特に今回は、以前劇場版の主役として登場した伝説のポケモンに再度スポットライトを当てるなど、むしろキャラクターへの愛情が感じられて良かった。

新登場の伝説のポケモン・ゾロアークとゾロアもこうしたシリーズの基本を踏襲しており安定感は抜群。

見たものに姿を変えられるって今までになかったっけ?と思うくらい馴染んだ設定で、サトシやヒカリに化けたゾロアがしっかり笑いを取っていた。

なんでも今回はダイヤモンド&パールシリーズの完結篇だそうで、秋からはゲームはBlack&White、アニメはBest Wishesというシリーズに生まれ変わるらしい。

まあ完全新作とは言えども、突然サトシやピカチュウが消えることはないだろうし、本作のようなテイストが残り続けるうちはシリーズの安泰が揺らぐことはないでしょう。

(75点)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」

2010年07月07日 22時51分41秒 | 映画(2010)
反省しないサル以下のぼくらへ。


相当お下劣という評判を聞いていた。初登場でいきなりお尻丸出しのアランを見て嫌な予感が走った。

満席の観客から笑いが起きても何か無理やり感があってノレない。今の場面、そんなにおもしろくないじゃん。

米国のおバカコメディといえばこのまま堕ちっ放しなのが定番であったのだが、しかし意外なことに、このどうしようもない男たちは見れば見るほど愛着が湧いてきてしまった。

確かに下品なんだけど何処かかわいい。この紙一重の差が何なのか解説する術はないが、そう思っちゃったんだから仕方ない。

彼らに降りかかる身に覚えのない過去の所業。トラ、赤ちゃん、パトカー、マイク・タイソン、中国マフィア? 一つ一つが突拍子もないのだけど、きちんと繋がっているところがおもしろい。

そして一つ一つの謎を解く度に襲う悲劇。文字通り体を張って受け入れざるを得ない苦痛。

まさに二日酔いの代償。そっか、同胞意識が作品への思い入れを呼んだのか。

物語の軸となる新郎ダグの捜索も、謎解きとまではいかないまでも、何度か外された上の解答には唸らされる。

しまいには結構笑っていた。彼らと一緒にハッピーな気分になっていた。

1,000円デーの渋谷は満席で久々の立ち見。半券も発行されず観賞の記録がまったく残らなかったけど、映画の彼らとは逆に記憶にはしっかり残すことができた。

(90点)
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「レポゼッションメン」

2010年07月04日 02時55分31秒 | 映画(2010)
物語も回収。


はじめは結構ダメダメな要素が蓄積していた。

妻のキャロルが仕切りに「販売員に」と促すが、それは家庭を顧みない父親を戒めたのか、REPO-MENという職種自体に嫌悪感を抱いていたのか。

前者ならレミーの立場への理解がなさ過ぎだし、後者であれば販売員になったとしても仕事の忌わしさが変わるわけではなく、むしろ手を汚さない分罪深いかもしれない。

底の浅い設定なのか、敢えて偽善的な人物に描いているのか。

ヒロインとなるベスとの出会いは、レミーと同僚ジェイクが立ち寄ったバー。ベスの歌声にレミーが聞き惚れるのだが印象は唐突だ。

出逢いが唐突なら、2人の逃亡劇の始まりもいきなりの変速である。「助けてくれなんて頼んでない!」と怒っていたはずがあっという間に熟練のパートナーになってしまう。

ジェイクの裏切りは想定内だし、息子ピーターが母親をテーザーガンで撃ってしまったときは、どうなってんの?これと思ってしまった。

でも、これは最後の最後で覆る。

どこかで見たような気もするが、このどんでん返し、いや回収はなかなか心地良い。

レミーに対するジェイクの歪んだ愛情ぶりも、裏切り者から本当はいい奴へ振っておいて、最後に微妙なねっとり感に至るのだが、F.ウィテカーが抜群の存在感でしっかりとした印象を残している。

やっぱりSF・近未来系はこうじゃないと。

ぎりぎりのところで良作に踏みとどまった感じだ。

(75点)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする