Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「テッド」

2013年01月20日 00時15分00秒 | 映画(2013)
どうして拡大公開しちゃったんだろ。


22時上映開始の回にして、2ばんめに大きいスクリーンが満員御礼だった。

同じようなことが全国で起きているならば、興行的には成功の部類に入るのだろう。中年のしゃべるテディベア、しかも何故かR-15指定となれば興味が湧くのは当然かもしれない。

ただこの作品、観るほどにつくづく日本仕様にできていないことを実感する。

なにしろ、全篇を通してのイチ押しのネタが「フラッシュゴードン」である。あの映画をQUEENのテーマとともにはっきり憶えているなんて、果たしてどの程度いると言うのか。

ほかにも、着信音が「ナイトライダー」、TIFFANYのミュージックビデオで踊る変質者、とどめはB.ラウスT.ロートナーと来るのだから、わが国の若い観客の嗜好をことごとく外している。

これを知っていて、くまちゃんにタレント被せて宣伝かけてくるのだから不親切極まりない。しかも一般ウケしそうな場面はCMで流しちゃうし。

でまた、こんな状態でありながら、観客がまずまずの満足度を持ってしまうかもしれないところも何か悲しい。理解できてない部分多いと思うんだけどそれでいいのかなって、とにかく釈然としない。

かくいう自分も相当に怪しい。ふと気付くと、さりげなく豪華なゲストを迎えていたりするから、これは気付いていないのもかなりあるんじゃないかと思った。

いちばん面食らったのはN.ジョーンズだ。どちらかと言えば洗練された印象が強かっただけに、さらっと下ネタを言う姿には驚いた。

ゲイの相手で画面を通り過ぎたR.レイノルズは一瞬見逃しそうになった。そういえば、グリーンランタンって台詞が出てたっけ。

ストーリーは取り立てて書くほどのものでもないが、簡単に言えば、主人公ジョンとぬいぐるみテッドはのび太とドラえもんの関係で、ドラえもんから使命感と真面目さを抜くと20数年後にはこうなるよといった感じか。

大人になれずにぷらぷらしているジョンにいらいらするのは、M.ウォールバーグが上手く演じているからに違いない。おそらく一人演技であろうテッドとのけんかの場面も見事だった。

貴重なコメディだけにDVDスルーしろとは言わないが、ミニシアターで口コミヒットの方が似合う作品だと感じた。

(65点)
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「LOOPER/ルーパー」

2013年01月14日 22時45分07秒 | 映画(2013)
30年後の自分を通して絶望を知る。


意外だったのは、観た後にすっきりしないこと。結構好き嫌いがはっきり分かれるのではないかと思った。

予告等で予想していたのは、始末するはずの未来の自分と共闘して巨大な悪を倒す展開だった。結構同じように観ていた人は多いと思うのだが、巨悪の正体が薄々分かってくるにつれて「これ、ちがうね」と感じはじめる。

現代と未来、2人の主人公・ジョーは一向に歩み寄る気配がない。それは2人の主張が対立しているから。

対立とは何か。それは2人のエゴである。

現代のジョーは、とにかく自分の周りで起こる厄介ごとがうざったい。冒頭で、命の危険を感じて頼ってきた親友をあっさり差し出したように、未来の自分に対しても現代の自分を守るために銃口を向ける。

その守ろうとする自分の生活は何かといえば、ほぼ薬漬けの合間にLOOPER稼業という社会的価値の薄い自堕落さでまったく救い難い。

未来からやって来たジョーは、世界を暗黒に陥れる脅威の犯罪王を消すのが目的と言う。30年で積み重ねた裏世界のキャリアで出会った中国人の妻が自分を救ってくれたとも告げる。

しかしそんな一見高尚に思える心構えも、何も知らない幼児に手をかけるようなやり方を見ると、何も大差がないことが分かる。

彼がいみじくも言っていたが、はっきりと分かるのは今の自分だけ。過去の記憶でさえも可能性でしかない。技量の違いこそあれ、近視眼的な物の見方は変わっていない。

そんな主人公がたどり着く巨悪がまた評価の分かれる設定となっている。何やら「TK」と呼ばれる超能力が出てくるのだが、この飛び道具的はどこかシャマラン作品を思い起こさせ、正直少し脱力する。

最後の最後で現代のジョーが広い視野で捉える構図は、取り返しのつかない忌わしい自分の存在であり、唯一無二の選択をするが、その先に必ずしも希望が見えてこないところも、またどうにもすっきりしない。

(65点)
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「トワイライトサーガ ブレイキングドーンPart2」

2013年01月12日 02時18分29秒 | 映画(2013)
アリスにおまかせ。


ついに最終作。といいながら、これほどまでファンとそれ以外のテンションが違うシリーズもなかなかない。

年末年始のばたばたの陰でひっそり拡大公開というのも、過去4作で培った効率重視の興行術なのかなと勘繰り。

観に行く人ほとんどがファンだから、レビューの平均得点が高いのもうなずける。米国では堂々のラズベリー賞大本命のようだけど。

Part1の最後で吸血族に転生してしまったベラ。今までのもどかしい心情の反動か、いきなり最強レベルの力を手に入れる。

こちらも報われない恋愛に苦悩していた人狼ジェイコブは、刻印のおかげで役割と居場所を見つけ、こちらも吹っ切れた感じ。

そんなわけで主役たちの行く道が単純直線になり、映画の雰囲気はこれまでとすっかり変わった。

吸血族と人間と人狼の三角関係を見守ってくれてありがとう。最後は、みんなでお祭りだよ!って感じで、ヴォルトゥーリ族とカレン一家の激突となる。

世界中から祭りの盛り上げにひと役買おうと、異なる能力を携えたぽっと出の吸血族が集まり超能力戦争へ突入。コミック調なのは同じでも、少女漫画が少年漫画になったというところか。

しかしその中でも、アリスの予知能力は反則的にスキルが高く、他の者は、ヴォルトゥーリの幹部でさえも影が薄くなってしまう。

賑やかに華やかにアクションで花火を打ち上げた後は、長い道のりを感慨深く振り返る大団円のラスト。ファンのみなさんがおっしゃるように、うまく着地させられたのではないかな。

ただ気になるのは主役のお二人。すったもんだの挙げ句の復縁は、映画同様にハッピーエンドでまとまるとはとても思えないのだけど。

(75点)
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